教員採用試験対策(個別面接編)

教員採用試験対策の第三回。
 
小論文編はこちら→http://d.hatena.ne.jp/filinion/20060722
集団面接編はこちら→http://d.hatena.ne.jp/filinion/20060723
 
教員採用試験対策を書いて以来、通常の三倍のスピードでカウンタが回っている今日この頃、受験生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
一日のユニークアクセスが100を越えることがあるなんて思いもよらなんだ。
 
……ただでさえ公立学校とその職員を軽く見る人が増えている上に、免許が更新制になって人材確保法も廃止されようかというのに、まだ教員になりたい人も多いんだなあ……。
 
それでもなお教員にやりがいを感じる、という受験生なら、きっと素晴らしい教員になるに違いなく。
皆様の合格をお祈りしておりますが私の学校には来ないでください。私が誰だかばれると嫌なので。
 
もう二次試験が終わってしまった人もいるでしょうし、この土日に県外で受験する人は、すでに今日のうちに現地入りしてホテルに泊まってるかと思うんですが、一応。
 
とはいえ、私、個別面接についてはあんまりノウハウ的なものはないので、割と受験体験記みたいになります。*1
「えー」って人はこんな文章読まないで勉強して下さい。
 

エスかノーか?

公開討論をする時は特にそうですが、相手が提示した二者択一のどっちかを選んだら負けです。
 

Q:ねえねえ、髪型変えたのー。前の髪型とどっちがいい?
 
A1:前の髪型の方がいい
→じゃあ、この髪型は嫌いなんだ! うわーん。 ふん!
 
A2:今の髪型の方がいい
→じゃあ、前の髪型は嫌いだったんだ! うわーん。 ふん!
 
どないせいっちゅうねん。
 
……話を戻しましょう。
 
二者択一を提示された場合、どちらかを選ばなくてもいい、というか、示されていない選択肢を探しましょう。
 
例えば、
「勤務校の運動会に休暇をとって、自分の子どもの運動会の応援に行く先生をどう思いますか?」
みたいな質問をされたとします。
 
個別面接は討論の場ではありませんが、ここで賛成反対どちらかの立場を選ぶ必要はありません。
 
これは、いわば道徳のジレンマ教材みたいな質問です。
ジレンマ教材を提示されて即答してしまう子どもというのは、答えがどっちであっても教師としてはわりと心配です。
「ちゃんと考えたか?」
みたいな。
 
なので、とりあえず
「ええと、Aには〜〜というメリットがあるけど〜〜というデメリットがあって、逆にBには〜〜というメリットがあるけど〜〜というデメリットがあると思います」
と、「ちゃんと問題を理解してますよ」というアピール。
 
まあ、要するに、どっちも選びかねる時は、迷っていることをそのまま言えばいいと。
 
で、考え深さをアピールしつつ、どうすればいいのか考えましょう。
ABどっちかを選ぶのではなくて、その折衷案、可能ならば両者を昇華したより優れた案を出すのが目標です。
 
この運動会の話であれば、

  1. 運動会では人手が足りないのが常なので、基本的には勤務校の運動会を手伝うべきだと思う。
  2. 運動会で、自分のクラスの子どもたちの成長を見てあげるのも、教師のつとめではないか。
  3. しかしながら、保護者の応援というのは子どもにとってかけがえのないものだとも思う。(自分には子どもがいないが)他人の子どもの面倒ばかり見て、自分の子を構ってやれないのは残念なことでもある。
  4. 学校の規模等にもよるだろうが、もしも人員的に可能で、周囲の理解が得られるのであれば、休暇をとることも許されるのではないか。
  5. 望ましいのは、他校と運動会の日程が重ならないようにすることだが、学校職員は校区よりずっと広い範囲から通勤してきているので、実際には難しいと思う。
  6. 自分がその立場になったら、やはり勤務校の運動会を優先すると思うが、他の先生が休暇を取るとしても、それは認めてあげたいと思う。

……かなあ? (「認めてあげたい」のであって「認めて欲しい」のでないのがなんとも苦肉の策)
 
このへんは主観だと思うので、これが「模範解答」だと言うつもりはありません。(保護者や子どもが見てどう思うか、とか色々抜けてますし)
ただ、内容はさておき、「Yes or No」で聞かれた時でも、このくらいあれこれ言ってもいいと思う、という例として。
 

答えられなかった質問

 
その1
(望ましい教員像などについてのやりとりの後)
「さて、K村さん、それではおたずねしたいんですが、ご自分の、教師として欠けていると思う資質はなんですか?」
「えっ……」
 
アピールすることばかり考えていて足りない点を考えていなかったこの失策。
まあ、明らかに準備不足でした。
自分を長所短所両面から分析するのはとても大事ですね。
 
「あー……あの、やはりまだ経験が不足していることだと思います」
「なるほど。 でも、それは資質ではないですよね?」
「う……っ。……おっしゃるとおりです……」
 
二次試験では、わりと厳しくつっこまれることも多いので注意。
 
その2
「えーとね、K村さん。今日のダウ平均株価はいくらですか」
「え? あの、いや……」
「わかりませんか」
「はい……」
「じゃあ、今、円高ですか円安ですか」
「えっ……と」
 
どっちだっけ?
 
