ファースト民族浄化計画。

 ナチスドイツにはマッドサイエンティストがたくさんいましたが、その中でもたぶん最悪の一人がヨーゼフ・メンゲレという人物です。
 「ブラジルから来た少年」という小説や、最近ではなんか麻雀マンガにも出てるらしいのでご存じの方は多いのかも知れません。
 
 どんなことをした人物なのかは詳述しませんが、詳しく調べると気分が悪くなる方がいるかも知れない、とだけ。
 簡潔に言えば、「ユダヤ人に数々の非人道的な人体実験を行った人物」ということになります。
 特に双子の研究に熱心だったとか。

 ヨーゼフ・メンゲレ(1911〜1979)
 
 わりと美形らしいのですが、Wikipediaによると、
「現在一般的に知られる顔は異常性を引き立てるためにやや醜悪な写真を使用しているが、妻をはじめとして彼を良く知る人物は背が高くハンサムで親切な人物であったという」
 だとか。
 
 一般に流布してるのはこっち。
 
 
 
 すみません間違えました。
 いやあんまり間違ってないけど。
 
 こっち。

 ヨーゼフ・メンゲレ(1911〜1979)
 
 ……洪武帝とかじゃないんだからさ。
 
 
 洪武帝朱元璋。明の初代皇帝。在位1368年 - 1398年)
 
 さて、メンゲレですが、戦後は国外に逃亡した後、ナチハンターの追跡をかわしながら南米各地を転々としました。

 1979年にサンパウロ州ベルティオガの海岸で海水浴中に心臓発作によって溺死した。
 1980年代半ばまで彼はナチ・ハンターによる追及から逃げ果せた。
 しかし、自身の日記や会社の同僚によると、追跡の恐怖に怯えており、小さな物音にさえ動揺するほど精神衰弱していたという。
 1992年に遺骨からのDNAテストで本人であることが確認された。その後遺体は荼毘に付され、ブラジル政府が「保管」している。

 ……Wikipedia、なんか記述が混乱してると思うんですがどうですか。
 
 関係あるのかどうか知りませんが、ヒトラーとかボルマンとかと同様、例によってメンゲレにも生存説があります。
「南米で死んだことになっているのは偽物で、本人はどこかで生きている」
 という。
 
 その上、なんかすごいことがWikipediaに書いてあります。

 メンゲレが1960年代に訪れていたカンディド・ゴドイというブラジルの村では金髪と碧眼というナチスの主張するアーリア人的特徴を備えた双子が次々に生まれる現象が起きている。
 この村では60年代にメンゲレと思われる医者に薬を提供された証言が残っており、実際にこうした現象が起きていることからメンゲレの実験が成功したとみる学者もいる。

 おいおいおいおい、どう考えてもトンデモだろそれ。
 ナチハンターから逃げ回ってるはずなのに、「将来アーリア人の双子が生まれる薬」なんて悠長な実験をするとかどんだけ余裕なんだ。
 誰だよその「学者」って。(Wikipediaの脚注リンクからすると、アルゼンチンの「歴史家」Jorge Camarasa氏である模様)。
 
 ……と思っていたら、先日はてなブックマークでその件に関するニュースが。
 
「ナチの双子」伝説、事実無根か
 
 詳しくはリンク先を読んでいただくとして、簡単にまとめると、
 
・白人っぽい外見の村人が多いのは、元からドイツ系の移民が多いので当然。
・双子が多いのは事実。(平均の10倍くらい)
・教会の出生記録によれば、「メンゲレと思われる医者」が村に来るより前から(そして今も)双子の出生率が高いので、両者には関係がない。

 
 じゃあなんで双子が多いのか、というと、遺伝的要因じゃないかとか食べ物のせいだとか色々言われてるようですが詳細は不明の模様。
 
「しかし前出の歴史学者カマラサ氏はいまなお、メンゲレがなんらかの役割を担った可能性を信じている」
 もうやめとけ。ただでさえアルゼンチンとブラジルは関係が微妙なのに。
 
 実際に子どもの人種を変えるには、配偶子の遺伝子を書き換えねばなりません。
 いくらナチスの科学が世界一ィでも、飲み薬でDNAが操作できるとかオーバーテクノロジーにもほどがあるだろう……。
 
 ……あれ、そういえばそんなことを堂々と言ってた日本人がいたぞ。

 日本人が肉とパンとポテトのハンバーガーを、これから先、千年ほど食べ続けるならば、日本人も、色白の金髪人間になるはずだ。
 私は、ハンバーガーで日本人を金髪に改造するのだ。

*1
 藤田 田(デンと発音してください)
日本マクドナルド日本トイザらスなどの創業者。(1926〜2004)
 
 …………。
 
 
 
 日本一……いや、世界一の規模を誇るファーストフードチェーンは、実は全人類を「アーリア人」化する陰謀だったんだよ! 

 
ナ ナンダッテー!!
Ω ΩΩ

 
 ……いや、冗談ですよ?
 
 実際には、マクドナルドは店舗によってはコーシャ食品*2の認定も受けてるくらいです。
 そもそも件の文章自体、藤田氏の「ユダヤの商法」って本の一節ですし。
 
 むしろ、
マクドナルドはユダヤの手先だ」
 って言ってマックに行かないユダヤ陰謀論者もいるくらいです。
陰謀論者というのも大変ですね……)*3
 
 日本人は黒髪に決まってるじゃないですか。
 
 ねえ?
 
 
 
 小泉チルドレン「美しき女豹」ゆかりタンは、ナチスだかユダヤだかの手先だったんだよ!
 
 な、なんだっ(以下略)
 
*この記事は実在の人物とは“あまり”関係ありま(以下略)
  
*余談
 ちょっと前に、
大日本帝國厨二杉ワロタwwwwwww
 っていうネタがはてなブックマークで上がりました。
 
 大日本帝国の兵器類の名前が、いかにも中2っぽい、という話なんですが。
 紫電とか飛燕とか屠龍とか。
 
 ……でも、一般に
第三帝国(英語では“The Third Reich”)」
 と訳される“Das Dritte Reich”、実は“Dritte”には「第三の」という他に「未来の」という意味があり、本来はそちらの意味なんだそうです。(Wikipedia情報)
 
 未来帝国!
 
 中2ってレベルじゃねえぞ。
 
 ……いや、それを言うと「Reich」も別に帝国ではなくて(そもそもヒトラーが皇帝じゃない)、「ドイツ国家」といった意味なんだそうですが。
 
 ドイツ未来国!
 
 うわ、ひどい昭和的センス。
 
 ……いや、昭和だからいいのか?
 

*1: ひどい写真も探して使おうかと思ったんですが。
 そう思って調べてみて初めて、お亡くなりだったことを知りました。なので自重。

*2:ユダヤの戒律に則って調理された食品のこと。

*3: もっとも、アメリカ政府なんかは、ナチをかくまってると言われたりユダヤの手先だと言われたり両方なので忙しい。