おいしいお菓子作りのひみつ。

私は放送委員会の担当です。
先日、
「来月の特別番組、何がいい?」
と、委員の子どもたちに聞きました。
 
腹案としては、節分にちなんで、
「どんな鬼を退治したいですかアンケート」
とか、そんなのを考えてたんですが。*1
 
「来月は2月だねえ」
「はい」
「2月の行事といえば何があるだろう」
「バレンタイン!」
 
あー。
 
そんなわけで、放送委員たちが案をまとめるのを放置した結果、
「チョコレート系のお菓子を作って先生方に試食してもらい、感想を聞く。それをレシピと共に放送する」
という、いたくミーハーなものに。
 
子どもたちの話し合いのゆくえを制御できないのって、私の弱点の一つだよな。
いや、言い訳としては、わりといつもやる気のない放送委員が、珍しく乗り気だったので任せてみた、ってこともあるんですが。
 
で、放送委員の4〜6年生と一緒に、学校でチョコレート系のお菓子を作りました。
 
しかしあれだよ、バレンタイン企画なのに、チョコを作ってるのが男ばっかり。
しかも食べるのは校長・教頭先生(どっちも女性)だしな。
 
レシピはこちら。
http://choco-recipe.jp/milk/rcp/152.html
 
レシピには
「調理時間:約5分」
とか書いてありますが、
 
それはどんなキッチンマジックですか?
 
チョコレートを湯煎で溶かすだけでも……っていうか、鍋を出して湯を沸かすだけでもそれくらいかかっちゃいますって。
 
木曜の昼休みに作って金曜日に食べてもらうはずが、結局完成したのが今日。
で、試食は月曜日。
 
教頭先生が、
「K村先生、また何か作ってたんじゃない? ご招待は?」
とか聞いてきます。
 
なんか私、
「しょっちゅうお菓子を作ってる人」
みたいに見られてるんですが。
 
っていうか教頭先生、職員会議に手作りケーキを振る舞ったりしてるのは誰ですか。
しかも家庭科室で作ったやつ(=勤務時間中に焼く)。
 
ご安心を。実はかくかくしかじかいう企画で、今度先生方に召し上がって頂いてコメントをいただきたいという……」
「えー。何? 今日作って、月曜に食べるの?」
「ええ、そのような。悪くなるようなものではないので大丈夫と思いますが」
「うーん。体調を整えてくるようだわね」
「まあ、冷蔵庫に入れてありますし。一口二口召し上がって頂ければ。ご安心を
 
実は作り始めたのは昨日だ、というのは秘密。
 
年度末のこの時期、職員室に食中毒出したりしたら切腹ものですな。
 
しかしもっと秘密なのは、作っている途中。
 
チョコレートを丸めながら、
 
「先生、手洗っていいですかー?」
 
子どもって変なもので、水彩画でも書道でも、作業途中でどうせまた汚れるのが分かっていても、手を洗いたがります。
 
「まあいいけどー?」
「はーい。 うお! 何これ、ぬるぬるする!」
 
水で冷えたとたん、チョコレートに含まれていた手が油で真っ白に。
 
これはファットブルームというもので、品質に問題はありませんが風味は劣ります。
 
っていうかギトギトですよ。
 
丸めた段階ではチョコは黒くて、ココアパウダーをまぶすと茶色くなるわけですが、まぶして皿に盛ったものを見ると、まだらに黒くなっています。
 
「ちゃんとココアをつけないとだめだよー」
「違いますよ、中から油がしみ出てきて黒くなるんです!」
「……なんと」
「なんか、すんげえメタボリックな感じっすよねー」
 
メタボリックとか言うなー。*2
 
「ほらほら! 絞ると油が!」
「絞るな! 雑巾じゃねえんだから!」
「でも、そうした方がヘルシーなんじゃないすか?」
 
おいしく食べるためのひみつ。
 
知らぬが花とも言う。

*1:あれですよ、「怠けぐせの鬼」とか「散らかしの鬼」とか、そういう辛気くさいの。

*2:なお、「メタボリック(metabolic)」は「代謝」の意で、本来特に悪い意味の言葉ではありません。「メタボリックシンドローム(=代謝症候群)」が悪い意味なのであって。
まあ、「エコロジー生態学)」とか「ポストハーベスト(収穫後の農作業。脱穀とかを含む語)」とか「ダイエット(食餌療法。運動して痩せるのは含まない)」とか、英語本来の意味と違う意味で使われている日本語は山ほどあるわけですが。