「あのねえK村さん。教員というのは、ただ勉強ばかりして頭でっかちになるのではなくて、新聞とかテレビとか、なんでもアンテナを張って幅広く情報を吸収してね、それを子どもたちに面白く伝えられることが大事なんじゃないかと思うんですが、どうですか」
「……おっしゃるとおりです……」
 
厳しく突っ込まれます。
 
しかし思えば、これはそもそも回答を期待していない質問だったと思います。
証券会社の面接ならともかく、教員採用試験の受験者がダウ平均株価なんて即答できるほうがおかしい。
 
つまり、そこでどう対応するか、を見られているわけですね。
だから素直に、
「すみません勉強不足でわかりません。後で調べておきます」
って答えた方が良かったんだと思います。
 
質問に答えられないことはマイナス評価ではない。
……こともある。
 

面接終了後

 
「えー、では、K村さん、これで規定の質問は終わりました。以上で試験は終了です。 ……なので、これは雑談として聞いて欲しいんですが……」
 
罠だ! だまされるな!
 
あー、いや。
実際には、本当に試験は終了していてこれは雑談なのかも知れませんけど。
 
でも、
 
「あ、そうスか? じゃあ言いますけど、正直、自分、ガキって嫌いなんスよねー」
 
とか言ったらきっと落ちます。たとえ雑談でも。
 
だから、試験会場から出るまで気は抜かない。
 
……いやでも、「雑談だ」って言ってるのに、いかにも「だまされるものか!」みたいに張りつめた表情をしていると、それはそれで印象悪いかも知れないですか。
 
「やっぱり多少緊張はしているけど少し肩の力を抜いた雰囲気」
を醸し出して下さい。がんばって。
 
……まあ、そんなこと言われたのは一度だけだけどなー。
 

イメージトレーニン

「友人と模擬面接をしてみると、練習になるだけでなく、面接官の気持ちもわかるので良いでしょう」
……とか言われますが。
 
なかなか実際にはそれも難しかったので、私は、
「教員採用 面接試験の答え方(教員採用試験情報研究会)」
という本を参考にしました。
 
2007年度版が出ていますが、まあ、何年度版でも大差ない……んじゃないかなあ?
 
これは、都道府県別の面接の形態についての説明や、先輩の受験体験記も載っているのですが、何より、想定質問と模範解答が載っているのが有益。
 
……と言っても、「模範解答」が本当に正解というわけではありません。
著者は著者でちょっと偏ってるし。
 
私が持っていた版では、
「スズメの学校とメダカの学校、どちらが理想の学校だと思いますか」
という問いに、「スズメの学校」というのが模範解答になってました。
 
んー、私としては、「誰が生徒か先生か」では困るのは確かだけど、「鞭を振り振り」も現代ではまずいと思うんだよな……。
 
選んだら負け、と、私は思いますが。
 
ですので、「面接試験の答え方」なんてタイトルですが、その通りに答えればいいというものではなく。
「模範解答」は一つの参考に過ぎません。
 
重要なのは想定質問。
それを見て、「自分だったらどう答えようか」を考えてください。
 
そうしておけば、当日、思いもよらぬ質問をぶつけられてあわてふためく可能性が減りますし、読んで考える過程を通して、自分の考えも深まりますので。
 
大して高い本でもない(770円)し、「ハンドブック」級の大きさの本なので、試験会場まで持って行けますよ。
 
……アフィリエイトしてるでもないのに宣伝してもしかたないんだけどなー。
 
まあ、前にも書きましたが、ドアの開け閉めとかあいさつとか、小手先の技をどんなに鍛えても、話す中身がだめならだめですけども。
結局、よく言われる「自分なりの考えを持つことが大事」って話になってしまいますね。
その「自分なり」が、教育委員会の方針とかけ離れていると、厳しいことになるわけですが……。
 
ともあれ、受験生の皆様の健闘をお祈りしております。

*1:個別面接を受けた回数は、小論文・集団面接を受けた回数より少ないので。ノウハウを言えるほど経験がないです。