今日の昼休み、突如校内放送で、
「先生方、至急職員室に集まってください。繰り返します……」
何だ、何事だ。
あわてて駆けつけると、
「配布した資料をご覧ください。教育委員会から届いたFAXをコピーしたものです。今朝のニュースでご存じかと思いますが……」
伊吹文科相に届いた自殺予告のコピーでした。
教育委員会の指示は、該当するような児童がいないか直ちに確認し、回答せよ、というものでした。
ううむ。
「『僕』ってことは男の子なんだろうなあ」
「1・2年生は、こんなに漢字は書けないですねえ」
「あー、『通り』を『とうり』って書く子はうちのクラスにもいますね」
「しかし、これだけあれこれ書いておいて自分の名前を書かないって、どうなんだろう」
「『豊』ってことは、このあたりだと××小か?」
「これ、『証明書』とか、言葉の使い方が微妙ですね……。何年生だろう?」
「字をこうやって罫線を無視して書く子もうちにいるんだけどな……」
結局の所、本校では該当者なし、ということで回答しました。
まあ、「豊」の字もないし。
しかし、文面通り
「担任にも校長にも教育委員会にも対応を要請したのに音沙汰なし」
というのであれば、該当するかどうか担任に確認するまでもないと思うんですけども。
……「該当あり」って答えたら、教委とか文科省とか、何か対応してくれるんでしょうかね?
上記の担任らの発言、えらく他人事の雰囲気が漂っているように感じられるかも知れませんが、わりとその通りです。
いや、
「教師でありながら当事者意識がないのか!」
とか怒られるかも知れませんが、そういう話ではなくて。
もちろん、学級内でいじめやそれに類する問題が発生すれば、私とて全力でことにあたります。
というか、
「いじめとまではいかないけれど、あの子があの子にやけに冷たい言葉遣いなんだよなあ」
……くらいのことは、どの担任でも抱えているんじゃないかと思います。
いじめで自殺を考えている子どもが学級内にいるとすれば一大事です。
しかし、今回の「自殺証明書」級の問題が学級内であれば、私のようなへっぽこ教員でも、さすがに把握していないはずはなく、すでに対応を始めているはずです。
もちろん、同じ学校の違うクラスの先生も、可能な範囲で協力態勢をとっているでしょう。
一方で、これが自分の勤務校で起きているいじめでないならば、対応する術はほとんどない……っていうか、よその学校のいじめ問題まで手を出してる暇があったら、まず自分のクラスの運営に注力しないと。
だから、今回の「自殺証明書」事件で、
「そうか、いじめって深刻な問題なんだなあ。自分たちも真剣に対応しないと」
……とか思った教員はいないと思う……っていうか、今更そんなことを思わされてる人は教員として駄目でしょう。
だから、正直なところ、
「こっちは自分のクラスで手一杯なのに、どことも知れぬよその学校のいじめ問題まで持ち込まれて迷惑」
……ってのが実感。
いや、もちろん、この子のいじめも解決すればいいな、と思いますよ、もちろん。
……ここに書いてある話がその通り真実とすれば、ですが……。
あれですかね、
「私の家族が医療ミスで死に至った! 訴えてやる!」
……って話を、思い当たる節がないのに聞かされてるお医者さんの気分、というのが近いかも。
関連記事を書いてるブログをいくつか読んでみましたが、やっぱり学校関係者で
「この子のことが心配だ!」
……って書いている人はあんまりいませんよ。
「お昼時なのに、臨時全校集会できちんと校長の話を聞けるうちの子どもたちは偉いなあ」
とか、
「この事件を題材に、自分のクラスでいじめ指導をしました」
とか。(私みたいに「迷惑だ」とか不謹慎なことを書いてる人もいませんでしたが)
いじめ問題の件、色々思うところはあるのですが、また後日にしたいと思います。
▽「ヤンキー先生」の愛称で親しまれる教育再生会議のメンバー、義家弘介さんの話
難しい漢字を使う一方で簡単な漢字をひらがなで書き、言葉の表記も不統一だ。
訴えの信ぴょう性について、現時点で正確なことは言えない。
ただ、手紙の主がいじめを受け、本気で死を考えている可能性は否定できない。
文科相が「生きていて」と呼び掛けた判断は正しい。
そのために同種の手紙が今後、山ほど寄せられるとしても、だ。文面から精神の混乱もうかがえる。
いじめへの絶望感と、親や担任、学校長、教育委員会など誰にも受け止めてもらえない苦悩から「自殺する」と思い詰めているようだが、裏には「生きたい」という叫びがある。
本当に生に絶望していれば、こんな予告文など送らないだろう。
(後略)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20061108k0000m040119000c.html
「難しい漢字を使う一方で簡単な漢字をひらがなで書き、言葉の表記も不統一」
「信ぴょう性について、現時点で正確なことは言えない」
「文面から精神の混乱もうかがえる」
「本当に生に絶望していれば、こんな予告文など送らない」
………………。
さりげなくキツいこと言うな、ヤンキー先生。