ちっちゃいけど おもいんだよ。

あえて「趣味」カテゴリには入れないという。
 
ご存じの方も多いでしょうが、インターネット書店amazonには、すでに持っている商品、購入予定の商品のデータを元に、その人の趣味や嗜好に合った商品を勧めてくれる機能があり、なかなか便利です。
 
ただ、自分がすでに持っている本が「おすすめ商品」として表示され、しかもそれをけっこう気に入っていたりすると、むしろ不気味なものも感じてしまったりします。
 
さて。
そんなある日。
 
こんにちは、K村さん。 おすすめの商品があります。
 

こどものじかん 1 (アクションコミックス)

こどものじかん 1 (アクションコミックス)

 
なんでだー。
 
私は、コミックならもっと渋めの絵が好きなんですがー。
蟲師とか、銃夢とかー。
 
と思っていた先日、古本屋で発見。
 
一応手にとって立ち読みしてみました。
 
……っ! ぐはあ。
 
……第一話で力尽きました。
 
いや、どうせ「ょぅι゛ょハアハア」とか言ってる、ロリ*1でペド*2な趣味の×××野郎が読むようなロリコン漫画だろう、と思ってたんですが……。
 
油断したー。
 
そんなわけで感想文を。
 
あー、先に言っておきますが、確かにこの作品、エロ気味な場面も多いですよ?
この記事を読んで、間違って子どもに買い与えたり電車の中で広げたりしないように。 
でも、最後に触れますが、そういうところはひとまず措いておきます。
 
そういう所が気になる方は、
http://mangaen.blog30.fc2.com/blog-entry-279.html
に詳しいのでそちらをどうぞ。*3
 
以下、ネタばれを含みます……が、レビューではありません。
 
この文章は、すでに本作を読んで、
「本職の教員だったらどう感じるんだろう」
という疑問を持たれた方向け。*4
 
とりあえず、私が古書店店頭で力尽きた第一話「1時間目」のみご紹介。
 
物語は、主人公(たぶん)青木大介教諭(23)が、ある小学校*5に赴任してきたところから始まります。
担当は3年1組。
 
3年生担任、私と同じですなあ。
……とかいう親近感を持ってしまったのが敗因ですか。
 
前任の中村先生が病気を理由に退職されたため、年度途中からの担任となります。*6
 
そして、ドタバタした最初の授業(担任自己紹介)*7の後、2組担当の宝院先生(若い女の先生)との会話。
 
宝院「どーでした? 1組は」
青木「はぁ、元気と言うか何と言うか……」
宝院「あはは、うるっさいでしょ、あいつらー」
宝院「青木先生も大変ねー、赴任して即クラス担任じゃ」
 
うわー、なんかリアルな会話だ。
ありそうありそう。
 
青木「あ、聞きました。前任の先生が体調崩して辞められたそうで」
宝院「ええ……。 そうそう! まだ教科書も来てないの。 悪いけど届くまで前の先生の使って下さい」*8
 
そして、教室で教科書を見た青木先生は、教科書に「死ね」とか「ナカムラふざけんな」「がっこうやめろ」とかマジックで落書きしてあるのを発見するわけです。
 
ぎゃー。
 
そして放課後、改めて宝院先生に話を聞くと。
 
青木「……不登校?」
宝院「勉強のできるおとなしい子なんですけど。 別にいじめがあったわけでもないし……」
宝院「先生も指導に行き詰まって悩んでたんでしょうね。 なんて言うか、……だんだん情緒不安定になって。 突然キレたり泣き出したり、校長が病院に連れて行って、そのまま欠勤に」
宝院「あの時はもう父兄からも苦情が来てたし、後で本人から辞めたいと連絡が……」
 
ぎゃあー。
ていうか、そんな大事なこと先に言えよー。
 
でも、問題のあるクラスの担任が休職して(退職ってのはよっぽどだな)、新しく来た先生が事情のわからないまま担任に、って、すごくありそう。
それもベテランじゃなくて初任の先生ですよー。
 
問題が発覚するまで詳しく説明してくれないとかも、実はかなりありそうな話だよなー。(初日まで隣のクラスの先生が自己紹介してない、ってのはなさそうだけど、これはお話として仕方ないですね)
 
なんて嫌なリアルさ加減。
 
それであれです。
 
落書きの犯人(もう一人の主人公、九重りん)に話を聞くに、不登校の原因は中村先生にあって。*9
 
内向的な子に、
「声が小さい」「オドオドするな」「トロい」「すぐ泣くな」「お前を見てるとイライラする」
とか、かなりつらくあたったらしく。
 
うあー。
嫌リアルー。
 
当たり前ですが、そういうことは教師として断じて許されないことです。
ただ、人間、普段の人間関係の中で、「どうしても生理的に受け付けない」というタイプの人がいることもあるのではないでしょうか。
 
