「体はお好み焼きでできていた」

「私たちの体は食べたものでできています」
 ってのは、あやしい健康食品とかの人の常套句なわけですが。
 
 それを聞いて私が思い出すのが、お好み焼き粉の中のコナヒョウダニの話です。
 
 お好み焼き粉やホットケーキミックスなどを、開封した後長期間放っておくと、中にダニが入り込んで繁殖してしまうことがあるのだそうです。
(冷蔵庫で保管すると防ぐことができるそうです)*1
 
 で、これをダニアレルギーの人がうっかり気づかずに食べてしまうと危険なことがあると。

粉製品に混入したダニを摂取したことによる即時型アレルギー(アナフィラキシー)は1993年に初めて報告されて以来、国内外で59例報告されています。
(東京都福祉保健局 健康安全研究センター

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/anzen_info/others/dani/

 それで思うのですけど、袋の中で繁殖したダニって、何世代にもわたってお好み焼きの粉だけ食べて生きてきたわけですよね。
 つまり、その体はほぼ100%お好み焼きの粉でできている。
 
 で、「原料」であるお好み焼きの粉は(小麦アレルギーはともかく)ダニアレルギーの人には無害だったわけで。
 
 なのに、間違って食べるとダニアレルギーが出ちゃうのって、当たり前と言えば当たり前なんですけど、生き物って不思議だなあ、と私は思います。
 
 つまるところ、生物の体って、食べたものそれ自体でできているわけでは当然なくて、それを体内であれやこれや処理して化学反応を加えて、自分に必要な形に変化させた上で利用しているわけですよね。
 
 もちろん、食べるものに気を遣うのが無意味とは言いませんけど……古い油を食べるとてきめんに腹をこわすウチの愛しの奧さんとか、長期休業で学校給食を食べなくなると段々体調不良になる私みたいな例もあるので。
 
 しかしまあ、バランス良い食生活を心がけて……あとはよほど体に合わないものを食べないようにしていれば、
「食べたものでできています」
 みたいな脅しに耳を傾ける必要はないのではなかろうかなあー、などと思うことでした。
 
*余談
 
 ……以前、学校の資料室で、「むかしのあそび」に使うお手玉をスーパーのビニール袋の中に入れて口を縛っておいたんですけどね…。
 ある日、なんかがさがさ音がするので見たら、ビニール袋の中に、動き回る無数の黒い影が…!
 
 袋ごと捨てました。
 

*1:大抵袋の口の部分がジップロックになっていますが、あれをきちんと閉めたつもりでもダメ。