学校勤務だけどChatGPTの使い方を考えてみた。

 春休みですね。卒業、進級おめでとうございます。
 先日の卒業式に先だって、教務主任からこう言われました。
 
「K村先生、卒業式の開式の前、保護者が会場で待機してる時間に、会場で流しておくBGMを考えて欲しいんだ。
 クラシックで……たぶん前にそういうの詳しい先生がいて、CD-Rとか残ってると思うんだけど」

 
 探したけど残ってませんでした。
(式中に使う曲のCD-Rは残ってた)
 
 さあ困った。
 私は音楽とか全然分かりません。
 音楽主任に聞いてもいいけど、音楽主任が今年度の卒業担任でハチャメチャに忙しくなかなか捕まりません。
 
 卒業式関係の曲でググると、「G線上のアリア」とか「パッヘルベルのカノン」みたいな、卒業証書授与の曲や、「桜の栞」「GIVE ME FIVE ! 」みたいな卒業ソングはたくさん出てくるのですが、「開式前のBGM」というピンポイントだと難しい。
 
はてな人力検索で聞くか……」
 
 ……と思ったその時ハッと気づいたのが
「AIに聞けばいいんじゃね?」
 
 幸いにして、ChatGPTのアカウントはすでに持っていました。
 今までは、色々なことを尋ねて、トンチンカンな回答をするのを楽しんだりしていたのですが……。
 

 テキスト起こし。

卒業式の会場で、開式前にbgmとしてクラシック曲を流します。
候補となる曲のリストを作成してください。
式典にふさわしい曲で、なおかつ明るい曲を挙げてください。

ChatGPTの回答は、

以下は、卒業式の会場で流すことがふさわしい、明るいクラシック曲の候補リストです。選曲にあたっては、学校のイメージや雰囲気に合わせて、最適なものを選んでください。
 
1.モーツァルト: アイネ・クライネ・ナハトムジーク
2.ベートーヴェン: 交響曲第9番「合唱」第4楽章
3.ブラームス: ハンガリー舞曲第5番
4.ヴィヴァルディ: 春(四季)
5.シュトラウス2世: こうもり序曲
6.ラヴェル: ボレロ
7.ショパン: 華麗なる大円舞曲
8.グリーグ: ピアノ協奏曲イ短調 第1楽章
9.ハイドン: 交響曲第45番「別れの交響曲
10.シベリウス: フィンランディア
 
これらの曲は、明るい雰囲気を持ち、式典のスタートにふさわしい曲が含まれています。ただし、式典の性格によっては、より穏やかな曲を選ぶ必要がある場合もあります。

 うおっ、すごい! 知ってる曲もあるけど知らない曲がいっぱい!
 ただ、試しにYouTubeで聞いてみると、いささか賑やかすぎる感じもしました。
 AIが
「式典の性格によっては、より穏やかな曲を選ぶ必要がある場合もあります」
 と忠告しているとおりでした。
 
 もう一度質問。

もう少し穏やかな曲でリストを作成してください。リストに
ヘンデル:水上の音楽
を含め、それに全体の雰囲気を合わせてください。

以下は、卒業式の会場で流すことがふさわしい、穏やかなクラシック曲の候補リストです。ヘンデルの「水上の音楽」を含め、全体的にやさしく優雅な雰囲気の曲を選んでいます。
 
1.ヘンデル: 水上の音楽
2.モーツァルト: アイネ・クライネ・ナハトムジーク
3.シューベルト: 交響曲第5番 第2楽章
4.メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲ホ短調 第2楽章
5.フォーレ: パヴァーヌ
6.ドビュッシー: 月の光
7.ハイドン: 弦楽四重奏曲「皇帝」第2楽章
8.ショパン: ノクターン第2番
9.サティ: ジムノペディ第1番
10.シューマン: 交響曲第1番 第2楽章

これらの曲は、優雅で穏やかな雰囲気を持っており、ヘンデルの「水上の音楽」と合わせて、式典の全体的な雰囲気に合わせた曲となっています。

 ちゃんとこちらの注文を理解してるのすごい……。
 
 ……いや、原理的にはChatGPTは何一つ「理解」などしておらず、渡されたテキストに対して「最も妥当性が高そう」なテキストを生成してるだけ、のはずなのですが、使っている限りはすごく「理解している」ように見える……。
 
 ともあれ、割といい感じだけど、今度は穏やか過ぎる感じがします。
「~を含めて」がうまくいったので、今まで挙げてもらった曲でイメージに合ってたのを候補に含めてみます。

