村上春樹氏がなんか賞をもらうらしい、と知ったのははてな経由でした。
「「"村上春樹"的なるもの」について」(Ohnoblog 2)
とりたててファンでもない私*1でしたが、なんかピンと来た部分があったので言及。
ネタ扱いしてすみません。(関連各位)
当時の村上春樹の描く小説の風景には、80年代に爆発的にヒットしたウォークマンで好みの音楽を聴きながら眺める街の風景のような感じがあった(この指摘は誰かが既にしているかと思う)。巻き込まれ型で出来事に関わらざるを得なくなっていく人物がよく描かれたが、その小説の受容レベルにおいては、自分は風景に取込まれることも関わっていくこともなく、ただ透明な膜を通してそれを眺め「やれやれ」とか溜息をつきながら通過していく、そんなメンタリティが共有されているようにも感じた。
「やれやれ」は口癖ですが何か?
ともあれ、つまり
「やれやれ」=春樹作品の登場人物の「巻き込まれてるのに対岸の火事っぽい感じ」を表すキーワード
らしいので試してみました。
宗教思想編
明日のことを思いわずらうな。明日のことは、明日自身が思いわずらうであろう。やれやれ。
(イエス・キリスト)
なんか今日やなことあったんですか。*2
怒りにしがみついているのは、真っ赤に燃える石炭を、誰かに投げるためにつかむようなものである。やれやれ。
(ブッダ)
学者のインクは殉教者の血より神聖である。やれやれ。
(ムハンマド)
「殉教者も大事にしてやればいいのに……」的な雰囲気。*4
ムハンマドの顔がない顔画像を探すのに時間がかかって疲れたのであとは普通に。
共産主義思想編
労働者は鉄の鎖のほかに失うものは何もない。やれやれ。
それしかないんだから大事にするか、的な。
権力は銃身から生まれる。やれやれ。
(毛沢東)
やな話ですよねえ。
資本主義は死滅しつつあるが、死滅し去ったのではない。やれやれ。
(レーニン)
そう簡単に世界革命なんて無理ですよねー。
第二次世界大戦編
民衆は小さい嘘より大きい嘘に騙されやすい。やれやれ。
ちょっといい人っぽい。*5
私が歴史を書くのだから、歴史は私に好意的だろう。やれやれ。
なんか、チャーチルの発言はわりとニュアンス変わらないのが多いです。
皮肉屋だから?
今が政府として和を結ぶ唯一の、絶好のチャンスじゃないのか。
日本としてそれを切り出す以上は、領土拡張の気持がないことをよく説いて、今まで占領した所を全部返してしまう、これだけの覚悟があれば、難しいけど、休戦の成立の可能性はあるね。
しかし、政府が有頂天になってしまっているからなぁ。やれやれ。
(山本五十六)
長くてすみません。
これは全然違和感ないな。
同じ人で短いのも一つ。
やつてみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。やれやれ。
(山本五十六)
司令長官も苦労しますねえ。
今や物理学者は罪を知った。やれやれ。
(オッペンハイマー)
ちょっと責任を感じろよ。*6
床がわずかに傾いていますし、湿気もひどいんですけど、こんな快適な隠れ場所は、アムステルダムじゅう探したって、いえ、オランダじゅう探したって、ほかにはないでしょう。やれやれ。
(アンネ・フランク)
なんか冒涜的な気がしてドキドキしたんですがやってみたら違和感がない。
自分達の境遇に距離を置けたのはフランク一家のすごさかしら。*7
「アンネの日記」は村上春樹的だった!
……嘘ですごめんなさい。
日本政治史編
国会議員の発言は、国民大衆の血の叫びである。やれやれ。
(田中角栄)
私が首相に就任してから一番気心が知れているのは安倍さんだ。やれやれ。
(小泉純一郎)
盟友に恵まれないんですね。
辞めたくても辞められない。それが総理大臣という最高権力者のきついところだ。やれやれ。 (森喜朗)
とりあえず森さんを出すとオチになると思ってるんですね。やれやれ。*10
……って、ほら、自分で使うとまるで他人事のようだよ!
ようですよね!
……だから本気の苦情とか書いてこないでくださいね?
*1:何冊か読んだことはあったし面白かったけど、「ファン」を名乗るほどではないです。
「羊をめぐる冒険」と「ノルウェイの森」と「ねじまき鳥クロニクル」かな。あと「遠い太鼓」。
*2:写真はhttp://labaq.com/archives/50845309.htmlから。
*4:学習マンガの一コマらしい。顔を描くとムスリムに非難されるのでこんな感じ。
*5:画像は「晩年の南米でのヒトラー」。
「それヒトラーちゃう!」
というツッコミは却下します。
*6:オッペンハイマーは原爆開発者の一人ですが、後に核兵器廃絶のために運動しました。
*7:その点を批判する意見もあるそうですが……。むむむ。
*8:写真は東京ディズニーランドのあれ。
……しかしこのポーズ、「世界最大の人物銅像」(平壌にある)を思い出してしまって仕方ない。