ウチのクラスのいじめ・不登校の事例報告(その2)

 昨日の記事「ウチのクラスのいじめ・不登校の事例報告(その1)」の続き。
 
 今回で終わりにしようと思ったけど、前年度までのことを書いていたら長くなってしまったので、4年生になってからのことはまた別の記事にします。すみません。
 

B児の紹介

 昨年度から不登校気味になった……そして今も不登校であるB児(男児)について。
 
 入学当初から、とても真面目な子でした。
 学力的にはそこそこですが、授業中はいつも良い姿勢で集中して話を聞いており、話し方もきちんとしていました。
 
 むしろきちんとしすぎていて、
「大丈夫かこの子。何か無理してるんじゃないのか?」
 と心配になるくらいでした。
 
 ……だから、まあ、心配はあるにはあったのですが……。
 とはいえ、その意味で「全く心配のない子」というのは存在しないので。
(いつも授業中に机の上で消しゴム転がすのに夢中なC児とか、1年生で「わたしの机に誰かが悪口を落書きしました」事件を自作自演したD児とか、2年生になっても「新幹線」を「ちんかんてん」と発音する上に作文でもそう書いてるE児とか……)
 もっと心配な子は他にいる、という感じでした。
 
 そんな彼ですが、低学年で担任していて気になったトラブルが2つあります。
 どちらも、いささか不可解なものでした。
 

1年生の時のトラブル

 
 ある日、連絡帳に母親から
「隣の席の子が授業中に騒いで勉強を邪魔したり、足を蹴飛ばしたりしてくるので学校が嫌だと家で泣いています。対応をお願いします」
 と書かれてきました。
 
 しかし何しろ授業中の話です。
 そんな騒いでりゃ気付くだろ。
 
 隣の席のF児は……まあ「肝っ玉母さん」みたいな感じの子です。
 確かに声は大きいけど、授業中騒いだり、こっそり嫌がらせをしたりする感じの子ではない。
 
 とはいえ自分の観察力が乏しいのには自信があるので、副担任と、それから算数の時間だけ補助に入っていた教頭(つまり算数は3人体制で授業だった)にも相談、近くの席の子にも話を聞きました。
 しかし、やはり
「F児はそんなに騒いでない」
「足を蹴ったのは見たことがない」
 という点で一致しました。
 
 事情を聞かれたB児自身は「そういうことがあった」と言うものの、F児は心底びっくりした様子で「そんなことしてません」。
 周囲の席の児童も首をかしげるばかり。
 
K村「そもそもF児って、B児に意地悪するほど嫌いでも好きでもないと思うんですけど」
副担任「ですよねー。そもそもあんまり関係性がないというか……」
教頭「まあ、B君はちょっと感受性の強いところがあるから、何かちょっとしたことが気になったのかもね。
 ちょっとFちゃんが呟いただけでも集中できないとか。
 Fちゃんが足ぶらぶらしてたのがぶつかった、くらいのことはあったのかも」
K村「そうかも知れませんね……」
教頭「B君も、きっとかわいがって欲しいんじゃないの?」
 
 ともあれ、母親が「家で泣いている」と言うなら確かに泣いているのでしょうから、それは対応しなければならない。
 とにかく席替えをすることにして、B児は教室の一番後ろ、副担任の隣の席に移動して目を掛けてもらうことにしました。
 
 しばらく後に
K村「最近はどう? 意地悪されたりしない?」
B児「はい、大丈夫です」
K村「そう……。でも、そんな嫌なことがあったら、まず先生にも教えてね」
B児「はい」
 というやりとりがあり、保護者からもその件についてはその後連絡はありませんでした……その年は。
 

2年生の時のトラブル

 
 ある日、鬼ごっこの時に、
「先生、みんなが、ぼくが足がおそいのでバカにしてきます」
 と、ぽろぽろ涙をこぼしながら訴えてきました。
 
 しかし何しろ体育の授業中で、私も副担任も一緒にいる中でのことです。
 そんな意地悪されてりゃ気付くだろさすがに。
 どういうことなんだ。
 
 よくよく話を聞くと、鬼になった時に、周りの子が
「へいへい、こっちだぜ!」
 とか囃すのを
「足が遅いのでバカにされた」
 と認識した模様。
 
K村「そう……なるほどわかりました。じゃあ、ちょっと気持ちが落ち着くまで、先生と一緒にここでみんなの鬼ごっこ見てようか」
B児「はい」
K村「……それで、ちょっと見てごらん。『ここまでおいで』とか、鬼になった人はみんな言われてるよね?」
B児「言われてます」
K村「だからそれは……B君が嫌だったのはわかったけど、きっと、別にB君が特に足が遅いからバカにして言ったわけじゃないんじゃないかなあ」
B児「はい」
K村「B君、別にそんな足遅くないもんね? (運動能力も中の下くらいでした)」
B児「はい」
K村「どうする? ここで見学しててもいいし、またみんなと鬼ごっこしてきてもいいけど」
B児「やってきます」
 
 B児はそんな子です。
 それが、3年生になるや否や不登校になってしまったのです。
 

3年生の時のトラブル

 
 これは、当時担任だったN先生から聞いた話ですが。
 
 保護者(母親)から連絡帳で、
「ウチの子が学校で石をぶつけられたと言っている。どういうことなのか。危険ではないのか。きちんと対応して欲しい」
 という連絡があり。
 
 本人や、「ぶつけた」と名指しされた子(ちなみに消しゴムコロコロのC児)、周囲で遊んでいたという子どもたちに事情聴取したところ、要するに
「C児が休み時間に走っていて方向転換したら、小石が跳ねてB児の足にぶつかった」
 という話だった模様。
 
N先生「そうかー、じゃあわざとじゃなかったんだね?」
C児「はい」
N先生「B君、C君はわざとじゃなかったんだって。それは納得した?」
B児「はい」
N先生「でも、わざとじゃなくても石がぶつかったら痛いよね? C君はちゃんと謝った方がいいね」
C児「うん、B君、石ぶつかってごめんね」
B児「いいよ」
N先生「じゃあ、仲直りして、これからも仲良く、気をつけて遊んでね」
B・C児「はい」
 
 ……ところがこれが、B児の母親から
「学校はいじめの事実を認めようとしない」
「石をぶつけた子の肩を持っている」
 という激烈な反応を招くことになり。
 
 なんやかんやあってB児は休みがちになり、不登校保健室登校を行ったり来たりするようになりました。
 
 N先生としても色々配慮し、例えば遠足の時には班をどうするかB児の母親に相談したところ、
「この子とこの子とこの子とこの子とこの子とこの子とこの子とは一緒の班にしないで欲しい」
 というリストをメールで送られて頭を抱え、それでもなんとか班を編制して連絡したところ、
「この子とも一緒の班は嫌だとウチの子が言っている」
 というメールが来て再び頭を抱え……といったことがあったようです。
 
 そして肝心の4年生ですが……。
 いい加減長くなったので続きは別記事にします。