給食費未納問題などについて。

給食費
います。払わない人。
 
毎月引き落としになってるのに、指定の日に指定の口座にお金がない人。
 
そうすると、事務官が督促の手紙を用意して、
「次回の引き落としは〜〜日です。ご入金をお願いします」
って話になります。
 
事務官は多忙なので手間を取らせないでください。
 
そういう保護者については、職員室でも話題になります。
 
「〜〜ちゃんのうち、お金ないの?」
「いや、運動会の打ち上げには来てましたよ。あれは地区役員さんに会費を前払いだから、払わないと来られないはずですよ」
「〜〜ちゃんも、この間は家族で夜カラオケに行ったとか言ってたね」
「お金はそれなりにあるんじゃないの? 使い方が間違ってるだけだと思う」
「ったく……。子どもを夜中カラオケに連れてく前に、やることがあるでしょうに」
 
基本的に批判的な話になります。
 
給食費、別に未納だからって教員が肩代わりするわけではないんですが、それでも批判的。
まあ当然といえば当然でしょうか?
 
まあ、私たちはみんな完納してますしね(給料天引き)。
 
で、給食費未納については、どうも
「払わない奴には喰わせるな」
というのが多数意見らしいんですが。
 
しかし、ちょっと待って欲しいと思います。
 
確かに、一食230円前後で、バランスの取れた食事が摂れるんですから、学校給食とは素晴らしいものです。
給食万歳。ぜひ夏休みも実施してください。
 
しかし、世の中には、そんなことに関心のない人もいます。
 
だって、遠足の弁当がコンビニおにぎりだとか、夏休みプールに来た時に
「今日のお昼なんだった?」
って聞いたら、
「だんご!」
とかいう子もいるんですよ?
 
そういうネグレクト気味の保護者だったら、「払わない奴には喰わせない方式」を導入した途端、躊躇なく支払いを止めると思います。
 
(想像図)
「きゅうしょくとうばんさんありがとうございました!」
『ありがとーございました!』
「いたーだきます!」
『いただきます!』
「……さて、Aさんは、今日のお弁当はなに?」
「あんぱん」
「……だけ?」
「うん」
「……そうか」
 
あんパンだけだったら、スーパーで一個85円くらいですむもの。
給食よりずっと安くあがります。
 
栄養学的には15点くらいだけどな。
 
「払わない奴には喰わせない方式」
を提唱する人は、一見強硬派に見えつつも、実は、
「親だったら、誰しも『我が子が給食を食べられなかったら困る』と思うはずだ」
という、性善説の甘い幻想に浸っているのです。
 
……ほんとにそうだったらいいのにね……?
 
まあ、そこまで極端な親はそれほどたくさんはいないかも知れませんが、なんにしても、親の不始末のしわ寄せが幼い子どもに行くってのはおかしな話だと思います。
普通に考えたら話は逆のはずですよ。
 
なので、私としては、現在進行しつつある、未納者には法的措置を、というのが適切な対応だと思います。
まあ、私がここで書いたようなことは、学校関係者ならみんなわかってるはずなので、そういう方向で話が進むんだと思いますが。
 
……と、思ってたんですけどもね?
 
注目URLより。
 
痛いニュース(ノ∀`):仙台の小学校の給食
 

これはひどい
 
あんパンでなきゃいいってもんではないぞ、仙台市
 
ま、まあ、「一日230円前後」というのはあくまで平均であって。
時には、普段よりみすぼらしい日もあるわけですが。
 
別な日。
 

………………。
 
ちなみに、これらの画像は、仙台市立岩切小学校のブログからのものだとかで。
 
上の写真のメニューが、
 
>今日は今年度最後の給食です。
>6年生は小学校最後の給食でした。

 
およそ、上のメニューが「ごちそう」クラスみたいです。
 
……。
 
ブログは現在も稼働中なんですが、どうも、話題になった給食のメニューに関する記事は削除されてるっぽいです。
 
最初のリンク先には、他にも色々写真が載っていますので、御覧頂ければと思います。
↓もう一度。
痛いニュース(ノ∀`):仙台の小学校の給食
 
「給食の質は地域によって違うよ。マズい地域もあるよ」とは、以前も書いたことがありますが……。(「食育の現場から」)
 