リストに以下の曲を含めて、2つ目よりも少し壮麗な曲のリストを作成してください。
ヘンデル:水上の音楽
モーツァルト: アイネ・クライネ・ナハトムジーク
F.シューベルト 交響曲第5番 第2楽章
ハイドン: 弦楽四重奏曲第77番「皇帝」第2楽章
ショパン: ノクターン第2番
シューマン 交響曲第1番 第2楽章
ハイドン: 交響曲第45番「告別」第4楽章

以下は、卒業式の会場で流すことがふさわしい、壮麗なクラシック曲の候補リストです。前回のリストに加えて、ハイドンの「告別」交響曲の第4楽章を含め、力強く華やかな曲を選んでいます。
 
1.ヘンデル: 水上の音楽
2.モーツァルト: アイネ・クライネ・ナハトムジーク
3.F.シューベルト: 交響曲第5番 第2楽章
4.ハイドン: 弦楽四重奏曲第77番 「皇帝」 第2楽章
5.ショパン: ノクターン第2番
6.シューマン: 交響曲第1番 第2楽章
7.ハイドン: 交響曲第45番 「告別」 第4楽章
8.ベートーヴェン: 交響曲第5番 「運命」 第1楽章
9.チャイコフスキー: 交響曲第5番 第2楽章
10.メンデルスゾーン: 交響曲第4番 「イタリア」 第1楽章

これらの曲は、壮麗な雰囲気を持っており、式典の場で華やかに響く曲が含まれています。ただし、式典の性格に合わせて、曲を選ぶことが重要です。

 また警告されていますが、わりといい感じの曲を挙げてくれました。
 ……ただ、なぜかAI側で「10曲のリストを作る」という作業になってしまっていて、7曲候補を挙げたら3曲しか出してくれない……。
 
 リストに追加してもらいます。

最後のリストにさらに5曲追加してください。

以下は、最後のリストに追加した、卒業式の会場で流すことがふさわしい、壮麗なクラシック曲の候補リストです。
 
1.ヘンデル: 水上の音楽
2.モーツァルト: アイネ・クライネ・ナハトムジーク
3.F.シューベルト: 交響曲第5番 第2楽章
4.ハイドン: 弦楽四重奏曲第77番 「皇帝」 第2楽章
5.ショパン: ノクターン第2番
6.シューマン: 交響曲第1番 第2楽章
7.ハイドン: 交響曲第45番 「告別」 第4楽章
8.ベートーヴェン: 交響曲第5番 「運命」 第1楽章
9.チャイコフスキー: 交響曲第5番 第2楽章
10.メンデルスゾーン: 交響曲第4番 「イタリア」 第1楽章
11.ブラームス: ハンガリー舞曲第5番
12.シューベルト: ロザムンデ序曲
13.モーツァルト: ピアノ協奏曲第21番 第2楽章
14.シュトラウス2世: ワルツ「美しく青きドナウ
15.ワーグナー: 「ローエングリン前奏曲

これらの曲も前回のリストに比べて、力強く壮麗な曲が多く含まれています。しかし、式典の雰囲気に合わせて曲を選ぶことが大切であるため、卒業式の性格に合わせたリストを選んでください。

 ……というわけで、最終的にいい感じになりました。(この15曲をそのまま使ったわけではなく、結果的にはその半分くらいに絞ったのですが)
 
 人間相手にこのやりとりをしたら相当面倒がられると思うのですが、ChatGPTはものの数秒でリストを再提出してくれるからすごい。
 
 ……っていうか、これ、はてな人力検索は存亡の危機なのでは……?
 
 ともあれ、すでに業務でバリバリ活用されている方からしたらこんなの初歩の初歩だと思います。
 でも、公立学校ではまだChatGPTなんて使ったことない人の方が圧倒的に多いでしょうからね。
 この業界では私が最先端と言ってもいいな!
 
