伝統文化。

第6条第2項
法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。(以下略)
第10条
教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。
教育基本法より抜粋(赤字は、現教育基本法で削除された部分)*1

以前にもちらっと書きましたが、私の勤務する虚実市には、小中学生向けの碁の大会があります。
 
あるのは別に構わないんですが、教育委員会が主催しています。
 
これが何を意味するかというと、
「協力しないとにらまれる」
ということです。
 
おかげで、各学校とも碁の打てる子どもを集め、礼法から指導しないとなりません。
今時碁を打てる子はそんなにいませんので、無理矢理かき集めてルールを教えるような形になります。
それ以前に、職員にも碁を打てる人が少ないので、まず職員の勉強から始めることになります。
ちなみに開催されるのは休日なので、送迎などには保護者の協力を求める必要もあります。
 
もう、何も主催しなくていいから家で寝ててくれ、教育委員会
 
ちなみに、各学校には碁のセットが配布されています。税金で。
事前に、
「各学校、何セット必要か申請するように」
との連絡が回って来たのです。
 
私「……“0セットでいいです”って回答はナシですか?」
H「やってみる? K村先生の名義で」
私「……遠慮しときます」
 
開催に先だって行われた、教頭会での説明では、とある中学校の先生が、
「その翌日が野球大会にあたっており、小規模校である本校では、重複して出場する生徒も多く、子どもたちや保護者の負担も大きい。
また、職員に休日の引率を強いることにもなり、望ましくないのではないか。
参加は強制なのか」
 
という質問をしたとか。
 
教育委員会側の説明は、
「強制というわけではないが、ぜひ協力をお願いしたい」
 
だったそうです。
 
……で、その学校、
「参加生徒数:0」
で報告したんだそうですよ。
 
するとなんと、その学校に教育長*2が乗り込んできてですね。
「教頭の復命書を見せろ!」
と。
 
復命書は、出張(この場合は教頭会)の内容について校長に報告するものですから。
教育委員会
「ぜひ協力を」
と言ったにもかかわらず、それを復命書に書かなかったなら教頭の責任。
書いてあるにもかかわらず協力しないなら校長の責任
なわけです。
 
しかし、校長宛の内部文書をわざわざ学校まで見に来るとは。
よっぽど暇なのか、教育長。
 
日本の文化は「察し」と「思いやり」です。
 
教育委員会

「強制というわけではないが協力を」
 
って言ったら、
 
「ああ、強制なんだな」
 
と察するのが、美しい国日本の教育を担う私たち教員に当然求められるスキルなんですね。
 
生きる力。(処世術とも言う)
 
ともあれ、このような、教育委員会思いやりにあふれた指導によって、結局全ての学校が参加。
 
ちなみに、中学校部門の優勝校は、その中学校だったそうです。
 
おめでとうございます!(心から)
 
教育委員会の指導の賜物ですね。*3
 
ところで、先日学校に来た保険屋さんとの話。
 
K村「……というわけで、今、碁の大会に向けて指導が大変なんですよ」
保険「あらー、そんな大会があるんですね。いつから始まったんですか?」
K村「今年からです」
保険「ああー、やっぱり、市長さんが碁が強い方だからねえ」
K村「……そうなんですか?」
保険「ええ。有名ですよ」
 
…………そうなんですか?
 
戦後レジーム
 
美しい国の教育を私物化する輩に天罰が下りますように。

*1:いずれの条文も、新たに付け加えられた文言があるので注意。

*2:教育委員会で一番えらいひと。

*3:違うよ。