そして、それが職員室の同僚であることもありますし、子どもにとっての担任であることもありますし、担任にとっての子どもであることも、時にはあるのです。
 
もちろん、「全ての子を愛する」というのは、教員にとって道義的な義務です。
 
しかし、現実にはそううまくはいかない時もあります。
 
それでも、たとえ相性が悪くとも、好きになれなくても、他の子と同様に接するのが担任として当然です。
 
ただ、「同様に接する」というのは、全く同じように接するということではありません。
その子が問題を起こしたら叱り、良いことをしたらほめてやる、ということです。もちろん。
 
そして、中村先生がどうだったのかわかりませんが、何か別のトラブルを抱えて精神的に余裕がないとか、そういった時に、「その子の個性」と「指導すべき問題」の境界をうまく見定められなくなってしまうこと、そしてその「指導」が過酷になりすぎてしまうことも、絶対にないとは言い切れません。
 
そこまで深刻になる前に、他の先生に相談すべきだったのでしょうが、職員室ではみんな忙しいし、学級内の問題を他の先生に相談するのに抵抗がある先生も多いし……。
 
それにたぶん、中村先生自身も、内心では後ろめたさを感じていたんじゃないでしょうか。
 
相談すれば、「もっとあの子の良さを認めてやるべきだ」とか言われるのがわかっていたんじゃないでしょうか。
 
学年を組んでいる宝院先生は若いし、年下には相談しづらかったのかも知れません。
 
そんなこんなで、途中で担任が変わった学級について、学級内の実態を他の先生は誰も正しく把握していないという……。
 
うわーん、ありそうで嫌すぎるー。(そういう事情で辞めちゃったせいで、引き継ぎさえできないという)
 
中村先生を「ひどい先生だな」で済ませるのは簡単ですが、むしろ、それを自分自身の問題として受け止める必要が……って、そんな社会派の話だったかこのマンガ。
誰だロリペドとか言ったの。
私だけど。
でもロリペドだけど。
 
結局、新担任の青木先生が、不登校児と信頼関係を築くことに成功し、不登校は解決するわけですが、私としては、これは非常に幸運なケースだったと思います。
 
「トロい」子で、その上担任から嫌われている、となると、学級内でいじめが起きてしまう可能性もあるはずです。
そうなると、担任が替わったからってすぐに不登校が解決するとは限りません。
このケースでは、問題が前担任に集中していて、しかも学級内にはその子の親しい友人がいて、その子を受け止める環境があったことが大きいと思います。
 
もちろん、たった一回の家庭訪問で、その子が登校してくれた(しかも、その後も継続して登校している)のには、青木先生の人徳も大きいと思いますが。
(ストーリーの都合とかは言わないことにします)
 
……なんてことを色々と考えさせられてしまって、古本屋の店頭で力尽きました。
 
だって、ここまでで一話なんですよ?
 
加えて、
「今ここでわたしが、『助けて』って叫んだら……、せんせーどうなっちゃうと思う?」
……って、オイ。
 
うわーん、こんなクラス嫌だー。
 
初任でこの学級を持たされて、
「オレ、クラス持つ自信ないかも……」
と思ってしまう青木先生の気持ち、よーくわかります。
本作を読んだ方は、みんなそう思うんじゃないでしょうか。
 
ていうか、こんなクラス、私も無理。
 
……え? この作品を読んで「小学校の先生になりたいなあ」と思った方?
 
そういう方には、
さすまたでも人は殺せますよ?」
と申し上げておきます。
 
いや、実際、こんなエロくないから。
 
地域性もあるでしょうけど、本校(僻地)の3年生だと、「童貞」とか意味知ってる子はいないと思います。
5・6年ならいざ知らず。
 
まして、九重りんとか鏡黒みたいな子はいませんて。*10
 
そういうエロ気味な場面を読んで、私としては、萌えるより、むしろ心配というか、痛々しく感じる方が先に立ってしまいました。
 
性教育の必要は当然認めますが、それは、「使用済みのブラが高く売れる」とかそういう知識を得ることではないわけで。
そういう知識を「得てしまった」のは、周囲の大人の責任だと思います。
 
もちろん、「不健全な」知識を遮断すれば子どもが健全に育つ……というのは、バカげた迷信です。
貞操観念がどうたらこうたらというのも時代遅れなんでしょう。(そもそもいわゆる貞操観念というのは明治時代に以下略)
 