 ……などと思っていたらなんかもっと「先進的」な事例が出てきて仰天。
note.com
 どこやらの教育委員会で、子どものデータをAI(ChatGPTとは書いてない)に渡して、不登校などの問題行動の早期発見を行おうとしている、という話。
 
 マジか……。
 私が想像するよりずっと腰の軽い行政部局が存在したわ……。
 
 隊長が怒っているとおり、問題行動を予測するには充分な教師データが必要なわけで、それがない状態で児童生徒のデータを分析させても、プライバシー流出の危険が増すだけで、まともな結果が出るとは思えません。
 ChatGPTは、不充分なデータでも「一見もっともらしそうな回答」をしてくるからタチが悪い。
 
 ……子どもの問題行動早期発見を行うAI、というのはいずれ必ず出てくるだろうと思うのですが、それは今ではない。
 
 ともあれ、教育機関でのAI活用は思いのほか乗り気だということがわかりました。
 まあ……人手が足りないからな……。
 
 それで、「BGMのリスト作成」よりもう少し踏み込んだ作業ができないか、ということで、「日記・作文のコメント作成」を試してみました。
 
 なお、以下の例に出てくる作文等は、外部サイトに「小学生の作文の例」として出ていたもので、実在の児童の作文ではありません。
 また、最後に書くとおり、実際にAIが生成したコメントを私が教室で使っているわけではありません。
 
 まず、ネット記事を参考に、AIにやって欲しいことを定義します。

あなたは、小学校の教師として、私が示す作文に対してコメントを書いてください。
 
条件:
*肯定的なコメントをする。
*コメントは50文字前後。
*小学生の名前は増田君。
*6歳児にもわかる文章で書く。

方針:
*作文に書かれた喜ばしい内容があればそれをピックアップし、それの何が良いのかを表現します。
*必ず、作文の内容から、書いた人の努力や人間性の良さを見出し、それを賞賛します。
*作文の表現に良さがあればそれを褒めます。
*賞賛する表現は、1つずつ違うものにします。「素晴らしい」を複数回使ってはいけません。

コメントの例:
*自転車に乗れるようになって良かったですね!
*リレーで一位になれてすごいですね!
*一生懸命練習をがんばった増田君は立派ですね!
*妹と遊んであげる増田君はやさしいですね!
*いきいきした表現で、様子が伝わってきます。
*増田君のうれしかった気持ちがよくわかる文章ですね。

増田君、素晴らしい作文ですね!自分で考えた言葉がとても鮮やかで、読んでいて楽しい気持ちになりました。おめでとう!将来が楽しみです。

 私は増田君じゃねーっての。
 ……こっちの説明をすでに「作文」だと思ってコメントを始めている……。
(なお、こちらで挙げた条件は私が考えたもので、「子どもの作文にコメントする上でこれが最善だ!」というものではないです)
 
 なお、
「「素晴らしい」を複数回使ってはいけません」
 と言わないと、
「素晴らしい作文ですね! 楽しい体験ができて素晴らしいです! 増田君は素晴らしいですね!」
 とか、「素晴らしい」を連呼する現象が発生しました。
 
 気を取り直して、作文の例を投げてみます。
(以下、「作文」のテキストは以下のサイトのものです)
manabi-enjoy.com

ぼくは土曜日にお父さんと魚釣りに行きました。朝の5時に家を出発したので、とても眠たかったです。お母さんは家で留守番です。
どこに魚釣りに出かけたのかというと、海です。お父さんが「車で2時間もかかるぞ。」と言っていたけれど、本当に2時間くらい車に乗っていました。海は遠いなと思いました。海に着くと、水がとてもきれいだったので驚きました。大きな魚が釣れるかもしれないと、何だかワクワクしました。
お父さんがエサの付け方を教えてくれました。そして釣り始めました。何度か魚がエサを食べていました。でも、なかなか釣れませんでした。もうあきらめて帰ろうとしたときのことでした。ぼくの竿がグーンと大きく曲がりました。あわてて竿をつかみましたが、何も釣れていませんでした。「今日はあきらめて帰ろう。」とお父さんが言ったので帰りました。
魚は釣れなかったけれども、海で遊んだので楽しかったです。

増田君、とっても楽しそうな土曜日を過ごされたようですね!お父さんと一緒に魚釣りに行くという経験は、きっと大切な思い出になりますよ。きれいな海の風景や大きな魚を釣る期待感を描写する表現が良かったですね。次回はぜひ、大漁を期待してみてください!

