運動会がありました。
運動会というのは、子どもたちはたいてい喜んでやることが多いのですが、実のところ、教師は受付に張り付いていたり用具の準備で走り回っていたりと、なかなか子どもたちの様子を見ることができず、疲れるだけのことも多い行事なのです。
まあ、客ではなくスタッフだから仕方ないと言えば仕方ないんですが……。
子どもの評価とかはどうすれば?
さて、幸いにして天気に恵まれ、青い空にはためく万国旗。
見ればその中に、赤地に交差した黄色い鎌と槌の……
「ウラー! ソヴィエト万歳! 共産主義は歴史の必然なのだ!」
まあそれはともかく。
思わず、他にも変な国旗がないか探してしまいましたが、さすがにドイツ第三帝国(ナチスドイツ)とか朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とかドイツ民主共和国(東ドイツ)とか、あからさまに変な旗はないようでした。
でも、どこの国旗だか知らないのも多かったので、ひょっとしたらユーゴスラビア国旗とかザイール国旗とか満州国国旗とか、デザインをよく知らないけどおかしな国旗がもっと混じっていた可能性もあります。
そうだとしたらおしいことをしました。やはり教員たるもの、研究と修養に励まねばなりませんね。
まあ、満州国はないと思うけど。
さて、種目の中には、点数にならず、やってきた来賓やお年寄りにおみやげを渡すことを目的にしているような種目もあります。
今年度、私も担当している低学年の子どもたちは、高齢者種目に出場しました。
お年寄りの方は、折り返し地点のパイプ椅子に座って待っています。
子どもたちはそこまで駆けていって挨拶をした後、折り紙で作ったペンダントを首にかけてあげて、お年寄りの肩をたたいてから戻ってくるのです。
よく、「最近の子どもは自己中」「公共心がない」とか言われますが、子どもたちは丁寧に折り紙を折り、裏にお年寄りの方へのメッセージを書いていました。
で、当日。
最初はまあまあ順調だったのですが、途中でハプニングが。
競技に参加してくれるお年寄りが少ないため、一人のお年寄りが3組くらいの子どもからペンダントをもらうような形になっていました。
そのことはちゃんとお願いしてあったのですが、2組くらい終わったところで、折り返し地点に座っていたお年寄りたちがぱらぱらと帰り始めたのです。
「ああ、もうペンダントはいいわ。2つももらったし」
「ここ座ってると暑いし」
ちょっと待てーッ!
その気持ちもわからんではないですが、それじゃあ後の子どもたちはどうなりますか?
ええい、言葉で言ってわからぬのなら、あとはただ実力行使あるのみッ!
「さあまだ走っていない2年生のみなさん聞いて下さい。
さっきまであそこにいたお年寄りたちが今度は逃げていきますから、みなさんはそれを後ろからつかまえて首にペンダントをかけてあげるんですよ? わかりましたか? わかりましたね? よしわかった! では位置についてッ! 用意、ドンッ!」
運動会。
子どもたちは喜んでやるのですが、教師は……。
疲れました。精神的に。
よく、「最近の子どもは自己中」「公共心がない」とか言われますが。
ええとその。
我々大人も、自らの身を振り返る必要があるのではないでしょうか。