生活の中の算数〜超心理学研究における統計学的手法

この間、学校相談基礎研修に行ってきました。
要するに、カウンセリングとかの。
 
かなり冗長ではありましたが、そこそこ面白かったので詳しくはまた書きたいと思います。
 
とりあえず、最初のグループエンカウンター的な活動が妙でした。
 
ランダムに二人組を作り、背中をくっつけ合わせて座ります。
 
講師の先生が、
「さて、それでは、今から二人の心が通じ合うかどうかを実験します」
 
ほほう。
ジェスチャーゲームでもするんですか?
 
「今から、二人でじゃんけんをしてください。
 そして、勝ったほうの人が、1〜5の好きな数字を選んでください。
 そして、それを相手の人に心の中で送ってください」
 
……どうやって?
肩の関節とか背筋とか……?
 
「強く念じれば案外伝わるものです。
 受け手の人も、よく心を澄ませて受け取ってください」
 
マジでただのテレパシー実験かよ!
 
テレパシーが実在することが前提で始まる教職員研修なんて初めてです。
ライン博士が生きていたらさぞ喜んだでしょう。
 
で、やってみると。
 
「当たったペア、手を挙げてください。
 123…、おお、かなりいますね。これはすごいことですよ。
 当たる確率は、二人で5つの中から選ぶわけですから、5×5で25分の1ですからね。
 こんなにいるというのは、それだけ伝わっているということです」
 
いやそれ違います。
5分の1です。*1
 
さらに送り手と受け手を交替してもう一度。
ちなみに私たちは一回目ははずれて二回目に当たりました。
 
「ちなみに、二回とも当たったペア、いますか」
 
2組くらいが手を挙げます。
 
「これはすごいですね。一回当たる確率が25分の1ですから、二回とも当たる確率は25×25で……えーと、とても低いですね」
 
計算できないのか!
ていうか先にしておけよ。
(ちなみに625分の1。確かに、この確率が正しいとしたら、2組もいるのはかなり珍しいことです。確率が正しくないけど)
 
実際には、二回とも当たる確率が25分の1なわけで。
 
毎回のこういう結果をもとに「強く念じれば案外伝わるものです」とか言ってるんでしょうか。
 
なんか、宗教の合宿か自己啓発セミナーみたいなうさんくささだな、と。
「ほうら、みなさんにも秘められた力があるんですよぉー?」
 
私を含めて誰も何も言わなかったけど、参加した先生たち、みんなちゃんとわかってたのかな……。

*1:問題になるのは「受け手」が「送り手」と同じ数字(「当たり」の数字)を選ぶ確率なのであって、これは送り手がどの数字を選んでいる場合にも5分の1です。
受け手から見れば、常に5つの数字の中のどれか1つが当たりなのですから、当たる確率は5分の1であることがお分かりと思います。