生活の中の数学 〜じゃんけんの確率論〜

 今日気が付いたこと。
 
 学校では、
「先生! 今日の給食、ゼリーが一個余ってます!」
「ああそうか、A君が休みだからね。欲しい人?」
「はい!」「はーい!」
「二人か。じゃあじゃんけんだな」
 
 ……なんてことがしばしばあります*1
 
 そして今日のこと。
 
「はい二人でじゃんけんして」
「最初はグー!」
「じゃんけんぽん!」
「うわーしまったー!」
「……はい、Bさんの勝ちね」
 
 と、そこで、
「先生! C君も欲しかったそうです!」
「えー」
 
 目の前の給食を食べるのに夢中で、希望者を募ったのを聞いてないのがたまにいます。
 あっさり「聞いてないのが悪い」にしてしまうこともできますが、それも哀れ*2
 
 しかし、ここで「優勝者とじゃんけんして、勝てばもらえる」にすると、明らかに後から出てきた子が有利になります。
 
 最初から参加していた子は2勝しないとゼリーをもらえないのに対して、後から参加してきた子は1勝するだけでいいことになるからです(シード権を獲得したようなもの)。
 
 そこで、私はいつも
「よし。じゃあまず私とじゃんけんして、勝ったら優勝者に挑戦できます。
 で、優勝者とじゃんけんしてまた勝てばゼリーをもらえます」
 
 ……と、いうことにしています。
 
 これなら、あとから参加してきた子も、2勝しないとゼリーをもらえないことになり、公平です。
 
 確率論的に言うと、二人でやるじゃんけんに勝つ確率は1/2ですから、それに二回勝ち抜く確率は1/2×1/2=1/4で……あれ?
 
 3人しか希望者がいないのに、各々の勝率が1/4というのはおかしいのでは?
 合計で3/4にしかなりませんよ?
 
 と、気づいたのが今日の給食の時間。
 
 食べながら少し考えてみてようやくわかりました。
 
 後から参加してきた子が、一回戦で私とじゃんけんをして負けた場合、勝者である私は棄権しますから、その分、はじめから参加していた子の勝率が上がっているわけです。
 
 後から参加してきた子の勝率は1/4ですから、残る3/4を二人で分けることになり、はじめから参加していた子二人の勝率は、それぞれ3/8になります。
 後から参加するより1/8だけ有利になるのですね。
 
 ……という計算で間違いないと思うんですが。
 かなり初歩的な数学っぽいんだけどな。
 
 ともあれ、今日のじゃんけんでは、後から参加した子は、私に勝って優勝者に負けました。
 まあ、一番丸くおさまる形かと。
 
 ともあれ、後から参加する方が不利なら理にかなっています。*3 
 ……でも、話はちゃんと聞けよ。

*1:大規模校だと希望者は二人じゃ済まないので、「二人組でじゃんけん」「みんなで先生とじゃんけんして、負けた人は座る」なんてことになります。
「先生っ! あいこはどうなるんですか!?」

*2:自分の普段の注意力の程度を考えると、最初から手を挙げてたのに私がうっかり見落としていた可能性もわりとあるし。

*3:まあ、そこまで厳密である必要はないのかも知れません。
 とある教育関係の本で、「くじびきのかわりに『黒ひげ危機一髪ゲーム』を使う」というネタが載っていたことがあります。
 しかし、この場合、引く人数とくじの本数が等しい、あみだくじなどと違って、はじめに引いた人は二度目を引く可能性がありますから、なるべく始めのほうにくじを引く方が有利になります。
 ……でもまあ、「黒ひげ」のほうが盛り上がるのは確かだし、それに勝るメリットはないのかも。