試論:人権意識の高揚および男女共同参画社会の構築に向けて萌え文化が果たすべき役割について。

男性は、基本的に一夫一婦制には向かない生物である。
アルバート・アインシュタイン

前から考えていた嘘イデオロギーがなんとなく形になったので書いてみる。
嘘だからね?
 
1・基本認識
世の中には、男女がほぼ同数存在する。
従って、男女がそれぞれ恋人・配偶者を獲得することで、(男女関係については)万人が幸福かつ平等な社会を建設することが可能なはずである。*1
しかしながら、現状はそうではない。
 
2・現状
前項で示したとおり、理想的な社会を建設することは理論的には可能である。
しかし、現在、いくつかの問題が発生している。
 
問題a:配偶者を求めつつ、得られない男女の存在。
問題b:風俗産業と、その周辺に存在する社会的矛盾。
 
問題aについては述べる必要はないであろうと思われるが、問題bについては詳述する。
 
問題bは、大まかに言って、望むような配偶者を得られない個人(主に男性)が、欲求のはけ口を要するところから生まれる。
これは、そもそも配偶者がいない個人の他、「やっぱり若い子のほうがいい」「いつも同じ相手だと飽きる」……などの原因から生まれるものと推測されるが、そもそも男女が同数しかいないことに鑑みると、一人で多数の相手と関係を持ちたがることは望ましいことではない。
また、現実に風俗産業に従事するのは主に女性だが、その多くは、高収入を求めてそれに従事しているのであって、その職に就くことを積極的に志望しているのではないことがほとんどであると考えられる。*2
 
とりわけ、いわゆる援助交際などの場合、男女が経済的に対等でない関係にあり、男性側にとっては大したことのない額が、買われる側の女性にとっては通常では得られない高収入である、という、発展途上国での少女買春と同様の図式が存在している。
 
この視点を敷衍すれば、現在の日本においても、女性が一般に男性より経済的に劣位にあること全体を考慮に入れるべきだろう。
つまり、生活苦から風俗産業に従事せざるを得ない、という状況に追い込まれる率が、女性の方が高いものと考えられるのである。
 
また、先述した少女買春の他、日本は、2004年、アメリ国務省の報告書の中で
「日本は、アジア、中南米、および東ヨーロッパから、強制労働や性的搾取のために売買される女性や子供の目的国となっている」
という批判を受けている。
ここに指摘されたとおり、風俗産業は、結果的に国際的な人身売買産業の発達に荷担している。
同時に、外国人の調達以外の面でも、風俗産業から暴力団などへ資金が流入し、間接的に治安の悪化などをもたらしている。
また、風俗産業自体も、「購入」した外国人に対して大きな人権侵害を行っているという現状も無視できない。
 
むろん、風俗産業に従事するのは女性ばかりではなく、男性にもホストや男性ストリップなどが存在するが、一般に、女性に比べて労働環境は恵まれていると考えられる。*3
 
問題bに対しては日本でもこれまで警察当局などにより対策がとられてきたが、依然解決には至っておらず、また、過去の歴史を見ても、問題a・bをどちらかであれ解決し得た国家は存在しないのが実状である。
 
これは、需要が存在するがために供給が存在し続ける、という問題であり、いかに厳重な取り締まりを行っても、需要が存在する限り、非合法な供給を完全に絶つことは難しい、という一つの例である。
 
3・抜本的対策
性の商品化に対する需要が、結果的に深刻な人権侵害を引き起こしている、というのは、前項に述べたとおりである。
 
この分野においては、消費者側の願望と、供給側に立つ異性の心理が一致しないことが多く、しかも、他の業種に比べ「意に反して従事する」ことの苦痛がとりわけ大きいことから、このような問題を市場原理や法的措置によって解決することは難しい。
 
そこで、本稿では文化的な啓蒙活動による解決を提案したい。
 
と言っても、男女共同参画に関する教育啓蒙活動はこれまで広く行われており、一定の成果を上げてはいるものの、それが完全な解決策とはなっていないことはすでに述べたとおりである。
現状は、啓蒙活動の方針を転換すべき時期に来ているものと考える。
 
そこで、本稿で新たな方向性として提唱したいのが、「萌え」である。 
 
萌え産業はコンテンツ事業を主体とした企業によって支えられており、その実際の内容としては性の商品化も多く含まれている。
しかし、その特筆すべき特性として、商品として現実の異性を必要としない、という事実がある。
 
例えば、いわゆるキャラクター萌えは、架空のキャラクターに対する愛情・憧れを中心とする感情である。
「萌え」は、消費者に対して、対象となる二次元の架空キャラクターを、身近なところに引き寄せようとする活動を誘発する。
一方で、現実の異性に対する願望とは直結しない。
 
