間違ってはいない……が……。

 茂木健一郎氏が、
「“3.9+5.1=9.0”にしたら減点するのはおかしい! 虐待だ!」
 って言い出して話題になってるみたいですけど……。
 
 うん……そりゃまあ、算数で扱う数は、一般に、有効数字とか考えないですからね。
 
 3.14×3.14は、きっかり9.8596になるし。
 一辺が3.14cmの正方形の面積は、きっかり9.8596平方センチメートルになります。
 
 だから、
「3.9+5.1=9.0」
 でも、
「1+1=2.00000000000000」
 でも、間違いとは言えない。*1
 
 ところで、今日私が遭遇した、小学1年生の答案を見て欲しいんですけど。
 

(なお、これは子どもが書いた答案の現物ではありません、余った答案用紙に筆者が転記してます) 
 
「こたえが 11に なる たしざんの しきを つくりましょう」
 ……という問題に対して、この子の回答は
 
「3+8」
「3+8」
 
 いやそれどっちも同じだろ!
 
 っていうかそれ、回答例にあるやつと完全に一緒だろ!*2
 
 しかしですね、
「以下の2つの回答欄に、答えが11になる足し算の式を記入せよ」
 に対して、
「3+8と3+8」
 と回答するのは、数学的・論理的に何一つ間違ってはいないわけです。
 
 じゃあこれは正答扱いでいいのか。
 
 ご自分がもし担任だったら、これをどう採点するか……ということを、ちょっと考えていただきたいのですが、どんなものでしょうか。
(必要な情報かどうかわかりませんが、この子は算数が得意な方では全然ないです)
 
 ちなみに私は以下のようにしました。

 
 ……もちろん、これが「採点方法として正解」だ、というわけではないです。
 
 なんというか、
「保護者が見て一番納得しそうな採点」
 を考えたきらいもあります。
 
 ただ……
「数学的に正しいから正答」
 としていいのか? という状況はわりと頻繁にあるのだ……ということが、おわかりいただけると良いのですが。
 

*1:「9.0」を不正解扱いにするのは、おそらく、「9.0と9が別の物だと思っている子」を発見するためだろう……と思うのだけど、それはちょっと筋の悪い議論だと思うので置いておきます。

*2:お気づきの通り、これはそもそも設問が悪いと思います。
こういうのは、テスト中に試験官が補足説明するといいんですけど、今回は
「担任が出張するので、その時間はこのテストやらせてくださいじゃあ行ってきまーす」
状態だったのでそこまで気づかなかった……。

「例:3+8=11 問:□+□=12 □+□=13」
みたいにすれば間違いないんだと思うんですが……それだとこの子たぶん0点になるな……説明の難易度が上がるわけなので。