しかし、きちんと自分なりの政治的判断ができない子どもに選挙で投票させるべきではないように、きちんと自分なりの性的判断ができない子どもに性的な行為をさせるべきではないと思います。
そして、子どもに投票権を与えないのは簡単ですが、子どもに性的な行為をさせないのは、それが法的な「権利」でないだけに難しい……。
 
ませた子どもに翻弄されてる場合じゃないぞ、青木先生。
 
いや、確かに、小学生でも「幼い恋心」みたいなのはありますし。
それは子ども同士のことが多いけど、担任が子どもから好かれることだって確かにあります。
 
「それでは、だっこリレーをします。*11背の順に並んで、一つ前の人をだっこして運びます。一番後ろの人は誰にもだっこされませんが……」
「じゃあ、あたし先生にだっこしてほしいな……」
「……だっこして運ぶのが運動のメインなんで、されなくても別にいいんです」
 
実話。
 
でも、そういうのは、本当の恋愛に向けた練習みたいなものですから。(と、なんか本に書いてあった)
クラス替えとかがあればあっさり忘れてしまうものです。
 
……まあ、いい加減長くなったので、二話以降はまたの機会に。
 
ともあれ、いろいろ切実に考えさせられました。
世の中、子どもを主人公にした物語って、学校関係者がえらく存在感薄い作品が多いわけですが、本作は(2話以降でもそうですが)わりと考証がしっかりしてまして。
 
「ひょっとして作者って教員免許とか持ってる?」
とさえ思ったんですが、作者サイトのプロフィールを読む限り、そんなことはないようでした。
学校関係者に取材してるんだろうな。
 
……作者、女性だったのか……。
 
そんなこんなで、結局2巻も注文しちゃいました。
 
Amazonで。ええ。
 
おそるべしAmazon
 
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いや、それ読まないから。絶対。
 
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……Amazonめ……。*12
 
*本稿の中に、ロリでペドな方への差別的表現がありますが、虚構と現実の区別を付けた上で、コミック等それ系の創作作品を楽しむ分には、個人の趣味の範囲であり差別すべきではないと考えます。*13
しかし、リアルにペドフィリアな人が本校に侵入するような事態が出来した場合には、子どもたちを守るために命を惜しまないつもりです。ペドな人の。

*1:Lolita complex(ロリータコンプレックス):男性の幼女・少女に対する性的または恋愛的関心・性嗜好をいう。

*2:pedophilia(ペドフィリア):幼児・小児を対象とした性愛・性的嗜好をいう。

*3:っていうか、ここを先に読んでたら私は買わなかったかもだ。

*4:当然ながら、私は「教員代表」を気取るつもりはなくて。これは「一つの」回答であって、別の先生はもちろん別の意見を持つでしょう。

*5:学校規模不明。
ていうか校名も不明。
「隣のクラスの先生」がいることから、少なくとも一学年二クラス。
絵で見ると、校舎は大きいですが、「昔は児童数が多かったけど、今は空き教室がたくさん」というのも、今では珍しくないですね。

*6:ここのところはちょっと違和感があって、こういう場合、臨時的任用の講師が採用になる気がしますが。(産休などと同じ)
ただ、自治体によっては、採用試験に合格して名簿に載っても、A名簿とB名簿があって、A名簿登載者は4月から即採用だけれど、B名簿登載者は「採用されるかも知れない」というシステムなんだとか。
だから、年度途中から正式採用、ということも、都道府県によってはあるのでしょう。

*7:青木先生、子どもが授業中携帯出してたら、注意しなきゃだめだよ。
細かい対応は学校の方針にもよると思うけど……。

*8:私の県だと、教科書類は職員ではなく学校に支給されるので、一旦届いた教科書(たぶん、ここでは教師用指導書のことだと思うけど。教科書に、赤い字で解説とかが入ったやつ)は、教科書が改訂されるまで使い続けます。

*9:でも、青木先生、子ども一人の話を聞いただけで、「前の担任が悪かった」って結論づけるのはちょっと気が早いかなあ。
教科書の落書きを見つけた時点で、宝院先生とかに相談すべきだったんじゃないか?
一人で問題にあたろうとするのは危険だと思いますよ。
中村先生の問題もひとつにはそこにあったんだし。

*10:Amazonの書評で、「ヒロイン「りん」は別におませではありません」とか書いてる人がいますけど……。
……そ……そうなのかなあ……?

*11:体育「力試しの運動」。

*12:まあ、「こどものじかん」を「おすすめ商品に反映」させない設定にすればいいだけのことです。 ……それにしても、そういう顧客層なのか……。

*13:児童ポルノ法の規制対象を「実在しないが18歳未満に見えるキャラクター」にまで拡大することに反対します。
架空のキャラクターと実在の児童の人権を同じ水準で守るべきではありません。