三月にも雪は降る。

卒業式シーズンですね。
 
卒業式で、私は放送担当です。
 
式場で、入退場や卒業証書授与の際にかける曲は、「G線上のアリア」だの「パッヘルベルのカノン」だの、クラシックが主です。
 
しかし、これらの、式の中でかける曲とは別に、在校生が卒業生を見送る際のBGMがあります。
 
玄関から校門まで、在校生がアーチを作り、その中を卒業生がくぐって行く時の曲です。
 
で、私は、この時に、森山直太朗の「さくら(独唱)」をかけるつもりでした。
 
……なんだその目はッ!(突如激昂)
 
えー、軍歌はさておき。*1
 
式の前日。
 
卒業生の一人から、
「見送りの時、何をかけるんですか?」
と、訊かれました。
 
森山直太朗の『さくら』にしようと思うんだけど。去年と同じで」
「あー、なるほど。 いや、実はですね、うちの母が、コブクロの『桜』がいいので、それをかけて欲しい、って言ってるんですよ」
 
恥ずかしながら、私はそれがどんな曲か知らず、なんとも言えないんですが。
でも、別に森山直太朗にこだわる気もなく。
……ほんとですよ?
泣くな戦友よ今惜別の時。
 
「私、その曲知らないんだけど。どこかで聴いたことはあるかも知れないけど、曲名を言われてもわからないし」
「大丈夫です。CDは家から持ってきます」
「ううーん……。担任の先生には相談した?」
「いえ。相談しないといけないですか?」
「いや。私から相談してみるね」
 
式でかける曲の選曲は全面的に私の自由ですが、ちょっと気になったので。
 
6年担任のH教諭。
「うーん。 別にいいけど。 しかし、言い方が気に入らないなあ」
「希望に添いたい、という思いもあるんですけど、一人の保護者の意向を容れる、というのもちょっとどうなのかと思って……」
「じゃあ、『検討してみる』って答えておいたら」
「はい」
 
てなわけで、気持ちとしてはすでにコブクロに決めていたんですが、一応
「当日聴いてからかけるかどうか決めるから、とりあえず持ってきて」
……と、その子には伝えておきました。
 
当日。
 
朝、CDを受け取りに行くと、
「あ、CD、母さんの車に積んであるんで、母さんがあとで直接渡しに行きますから」
「……あわただしいな」
 
で、結局、H教諭を通じて、式の終了直後にCDを受け取る形に。
 
ジャケットを見て、「桜」がアルバムの一曲目であることを確認。
 
放送機材の試運転もかねて(本校の放送設備の老朽化は目を覆うばかりなので)、試しに放送室内にだけかけてみます。
 
「ふうーん……」
森山直太朗が頭にあるせいか、あまり「桜」っぽくないように思えます。
 
で、いざ本番。
 
つつがなく見送りが終わった後、件の卒業生の妹にCDを返して、2年教室にもどると。
 
「先生、なんであのきょくをかけたの?」
「え? まあ、桜なら、卒業式には合ってるかな、と思って」
「でも、『こなーゆきー』って言ってたよ」
「……なんと?」
 
あわてて教室を飛び出して、例の妹にもう一度CDを見せてもらいました。
で、CDケースを開けて中身を見ると、
 
「粉雪」(レミオロメン)でした。
ジャケットは「桜」なのに。
 
「……おれが悪いんじゃないー!」
 
いや、それはどうかな。
 
よけいなこと考えずに森山直太朗にしておけばよかったのかも。
 
そんなわけで、私は今も、コブクロ「桜」がどんな曲だか知らないのです。

*1:今回の森山直太朗関係の話は、10/14の日記
http://d.hatena.ne.jp/filinion/20051014
と、ちょっと絡んでます