 ……わりとちゃんとしている気がする……。
 

わたしは日曜日に父と博物館に行きました。博物館では恐竜展が開催されていて、いろいろな恐竜の模型が展示してありました。わたしが一番驚いたのは、ティラノサウルスという恐竜の大きさでした。映画で見たものと違って、目も口も歯も予想以上に大きかったのです。
体験コーナーでは、化石の発掘体験ができました。わたしは「化石が見つかるといいな」と思って挑戦しました。グルグルと巻いた模様のアンモナイトという貝の化石を見つけました。家に帰ってアンモナイトについて調べてみることにしました。
いつか機会があれば、また化石発掘に行きたいです。

増田くん、博物館での体験が素晴らしかったですね!ティラノサウルスの大きさに驚いたんだね。そして、アンモナイトの化石を見つけたんだね。調べるのも楽しそうですね。これからもいろいろな体験をして、興味を広げていってくださいね!

 急に語尾が「ね」になったぞ。
 
「書いた人の努力や人間性の良さを見出し、それを賞賛します」
 という条件が無視されている気がするので、条件文をもう一度渡した上で続けました。
(条件文を渡すと、またそれを作文だと勘違いする、というコントが発生しました)
 

「ドッカーン!ドッカーン!」
これは、夏祭りの花火の音です。毎年、祭りの最後に打ち上げ花火があります。きれいな花火がいくつも上がるので、わたしは花火が大好きです。
今年の夏祭りは、おじいちゃんと弟と行きました。出店がたくさんあって、何を買おうか迷いました。かき氷とたこやきをおじいちゃんが買ってくれました。たこ焼きは弟といっしょに食べました。大きなタコが入っていておいしかったです。
金魚すくいを弟がしました。大きな金魚をすくいたいとねらったけれど、逃げてしまいました。でも、お店の人が同じくらい大きな金魚をくれたのでよかったです。また来年も夏祭りに行きたいです。

増田君、素敵な夏祭りの作文ですね!花火の音や美しい光景を想像しました。おじいちゃんと弟と楽しい時間を過ごせたのは素晴らしい経験です。かき氷とたこ焼きもおいしかったようですね。金魚すくいで逃げられたけれど、お店の人が同じくらい大きな金魚をくれたのは優しい行為でしたね。また来年も楽しみにしていますね!

 お店の人の人間性を賞賛し始めてしまうChatGPT。
 

日曜日が雨だったから、わたしは一日中家にいました。家の中には、お母さんと妹とわたしの3人がいました。妹はお絵かきをして遊んでいました。
「何をかいているの?」
わたしが聞くと、雨の絵をかいていると言いました。おもしろそうだったので、わたしもいっしょにお絵かきをしました。窓から庭に雨が降っているのをながめて、絵をかきました。色えんぴつで色をぬりました。妹も上手にかいていました。できあがった絵は、お父さんが帰ってきて見せました。
「上手にかけているね。」
ほめてくれました。うれしかったです。

増田君、すばらしい日曜日の過ごし方ですね!家族と一緒に過ごす時間は大切です。雨の日でも楽しめることが見つかったのはすばらしいですね。絵も上手にかけていて、お父さんから褒められたのは素晴らしいです!家族で楽しく過ごせた日は、宝物になりますね。

「素晴らしい」と「すばらしい」は別の表現だということなのかしら……。
「雨の日でも楽しめることが見つかったのはすばらしいですね」
 が、人間性への賞賛だと言えないことはない……かな?
 

プールに行きました。
プールについて驚きました。人がたくさんいたからです。大きなプールも、小さなプールも、どのプールも人でいっぱいでした。特に多かったのは、すべり台があるプールでした。すべり台の後ろにある階段に、長い行列ができていました。
ぼくは、お父さんに泳げるようになったところを見せたかったので、大きなプールに入りました。
「お父さん、見ててよ。ぼく向こうまで泳ぐから!」
ぼくは、お父さんにそう言って、25mをクロールで泳ぎました。と中で、水を少し飲んで苦しかったけれども、がんばって泳ぎました。25m泳ぎおえると、お父さんが、
「すごいぞ。じょうずに泳げていたぞ。」
大きな声でほめてくれました。とてもうれしかったです。お父さんと競争したり、水中でじゃんけんをしたり、とっても楽しいプールでした。また行きたいです。

プールに行って楽しそうですね!お父さんと一緒に泳いだり、競争したり、じゃんけんをしたりして、とても充実した時間を過ごしたようですね。

泳ぐことは、体を動かして健康になるだけでなく、自信をつけることもできます。25mをクロールで泳ぐことができたのは、すごいことですね!お父さんからの褒め言葉も、さらに自信につながったでしょう。

また、プールにはたくさんの人がいたようですね。すべり台の列も長かったようですが、楽しんで過ごせたようで何よりです。プールに行くことで、新しい友達もできるかもしれませんね。次回も楽しい思い出が作れるように、準備していきましょう!