それにしたってこれは異常では。
 
給食費未納との関係を取りざたする声もありますが、仙台市でも、給食費の未納は2%くらい。
なるほど深刻ではありますが、制度そのものに致命的な影響を与えるほどではありません。
 
原因は、給食費未納以外にあるはずです。
 
給食費の額そのものが安いのか? とも思ったのですが、「仙台リビング新聞」によれば、

給食費は材料費のみの金額であり、一部地区を除き1食あたり小学校で225円、中学校で268円と一律。

http://www.sendailiving.jp/dounatteruno/2005/02/26.html

とのことで、これが05年の記事であることも考えると、全国平均と大差ありません。
 
仙台市教育委員会学校教育部健康教育課は、給食費について
「限られた予算の中で栄養士らが知恵を絞り作っている給食が、今後、品数が減ったり、質を落とすことにならないよう、ぜひ納入してもらいたいです」
だそうですが、これ以上品数減ったらどうなりますねん。
 
してみると、もっと構造的な欠陥が疑われます。
 
上の記事にもあるとおり、いわゆる「給食費」というのは、給食の材料費にあたる部分です。
それ以外の、調理員の給与や設備の維持管理などなどは、全て地方公共団体の予算でまかなわれています。(学校給食法第六条・同施行令第二条)
 
「材料は給食費、加工は税金」ってことです。
 
一方で、さっきの「メロンパン・いちご・牛乳」とかいうケースだと、ほとんどまったく「加工」していないことがわかります。
 
「材料費」については、これを全部コンビニで買えば、225円かそれ以上するかもしれません。
考えてみたら、いちごなんて高級な果物、うちの学校では出ないですよ。(半分のキウイか、1/4のオレンジが多い)
 
ですから、ひょっとすると、仙台では学校給食に対する市の予算が著しく少ないんじゃないでしょうか。
だから、材料費は他と一緒でも、ろくな料理が作れないのかも知れません。
 
それで、調理費を使わずに給食費を消化するために、単価が高くて量の少ない食材を選んでるんじゃないでしょうか?
 
材料費225円分の肉野菜炒め
材料費225円分の国産牛ステーキ
 
明らかに後者の方が作るのは楽です。(=市の予算がいらない)
量は減りますし、カロリー的にも怪しくなりますが。
 
極端な話、市価225円の加工食品を買って配るだけなら、市の予算はほとんどいらないわけで。
 
また、別な可能性としては、食材業者にぼったくられているのかも知れません。
 
地域によっては、給食センター職員が毎日食材価格の変動をチェックし、最も安いルートから仕入れられるように日々がんばっている(そしてその結果給食費を何割も節約できた)という話もあります。
 
そういう努力をせず、コスト感覚なしに漫然と同じ業者から仕入れている結果、業者からやたら高い値段をふっかけられているのかもしれません。
 
もしも、上で書いたように、予算不足で調理員が足りない、ってことであれば、安い食材を選んで十分なボリュームを確保しよう、って気も失せるでしょうし。
確保したくても作る手が足りないんだから。
 
あと、あまり考えたくないですが、給食費がどこか裏金へ流出しているとか、そうでなくとも本来の「材料費」だけでなく、人件費や設備費にも回されているとかいう可能性もありますが……。
 
ともあれ、仙台の給食が、子どもたちにとってもっと待ち遠しいものになることを願っています。
 
ところで、産経新聞の記事によると、人件費や設備費も含めた給食のコスト全体は、一食およそ900円程度だとか。
 
給食費が230円ですから、残る670円は税金。
すると、(いい加減な計算なんですが)たぶん国民一人当たり千数百円を、給食制度維持のために毎月支払っている見当になります。
 
むーん。
実は高すぎかも。
 
まあ、私自体は、むしろ学校給食制度の恩恵を受ける人間だし、子どもたちのことを考えても制度は維持すべきと思うんですが。
 
ただ、
給食費を払わない奴は非国民」
「いやあれは高すぎる」
「どんだけ貧乏なんだよ!」
とかいう言い合いの前に、
「子どものいない国民の負担こそ大きい。国民の血税を投じて制度を維持する必要があるのか」
……といった議論が出てこないのが不思議です。
 
給食制度は維持すべきと思いますが、民営化して経営を効率化するとか、都市部などで試験的に実施してもいいんじゃないでしょうか?