ウチのクラスのいじめ・不登校の事例報告(その1)

 非常に心苦しいことですが、私の学級で、「いじめを原因とした不登校」という状況が起きています。
 その話をしたいと思います。
(言うまでもないことですが、個人情報保護のため、細部は変更してあります)
 
 ただ、長くなりそうなので今回は前編、前年度までの話。
 
 ただ、これはもちろん担任サイドから見た話……「一方的な意見」に過ぎないことはご了承ください。
 

学級紹介

 今年度、私が担任しているのは4年生です。
 1・2年生の時も私が担任していました。
 
 これはたぶんかなり珍しいことだと思います(他県のことは知りませんが)。
 
 本校は小さな学校で、1学年=1クラス。
 つまりクラス替えがないわけですから、さらに担任まで変わらないというのは、担任のカラーが強くなりすぎて色々問題もあります。
 
 なので、小学校6年間に、同じクラスを同じ教師が3年以上担任する……ましてや1・2と持ち上がっていったん離れたクラスを、出戻りのようにしてまた担任する、という人事は普通ありません。
 4月の担任発表の時には、先輩のY先生も
「こんなことってあるんだねえ……」
 と驚いていたほどです。
 
 さて、このクラスは、1年生の時から総じて理解力が高く、問題行動も少なく、話をきちんと聞くことができる、落ち着いた子どもたちでした。
 
 ……まあ別に私の手柄ではなく、入学式から落ち着いていました。
 
 あえてトラブルを抱えていた児童を挙げれば、A児(男児)でしょうか。
 
 A児は、入学以前の段階で広汎性発達障害*1の診断を受けており、いわゆるADHDっぽい子。
 ……といっても、授業中に叫んだり立ち歩いたりするわけではないのでまあ大人しい方です。
 
 自分の気持ちをきちんと言葉で伝えることが難しく、不満があると手が出てしまうタイプ。
 
 また、衝動性が強く、例えば休み時間になると教室から飛び出していこうとし、その途中で他の子にぶつかったりします。
 そしてそれを本人は自覚していない。(そして本人にも周囲にも不運なことに、クラスで一番体が大きい)
 
 色々問題もあったのですが、1年生の後半にはA児も落ち着いてきました。
 
 ……というとまるで私の指導の賜物みたいですが、まあ病院で薬をもらうようになったらそれが効いたのです。
 
 口下手なのは相変わらずですが、見違えるように落ち着いた雰囲気になり、以前は周囲から怖がられ、避けられていたA児が、逆に遊びに誘われるようになりました。
 
 余談ながら、これが子どもに向精神薬を飲ませるのを過度に忌避すべきでない理由だと思うのですよね……。
 向精神薬は、単に「大人の都合で問題行動を抑制する薬」ではなく、薬の効果で行動が落ち着けば、周囲の子も安心して付き合えるようになるし、友達ができれば社会性も育まれる。
 
 いわば「社会性が育って友達ができる薬」なわけで、そんなのむしろ私も飲みたい。
(ただの非コミュには効きません)
 
 ともあれ、そのようにして1年生(の後半)と2年生はおおむね平穏に過ぎ去り、3年に進級するのと同時に、N先生に学級を引き継いだわけです。
 
 N先生は名目上は新採用で、本校では一番若いのですが、まあ他県で数年間の経験があって「本県では新採用」という先生です。
 
 ……なんというか、私みたいな指導力の低い教員や、N先生みたいな若い先生には、問題を抱えた学級の担任は任されないわけですよ。うむ。
 
 言い換えれば、2年修了時のクラスは
「新人のN先生にも任せられる程度に落ち着いた学級だ」
 と思われていたわけで、まあその点は担任として誇りに思います。(よかった探し
 
 ……で、3年になったら、不登校が2件発生、という状態になりました。
 
 落ち着いていたように見えたA児が再び友人に暴力を振るうようになり、ちょっとしたことでキレて暴れだし、担任と養護教諭が二人がかりで押さえ込んだり、といったことも頻発。
 やがて学校も休みがちに。
 
 そしてもう一人、B児が、3年の始業式直後から学校を休んでしまい、そのまま欠席と保健室登校を行ったり来たり、という状況になってしまいました。
 A児はともかくB児はほとんどノーマークだったので、当時非常に驚きました。
 
 はてな民が大嫌いな(私も嫌いですけど)TOSS(教育技術の法則化運動)の向山洋一が、
「以前担任していたクラスで問題が起きると、前担任として心配したり、責任を感じたりするかも知れない。
 しかし、いったん学級を手放したら、その後は次の担任の責任だ。
 進級して3ヶ月もしたら、学級内で起きる出来事は新担任の責任なのであって、前担任が責任を感じる必要はない」
 というようなことを言っています。*2
 
 いやでも、3ヶ月どころか3日くらいですからね。
 
 さすがに
「何かサインがあったのではないか? ずっと悩みを抱えていたのでは?」
 とか思ってしまいました。
 
 ただ、一番問題を抱えているのはA児でもB児でもましてN先生でもなく……という話は以下次号。
 

*1:なんか今は「自閉症スペクトラムの一種」扱いで、こういう風には呼ばないらしいですが。

*2:本から引用してるわけではないので要旨しか合ってないです。