忍ぶ恋……「忍」とは、したごころの上に刃と書く!

私は、これまで、大変職場環境に恵まれていると思います。
 
失敗しても罵声を浴びせられたりしないし。
遠回しに嫌味を言われたりもしないし。
やっぱり、学校の先生って、できない子にも優しくしないといけない職業だからなあ……。
 
そういうネガティブな話ばかりではなくて、みんな仕事ができて教育への熱意もある、目標となる先輩ばかりだし。
 
しかしながら、やっぱり必ずしもそういう人ばかりではない、というのは、話としては聞いているのです。
教員生活を続けていれば、いずれそういう職場、そういう上司に行き当たることもあるだろう、という思いはあります。
 
某校に勤務していた時、隣の市の先生から聞いた話。
ですので、直接の面識はない人の話です。
 
「俺、前の学校で、校長から『お前なんか教師に向かない、辞めてしまえ』って怒鳴られたことあるよ……」
「ええー。 先生が辞めてしまえなら、私は再教育センター送りですが」
 
たぶん、その程度で「ひどい上司」って言っていたら、世の中やっていけないんだと思いますが。
まあ、そのくらい今のところ恵まれている、という。
 
「でも、管理職じゃなくて、もっとひどい先生もいたよ」
「へえ。どんな」
「なんか……、横恋慕……っていうか、ストーカー?」
「ええー。誰に」
「クラスの保護者」
「保護者! ってことは……え? 相手はお子さんがいる人?」
 
当たり前だ。
 
「うん。 ご主人もご健在だよ」
「すげえ駄目じゃないですかそれ?」
「その奥さんには全然そんな気ないんだけどね」
「普通そうでしょうね……」
「いやでも、その先生も結婚してるんだよ?」
「より一層駄目です、それは」
 
個人の自由……ってわけにはいかないでしょう、それは……。
 
「校長も何度も注意したんだけどね……」
 
信用失墜行為で処分されませんかね。
保護者が教育委員会に申し出れば……なのかなあ……。
 
「いやでも、俺も片棒をかついじゃってさあ」
「ええ? どんな」
「いや、その先生から、学校の封筒を渡されたのさ。
『先生、悪いんだけど、これ、〜〜さんに渡しておいてくれない?』
って言うわけよ。
でまあ、当然、お便りかなにかだと思ったわけさ」
「ところが?」
「なんか、後で、
『先生、あの封筒、ネックレスが入ってたんですけど……。困るんですよね……』
とか言われちゃってさあ……」
「貴金属ですか! 心のこもった贈り物?」
「心って言うか下心って言うか……。
俺は運び屋かー! みたいな。
おかげでその保護者には
『本ッ当に申し訳ありません!』
とか謝る羽目になったんだけど……。 でも、悪いのは俺じゃねえーっ! ……って感じ?」
 
………………オチはない。
 
今回、「特殊学級担任→養護学校教諭の“ここだけの話”」様の
http://d.hatena.ne.jp/fivefogs/20060817/p1
の記事を読んで、この話を思い出しました。
 
もっとも、これはトラックバック先で話題になっているのとはむしろ逆のケースですけれども。
 
トラックバック先、「先生に恋愛感情、ホンマですか?」とかコメントがついてますが、以前本屋で立ち読みしたこの本

先生だって悩んでる。

先生だって悩んでる。

には、
「子どもの保護者と不倫関係になってしまって、子どもの笑顔を見るたびに心が痛む」
なんて話があったりなかったり。
 
だから確かに、あり得ない話ではないんでしょうかね。
(いや、このネックレスの先生が報われることはあり得ないと思いますけども)*1
 
子どもに
「うちのお母さん、きのうも夜おそく帰ってきたんだよ。 いけないよね!」
……とか言われたら、そりゃあ胸が痛むだろうなあ。
 
そういう泥沼にはまりたくはないなあ……。
 
まあ、私は保護者から私的な相談をされるほど頼りになる教員じゃないんで、その辺は他人ごとですが。
 
しかし世の中には、自分からせっせと泥沼を掘る先生もいる、という話。
 
「……どうすりゃいいんでしょうね、そういうの……」
「どうすりゃよかったんだろうねえ……」
 
教員生活を続けていれば、いずれそういう先生とも……
普通は出会わないですよね?
 

*1:報いを受けることはあるかもしんない。