60分以上でも60分以下でもない。

 2年算数。
「じこくとじかん」。
 
K村「(模型の時計を見せつつ)さて、家を出た時にはこの時刻(1:30)でした。
 バス停に着いた時にはこの時刻(1:45)でした。
 どれだけ時間がたったかな?」
A児「15分!」
K村「そうだなあ。
 …で、バスが公園に着いた時には…2:30でした。
 どれだけバスに乗ってたのかな?」
B児「45分!」
K村「よしよし。
 ……さて、1:30に家を出て、15分かけてバス停に行って、45分バスに乗って、2:30に公園に着いたんだよね?
 家を出てから公園につくまでにかかった時間はどれだけだろう。
 ノートに書いてみよう」*1
 
K村「ははあ。“60分”という人もいれば、“1時間”という人もいるなあ。
 どっちが正しいのかなあ。
 ……“60分が正しい”
 と思う人は?
 “いや、1時間が正しい”
 と思う人は?
 “いやいや、どっちも合ってるんだよ”
 と思う人は?」
 
“どっちも正しい”が最多数でした。
 
K村「そうかー。
 え? じゃあさ、“60分”と“1時間”って、どっちの方が長いんだろうね?」
 
 悩む2年生たち。
(「60分の方が長い」という子が多数派でした)
 
するとC児。
 
C児「んー……だいたいおんなじくらいだと思う」
K村「そのアバウトな感じがいいなー」
 
……で、この後、時計の文字盤を確認して、
「60分=1時間」
 であることを知るわけでした。
 
 以下余談。
 
「それ以上でもそれ以下でもない」
 という表現に納得のいかない自称“理系”の方がいらっしゃるようなんですけど。

■それ以上でもそれ以下でもない
それは空集合です
(「理系は使わない言葉」http://anond.hatelabo.jp/20090330183554

 ……でもこの場合、
「1時間≧60分」
 でも
「1時間≦60分」
 でもないわけですよね?*2
 
 1時間は
「60分以上」
 でも
「60分以下」
 でもなく、
「60分に等しい」
 わけです。
 
……「1時間≒60分」
 でもないぞ、C児。
 
「それ以上でも云々」
 という言い回しもまた、両者は(「それ以上」でも「それ以下」でもなく)イコールなのだ、ということを表現するために使われるわけで、別に論理的に問題があるとは思えないよなー、と常々思うことでした。
 
“それ以上でもそれ以下でもない”
 と、カギ括弧のついた
“「それ以上」でも「それ以下」でもない”
 の違いについては、文系諸学問の方が説明してくれそうなんですが、私は適切に表現する言葉を知らないです)
 

*1:ちなみにこの時、この子たちは2ケタの足し算はできないし、
「1時間=60分」
 であることはまさにこの授業で学習します。
 後者はともかく、前者については単元の配列に問題がある気がしないでもない。

*2: 誤差範囲とか有効数字とかの話はさておき。