……てなわけで、一つ前の日記なんですけど。
人格的に言うと、H先生の方がずっと私より教師として適格なんです。
新任なので経験が浅いとはいえ、私が新任の時よりずっとしっかりしているし。
でもおしべとめしべの違いは知らない(知らなかった)。
……ぶっちゃけ、小学校の教員採用試験って、教科関係の試験は、高校入試レベルの問題です。
少なくとも本県では。
私なんか、過去問を見てそれに気づいた後は、中学生用の問題集で教員採用試験の勉強をしてたくらいで。*1
世間の人は、学校で習ったことのかなりの部分を忘れてると思うのですが、私もそうです。
微積分とか、高校でやったはずだけど、もはやどの記号がなんだったかさっぱり。
理科的な知識に関しては、H先生・R先生には確実に勝ってますが、たとえば体育分野では壊滅的ですし*2、R先生には2年生の音楽を教えてもらっている状態。*3
……というわけで、実は教員の知識というのは穴だらけなのです。たぶん。
これは本校だけではな……いと思うんですけど……。
もちろん、教員として万全な知識や指導法を身につけ、人格的にも万全な人間が教員になるのが望ましいわけです。
言うまでもなく。
しかし、「万全」ってどのくらいの範囲かと言うと、たとえば、体育に限っても、
・跳び箱を跳べるようになる練習法
・サッカーのチームプレイについての考え方
・水泳の正しいフォーム
・適切な柔軟体操
・豊かな発想を引き出す創作ダンスの指導
……など、わりと無数にあります。
そして、国語算数理科社会図工体育音楽生活……と、どの教科もいずれも絶望的に広大な範囲を含んでおり、さらに
・けんかの仲裁はどうするか
・いじめを許さない学級作り
・子どもが万引きをしてしまったら?
……など、児童生徒指導分野もものすごく深いものがあります。
そして、
・会計簿の確実な記帳
・児童出席簿の整理
などの事務分野ももちろん大切です。
……わりと後回しにされがちですが。
これらの分野を完全にカバーしているような素晴らしい人材はいません。
……いや、いるんだとは思うのですが、学校にはいません。
そういう人はたぶん、教員よりやりがいがあったり高給だったり身分が安定していたりする仕事に就いているんでしょう。
それに、おそらく、そんな人材は、教員の定数を満たし得るほどたくさんは世の中に存在しないんじゃないでしょうか。たぶん。
……というわけで、「万全」に比べたら穴だらけの能力のまま、今日も私たちは教壇に立つのです。
お互いに少しずつ穴を補い合いながら。
日々研修を積む中で、少しずつでも「万全」に近づけると信じて。