「君の名は」を批判する人の話。

 今さらながら。
 Yahooの映画レビューとか見ると、大きく2種類の批判があるんですかねー。
 
1:ハッピーエンドなんて新海誠じゃない!
 →知らんがな。めんどくさい「ファン」がいるんだなあ。
 
 庵野秀明が「ラブ&ポップ」見て
「こんなの庵野監督じゃない!」
 とか怒るエヴァオタクみたいなもんなんでしょうか。そんなめんどくさい人あんまり見た記憶ないけど。
ラブ&ポップ SR版 [DVD]
 
2:隕石衝突がどうこういうからSFかと思ったのに! 騙された。

 →はーっはははははははははは! バーカバーカ!
 「人格が入れ替わる」などという、明らかに心身二元論に立脚した非科学的な展開の時点で、どう考えてもSF作品であるはずが(←めんどくさいSFファン)
 



 
 ……まあ、「SFかと思ったらファンタジーだった」という声に、ある意味で村上春樹っぽいのかなー、とか思いました。私もそんなに読んだわけじゃないけど。
 
 最初は、一見「リアルな」現実世界を舞台にしているように見えて。(登場人物は奇矯なのが多いんだけど、あまりにもみっちり描写されるので「世の中こんな人も1人か2人くらいいるかも知れんよなあ」と思わされてしまう)
 ところが、物語が進むにつれて、段々現実世界と乖離し始めて、中盤以降はもう半ば以上ファンタジー世界になってしまう……というあたりが。
 
 中学生の時に初めて村上春樹を読んだ(確か最初に読んだのは「遠い太鼓」で、そこから「羊を巡る冒険」を読んだ気がする)時はわりと戸惑いましたけど。
 だから、「君の名は」に戸惑ってる人もそんな感じなのかなあ、と思います。
 
 そう考えると、「君の名は」を見る前に、村上春樹を読んどくといいかもですよ、という話かも知れない。
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
 個人的に「ねじまき鳥」をおすすめしておきます。
 
*「心身二元論的な描写がある作品はSFではない」と言い切ってしまうと、「老人と宇宙」とかSFでないことになってしまうので、本気でSF定義論としてそこで線引きするつもりはないです……と書いておかないと。