目立たない工夫。

もうすぐ卒業式。
 
私は、当日、放送係です。
 
放送係というのは、証書授与や「別れの言葉」などのBGMをかける係。
 
全職員の中で一人だけ、最初から最後まで裏方。
 
で、CDかけてあとはぼんやりしていればいいのかと思ったらそうではなく、音量調整が厄介なのです。
 
H先生が言うに、
「昔放送係をやってた先生は、“何分何秒で上げる”とか、詳細なメモを取ってたよ」
 
“どのくらい上げるか”の定量化がめんどくさい難しいので、結局、上げすぎて戻したり下げすぎてまた戻したりで、ふらふらすることになっちゃうんですよね……。
特に、本校の機材は、ちょっとボリュームをひねっただけで音が割れるほど大きくなったりするし。
 
「何度も何度も練習して、経験を積むしかないね」
めんどくさい練習しようにも、放送ブースからでは、フロアでどう聞こえているのかわからないので、どうしても勘に頼ることになります。
 
せっかく練習しても、当日は、ストーブの音やお客さんの衣擦れの音、時には雨の音などが影響するため、
「練習では丁度良い音量だったけど、実際には小さすぎる」
なんてことが起こります。
 
「前に見た先生は、CDからテープにダビングしてたよ」
 
ほほう。
 
「で、“ここから大きくなるぞ”というところでボリュームを下げたり、小さいところでは上げたりしてた。音楽の先生だったから、それがわかるわけよ」
 
無理です先生。
 
……というわけで、アプローチを変えることに。
 
人間の力が及ばない時には、科学の力に頼るのです。
(私はいつも頼ってばかりですが)
 
とりあえず、教えて人力検索
http://q.hatena.ne.jp/1201918968
 
教えてもらったフリーソフトでなんとかします。
 
使うソフトは、
SoundEngine Free
……なのですが、このソフトはwav形式しか扱えません。
 
もらったCD−Rから取り込んだデータはwma形式だったので、別なソフトで変換します。
Rip!AudiCO FREE」を使いました……が、よく考えると、取り込む時の設定を変えれば、最初からwav形式にできたのか……?
 
ともあれ、できたwavファイルを、「SoundEngine Free」で読み込んでみます。
 
これは、「パッヘルベルのカノン」の図。

 
……静かな曲だと思ってたけど、こんなに音量差があったのか……。
 
どうりでうるさくなるわけだ……。
 
で、これを、範囲選択してボリューム調整、を繰り返して、大きいところは小さく、小さいところは大きくします。
「オートマキシマイズ」とか「ノーマライズ」とか、使えそうな機能もあるんですが、やってみるとあんまり……なので、結局人間がちょっとずつ調整するのが確実なよう。
 
……めんどくさい。
 
さて。
調整を繰り返して、こんな感じにします。

 
これでばっちり。
もちろん、あちこちで機械的に音量を上下しているので、音楽鑑賞のつもりで注意して聞くと、不自然に音量が変化するところがあるのですが、聞き流している分には全然気になりません。
 
卒業式でBGMに意識を集中してる人なんていませんし。
 
式では何曲か曲を使うので、全部の曲をこのように調整します
ボリュームは全部同じ程度に。
 
今回、「卒業生を送る会」で、放送ブースのCDプレイヤーが不調に陥ったことから、私のノートパソコンのイヤホン出力端子をそのまま機材に接続して使うことにしました。
 
なので、当日は、このwavファイルを再生して、あとはほったらかしにしておくだけで、ボリューム調整の心配はなし。
ひゃっほう!
 
先日の卒業式予行の後、他の先生に聞きました。
 
「どうでしたか今回? BGM、大きすぎたとか小さすぎたとか……」
「え? あ、うーん……。ごめん、特に意識しなかったから……」
 
成功のようです。
 
……もし、これを読む方の中で、今年卒業式に参加する方がいらしたら。
一瞬で結構ですから、式の最初から最後まで顔を見せずに、ボリューム調整をやってる職員のことも思いだしてやってください。
 
で、最後に、MediaPlayer用プラグイン、「おまもりんごさん」を導入します。
これはフリーソフトではありません(しかもパッケージ販売しかない)が、体験版が無料でダウンロードできます。
 
これは、MediaPlayerの視覚エフェクトの一種で……
 
 
音楽をかけると、このちっこいキャラクターが、隣の部屋から聞こえてくる(という設定)の曲に合わせて(いるつもりで)楽器を演奏する、という……。
 
……。
 
まあ、裏方で見てるだけなら実害はないじゃないですか?
 

どーん、どーん。(微妙にタイミングがずれる)*1
 
……やったら戦犯扱いされるな。
 
あ、それはそうと。
 
式場の準備をして、卒業生が歩く道の両脇に、パンジーの鉢植えを並べたわけです。
作業をするのは主に5年生。
 
「先生! パンジーの並べ方、どうしましょう!」
「よし、同じ色が隣り合わないよう、順番に並べよう」
「先生、黄色が、他の色より多いです!」
「そうか、だったら、白・黄・青・黄・白・黄・青・黄の順だ」
「白・黄・青・白・黄・青の順ですね?」
「違うわ! よく聞け!」
 
……なにこの既視感。

*1:「視覚エフェクト」といいつつ、勝手にドラムとかマラカスとかの伴奏を入れるのです。
しかも半拍ぐらいずれて。