原級留置。

先日、県庁所在市で研修がありました。
4:30に終わって学校に連絡を入れたら、今から学校に戻ると5:00を軽く回ってしまうので、そのまま帰って良い、と言われました。
 
ラッキー。
 
それで、そのままイエローサブマリン*1に行ったら、大学時代の後輩に会いました。
 
「ああ、K村さんじゃないですか!」
「うわ、久しぶり」
「何見に来たんですか? TRPG? 相変わらずマニアですねー」
「自分だってイエローサブマリンに来てるくせに。……仕事、今は何をやってるの?」
「え? いや、相変わらず飼育係ですよー」
 
問題発言。
 
というのも、彼は警察官で、勤務先は留置所だから。
 
「人権のある動物に毎日エサをやっています」
「おいおい……」
「いやもう、毎日暇で暇で……。奴らがいる区画とこっちが待機してる区画はごつい扉で仕切られてるんですけど、毎日決まった時間に食事を出して、食器を回収して、あとはずーっと待機ですからね。息抜きに外に行くこともできないし」
「ふうん? でも、警察でしょ? 大きな事件があった時に動員されたりしないの?」
「しません。留置所は留置所。非番の時に事件があっても出ません」
「働いてるっていうのか、それ」*2
「でも、万一何かあったらこっちの責任ですから、それは大変ですよ」
「えー? でも、子どもと違って怪我をするようなこともないだろうに」
「うーん、でも、病気とかけっこうありますよ」
「なるほど。学校だったら、インフルエンザにかかった人は来るなー、って言えるけど……」
「こっちは、病気になろうがなんだろうが、換気の悪いところに閉じこめられてるわけですから。インフルエンザなんかが入ってこようもんなら、一気に蔓延しちゃいますよ」
「体力ないの? なんか、犯罪者って体力はありそうなイメージなんだけど」
「ないですね。だって、ヤクを売ってて自分もヤクをやって、もうシャブ漬けみたいなのもいますから。腕立て伏せ一回だって怪しいもんですよ」
「小学生以下かよ。っていうか、留置所って軽犯罪の人しかいないのかと思ってた」
「いやいや、取り調べが終了してない犯罪者はみんないますよ」
「えー? じゃあ、起訴されると移送されるの?」
「起訴されてもいたりしますね」
 
後で調べたら、代用刑事施設(いわゆる代用監獄)の話だ、これ。
 
「みんないますよ」じゃねえだろ。*3
 
「どいつもこいつも体ぼろぼろですから。毎日毎日大量に薬が出ますよ」
「薬?」
「そう。頭が痛いって言えば頭痛薬、寝られないって言えば睡眠薬。一応処方箋は書いてもらうんですけど、とにかくドカドカ出ますね。それがみんな税金で」
「あー。でもまあ、いちおう人権があるんだし、仕方ないんでしょ?」
「いやあ、でも、奴らに情けなんか掛けたら駄目ですよ。つけ込まれますから」
「えー」
「例えば、『頼むよ、この手紙を出してくれるだけでいいんだ、ほら、別に変なことが書いてあるわけじゃないし、頼むよ』……とか言われて、仏心を出して投函してやったとするじゃないですか?」
「ははあ」
「するとですね、『なあおい、そいつはやっちゃいけない規則だったんじゃないのか? このことを上司にバラされたくなかったら……』みたいな感じで、ズルズルと深みにはめられてしまうわけですよ」
「うわ、なんてわかりやすい悪役っぷり」
「それを留置所の中で警官相手にやるんですから大変なもんですよ。奴ら、何をしてやったって恩に感じるなんて絶対ないんですから、とにかく非情にならないと駄目ですよ」
「問題発言だな、おい」
「だって、既知外みたいなのがいっぱいいますよ? なんか、ナタを振り回して小学生を脅かすのが趣味だとか」
「よし、それは殺せ。人権など糞食らえだ。ぜひ殺せ。」

*1:プラモデルとかカードゲームとかを置いている、オタク向けの店。
私が行くのは、TRPGの新製品を見るため。

*2:後述の代用監獄制度の問題点が指摘されるようになり、警察では、留置所の管理と犯罪捜査とを分離したのだそうです。
彼が留置所の管理だけやって犯罪捜査に協力しないのはその辺に理由があるのだと思います。効率が悪い気もするけど仕方ないんでしょうね。
ていうか、代用監獄制度そのものが問題なんじゃ。

*3:本来の留置所の目的は、酔っぱらいを保護したりすること。拘置所ではなく、警察が管理する留置所で取り調べをするのは、非人道的な取り調べになりがちで冤罪の元だと言われている。