となりのせきのそうせいじ。

朝の健康観察で、「はい、元気です」と言いつつ元気のないA児。
 
担任「ほんとに元気か? 元気ないけどどうしたの?」
A児「……あさ、バカとか言われた」
担任「あー、そうか。それは嫌だったねえ」
 
小学校だと、バカバカ言ったり言われたりするのはわりと普通のことだと思うんですけど。特に男子。
A児は女子である上に一人っ子、しかも転校生です。
そもそも同年代の子との人間関係が希薄で、そういう経験に乏しく、免疫がないのです。
 
担任「で、誰が言ったんですか?」
A児「……」
担任「誰に言われたの?」
A児「……」
担任「黙っててもわかんないぞ?」
 
A児、しばらくうつむいた末に口を開き、
 
A児「……ヤン坊とマー坊のどっちだかわかんない」
 
双子兄弟でした。
 
担任「……それは確かに誰に言われたかわかんないな」
 
しかし、話は変わりますが「となりのせきのますだくん」とそのシリーズ、読み聞かせに使うのが難しいのが残念。(コミック風にコマ割+吹き出しで書かれているのです)
 
今更取り上げる必要もないくらいのロングセラーですが。
 
図書室でひさしぶりに「となりのせきの……」を読んで、最後のページを見て
「あー、ますだ君のランドセル、赤いんだなあ。……みほちゃんのは黒いんだなあ。*1いろいろ背景があったんだろうなあ」
……と、思ってふと隣を見たら、「ますだくんのランドセル」が置いてありました。
 
恥ずかしながら未読。
 
読んでみて、やっぱりいい話だなあ、と思いました。
 
ますだ君は、姉一人、兄二人の兄弟の末っ子。
兄からやいのやいの言われたり、結構手荒な扱いを受けたりして育ってきた子です。
 
一方のみほさんは一人っ子。
大事に大事に育てられてきたらしい女の子です。
 
ますだ君は親切で優しい子ですが、なにぶん荒っぽいところが。
みほさんからすると、それが「いじめる」という風に感じられてしまいます。
 
それを、みほさんの側から描いたのが「となりのせきの……」で、ますだ君の側から描いたのが「……ランドセル」です。
 
「己の欲せざる所は人に施す勿れ」「自分がされて嫌なこと 人にはすまい させるまい」
……というのは全く真実ですが。
 
しかし、小学校では、
「自分はされても全然平気なのに、ちょっと押したら相手が泣いてしまった」
「ただ口で言っただけなのにぶたれた」
……みたいな状況が多々あるのも事実。
 
そんな状況をお互いの身になって考えることが、この二作品を通してできるのではないかな、と思いました。
つくづく、読み聞かせに向かないのが残念。
 
とりあえず「……ランドセル」を読め、A児。
 
もちろん、些細な悪口でも許さない、という姿勢も、教師には大事ですけど。
 
……でも、すぐ手を出す子(主に男子)も困ると言えば困るけど、手は出さないし悪口というわけでもないんだけど言葉がきつい子(主に女子)も、指導しづらくて困るんですよね……。
 
助言求ム。

*1:本当は青。