 

今日から、学校のオンライン授業が始まりました。休校で、ずっと友達や先生と会っていなかったので、たのしみでした。
時間になったので、お母さんといっしょにタブレットの準備をしました。画面に先生の顔がうつりました。友達の顔もうつりました。みんなと会えたので、とてもうれしかったです。
先生が、「みなさん、元気にすごしていますか。」と言いました。
ぼくは、「元気です。」と答えました。
先生の話を聞いて、オンライン授業は終わりました。明日も楽しみです。

よかったですね!オンライン授業が楽しかったようですね。家で学ぶことは、時に孤独に感じたり、退屈に感じたりすることもありますが、友達や先生と一緒に学べるのは素晴らしいことですね。明日も頑張ってください!

 自分がその「先生」だという自覚はない模様。
 
 ……ここまで、なんやかんや言って割と妥当なコメントをしてきたChatGPTですが、それは作文サイトに載っている「良い作文」だからなのでは? と思い、箸にも棒にもかからないタイプの小学生日記を投げてみました。(なので以下は自作のテキストです)

 きのう、友だちがうちにあそびにきていっしょにあそびました。
 かくれんぼをしてあそびました。
 そのあとおやつをたべました。
 たのしかったです。

それは素敵な一日ですね!友達と過ごす時間はとても大切で、楽しい思い出になりますね。かくれんぼは、みんなでワクワクしながら遊ぶので、とても楽しいですよね。また、おやつを食べるときも、友達と話したり笑ったりしながら、とても楽しい時間を過ごせますね。次回も楽しい時間を過ごせるといいですね!

 ……ちゃんとしている気がする……。
 
 ……というわけで、実験的にコメントを考えさせたところ、だいぶいい感じの文章を書き出してくれることが分かりました。
 
 ただし、それではこれをそのまま教室で使えるか、むしろすでにこういう手抜き(子どもの作文読まずにコメントするんだから「手抜き」と言って差し支えないと思います)をしている教師が存在する可能性があるか、というとまあないんですけど。
 
 なぜかというと、そもそも教室でのやりとりは紙ベースだから。
 
 子どもの文章をAIに投げるのはまあOCRで解決できるとしても、AIが出力した「コメント」を教師が赤ペンで転記するのでは、全然省力化にはなりません。
 というか、作文へのコメントって、子どもの作文読みながら同時進行で脳内に思い浮かぶと思うので、文面を考えること自体はそこまで大変でないです。
 
 まあ、子どもが作文をクラウド上にテキストで提出して、教師がそこにテキストでコメントする……みたいな環境ならこれが使える可能性はあります……が、そういう状況では、むしろ子どもの提出した作文がAI出力である可能性を考えた方がいいかも知れないですね。
 
 使えないならなんでこんなことしたんだ、という話ですが、まあ……実際使える「手抜き」を試してネットに晒すと炎上しそう、ということもありますが、何より「子どものよさを見つけ、賞賛する」という重要な仕事をAIが行えるのかを試してみたかったのです。
 小学校の教員は、「AIに代替されない仕事」の上位に入っており、数年前には「最後まで人間に残されるのはクリエイティブな仕事と感情労働」などという言説が一般的でした。
 
 しかしながら、こうして見てみると、「子どもの話に寄り添い、子どもを褒める」というまさしく「感情労働」的なことを、ChatGTPがかなりの水準で行えることを感じます。
 
 まだGTP4は試していないのですが、ChatGTPがわりとすぐ記憶を失う(「教師としてコメントする」という前提を忘れ、突然作文を英訳し始めたりすることもありました)のに比べ、長文を扱うことができ、画像にコメントすることもできるとのこと。
 つまり、子どもが書いた「アサガオのスケッチ」を見て「葉の形をくわしく書いていますね!」とかコメントすることも可能だし、なんなら、児童一人分の成績資料を渡すと通知表のコメントを書くことが……できるのはまだ先かも知れませんが、いずれ可能になるでしょう。
 
 ファミレスで配膳を行っているようなロボットが教室内を「担任サポートロボット」として周回し、「字が上手になりましたにゃー!」「いい姿勢でかっこいいにゃ!」「けんかはやめてにゃー!」とか子どもに声かけする時代はそれほど遠くないのかも知れません。
 ……少なくとも、私が高齢者施設に入る頃には、介護支援ロボットがいっぱい「感情労働」をやっていそうな気がします。