先日の体育の授業で、怪我をした児童の話。
跳び箱の授業で、「前の人がマットからおりたら跳んで下さい」……という指示をして、跳ぶ練習をしていたのですが。
突然「指が痛い」と言い出して、うずくまってしまいました。
左手の小指を右手で押さえて、ぽろぽろ涙をこぼしています。
「動かせる?」「痛い」
「歩く時にも痛む?」「……ううん」
「保健室に行く?」「いい」
ひとまず、座って休ませることにしました。
しばらくして。
「まだ痛い?」「うん」
「さっきと同じくらい痛い?」「すこし痛くなくなってきた」
「動かせる?」「(ちょっと動かしてみて)……わかんない」
「保健室に行く?」「いい」
跳び箱を2つ置いて練習していて、たまたま私が見ていない側で怪我をしたので、どんな状況だったのか分からず。*1
本人もよく分からない様子。
本人が保健室に行きたがらないし、その後も読み聞かせだのなんだのでばたばたしたので、養護教諭に連絡したのは結局2時間後。
その時には指はある程度動かせていたのですが、一目見た養護教諭は、
「ずいぶん腫れてるんじゃないかい、これ。 ほら、右手と比べてみな」
確かに。
押さえている時が多かったのでわかりませんでしたが、小指と薬指をそろえられないくらい腫れています。
すぐに保護者に連絡して、養護教諭が同伴して病院へ。
診断結果は「剥離骨折」。
翌日にはギプスを付けて登校してきました。
……さて、ここまでの対応で何が問題だったか。
- すぐに養護教諭に診せなかった。
- 授業中の監督が行き届いていなかった。
……でしょうか。
最初は、ちょっとした突き指かと思ったのです。
細々した怪我とか気分不良は日々たくさんあるので、いちいち養護教諭の手をわずらわせられない、という思いもあり。(私のクラスには、体温計と絆創膏と虫さされのかゆみ止めが常備してあります。ちょっとしたものなら対応できるように)
ただ、水泳の授業中「頭痛がして気分が悪い」と言い出した生徒をプールサイドで休ませていたら、くも膜下出血で死んでしまって、対応の遅れをマスコミで叩かれた先生もいましたし(詳細はうろ覚え)*2。
油断は禁物でした。
指導についても。
跳ぶ時、一度ついた手を前にかなり滑らせながら跳んでいるので、気になってはいたんですが。
ただ、少し前まで跳べなかったのがやっと跳べるようになって喜んでいるところだったし、あまり頻繁に口を出すと機嫌が悪くなる子なので、少し様子を見ていたんですが……。
「安全上の配慮」というやつを後回しにしてはいかんのですね。よくわかりました。
そんなわけで、授業の翌日。
「病院の人に、『右手じゃなくて良かったですね』って言われたろ」
「うん。言われた。あたし左ききなのに。なんで知ってるの?」
「先生も昔、左手の骨にひびが入ったことがあるんだよ。その時言われたんだ」
「先生も左ききなのにね」
「うん」
「……というわけで、Aさんは片手が使えません。(正確には片手の指一本だけど) だからみんな、大変そうな時は手伝ってあげて下さい。 片手でもできることは手伝わなくてもいいけどね。 片手だと大変な事ってなんだろうね?」
「きゅうしょくとうばん!」
「そうだね。しばらくは誰かに代わりにやってもらおう」
「かえりのようい!」
「うーん……。まあ、ランドセルを運ぶのは、気が付いた人がやってあげてね」
「ひきざん!」
「……指で計算するのはもうやめようぜ。2年なんだし」