このため、その活動は、作品・関連商品・同人誌・フィギュア……といった、ほぼ合法的*4でほぼ人道的*5な経済活動の範疇に収まることができる。
 
より具体的な例を挙げるならば、「若い子のほうがいい」という理由から、風俗や浮気、あるいはセクハラや痴漢行為に走るよりも、キャラ萌えに走ったほうが、合法性が高く、本人と周辺の幸福という点のみならず、経済・文化・治安等の観点からも有益である。
 
ただし、目下の状況では、キャラ萌え等の文化は十分に市民権を獲得しているとは言えず、その社会的有効性に比して不当に低い評価を受けている。
このため、特に中年以上になって「萌え」的行動をとることは、いわゆる世間体からはばかられる、という実状がある。
 
そこで、行政は、萌え文化に対して十分な広報・啓蒙活動を行い、その普及と社会的地位の向上に務めなければならない。
このための具体的施策としては、地方公共団体による各種セミナー等の実施(大学の公開講座等との連携も視野に)、学校教育への試験的導入などが考えられる。
また、いわゆる「萌え」デザインを、公共のポスター等に活用することで、文化の裾野を広げることも、比較的容易に可能で、効果があるものと考える。*6
 
参考:
http://www.saganet.ne.jp/yamato/
http://sagisou.sakura.ne.jp/~sakuchin/yumi/01/08.html
http://syumilog.hp.infoseek.co.jp/02/05/23_02.html 
 
同時に、より萌え度の高いコンテンツが充実するよう、政府が何らかの形で萌え産業を後援していくことも必要であろう。
 
4・波及効果
コミック・アニメ・ゲーム等の文化が、「日本文化」として諸外国に受け入れられているのは周知の事実である。
一方で、韓国等の周辺国において、日本の作品に影響を受けた若手による作品制作が興隆しつつあり、製造業等と同様、日本の地位を脅かしつつある。
かつてはアニメーションといえばアメリカ合衆国が筆頭であったことを思えば、「萌え」がいつまでも日本特有のものだと考えることはできない。
政府がなんらかの支援を行い、文化を支える層を拡大することは、日本の産業の国際競争力を維持する上で必要であろう。
 
また、これらの施策に伴うデメリットとして、風俗産業の衰退による失業者の発生がある。
しかし、これらの問題は、萌え産業のマーケット拡大に伴う労働力需要の拡大によって相殺されるものと考えられる。
また、これにより、資金がより合法的な産業に流入することで、暴力団等の資金源を断つメリットがある。
 
5・まとめ
以上の通り、萌え文化を積極的に推進することで、国内経済・国外貿易・文化振興・性犯罪抑止・組織犯罪防止・人権擁護等、幅広い分野にわたるメリットがあるということができる。
政府及び地方公共団体は、これらの点を踏まえ、速やかに然るべき施策を講じることが、我が国の将来を考える上で必要であると考える。
 
…………。
 
まあ、嘘なんですけど。
 
んー、考えられる反論としては、「メイド喫茶*7」とか「イメクラ*8」とか「コスプレパブ」とかは、「萌え」が風俗的な方向につながりうることを示唆しているんでは、とか。(「つながる率を下げることができる」っていう主張もアリかなあ)
 
でも、一番大きいのは、性犯罪(に限らず、犯罪というものの多く)が、相手を一人の人間として理解し、その気持ちを考える能力の欠如に起因しているのに、萌えキャラに入れ込んでしまって大丈夫なのか、という点でしょうか。
 
というわけで、萌え産業においては、よりリアルな人間的感情を備えた萌えキャラの創出が必要であると考える。(そっちか?)
 
まあ、言いたかったのは、
「萌え萌え言っている人は、社会的に有害なわけではないし、むしろ有益かもしれないですよ」
……っていう程度のことで。
 
電波男」くらい読んでから書くべきだったのかねえ。
でも、アマゾンの書評は一通り読んだけど、あの本の存在自体、この論に対する反証っぽいなあ。
っていうか、あの表紙見た時点で買う気失せるよな。

*1:共産主義的発想。実行する前から破綻が約束されている理想主義。

*2:ですよね?

*3:偏見ですかね?

*4:著作権法に抵触しがち。

*5:アニメ業界の労働環境はとっても劣悪らしい。

*6:学校にも、容赦なく萌えキャラが侵入してきますからね。
交通安全ポスターとか、こんどお見せしたいと思います。
 
昔、「英語教育ハンドブック」みたいなので、「英語を使ったゲーム活動」の解説に使われていた子どもたちのイラストがいちいち萌えっぽく。
で、「このイラスト誰に発注したんだ?」と思って奥付を見たら、全部県庁の女性職員が描いてた。

*7:マスコミ的には『メード喫茶』って表記するんでしょうか?

*8:綾波はじめました。