ブルーローズシナリオ「タンガロアの怒り」

 先日、鷹安氏、拾郎氏、めとら氏とともに、ブルーローズをやって来ました。
 正直、成功したセッションとは言い難かったので、どうまとめたものか迷ったのですが。
 とりあえず、シナリオだけ公開しておきます。
 

NPC

 ゴールドバーグ教授:南太平洋の環礁で古代遺跡を発見し、発掘にいそしんでいる考古学教授。
 少佐:セントバルバリゴに駐留する英海軍の軍人。ブルーローズの調査に協力するよう命じられているが、実は陰謀結社シュープリームに抱き込まれている。湾岸戦争で片腕を失ったが、そこにオーパーツから複製された特殊な義手を埋め込んでいる。
 メイナア:セントバルバリゴ共和国の現地人。本島の住人ではなく、依然としてヨーロッパ人との接触以前の文化を伝えている離島、フラホア島の住人。シャーマンの素質があり、海神タンガロアの化身を召喚することができる。
 トンタア:フラホア島に最近やって来た老人。フラホア島の住人ではなく、出身はロンゲラップ島。
 ビキニ水爆実験で高濃度の放射能に汚染されたロンゲラップ島の数少ない生き残りで、妻と息子を癌で失ったことから、欧米人を強く憎んでいる。
 彼が持ち込んだ首飾りが、メイナアがタンガロア接触する鍵になっている。
 

導入:

 PCは、筆頭秘書官ナサニエル・ウィンスローより、南太平洋の小国セントバルバリゴ共和国における考古学調査の護衛を行うよう指令を受ける。

 現地では、ブルーローズの後援を受けたゴールドバーグ考古学教授が発掘に当たっており、共和国に駐屯するイギリス海軍も全面的に協力するとの約束になっている。

 ブルーローズの派遣が必要なのは、発掘中の遺跡が広範囲の海底遺跡であり、南太平洋の文明についてのこれまでの常識を超える技術であることが理由として挙げられ、遺跡についてのそれ以上の詳細については現地で教授から聞くよう指示される。
 

事前情報:

 セントバルバリゴ共和国は、南太平洋の環礁を領土とする人口7000人弱の小国である。
 主産業は農漁業で、ほとんどの国民は自給自足しており、海軍基地からの収入が国家予算のすべてに近い。
 住民は開放的で、外国人に対しても好意的である。
 かつてイギリスの植民地であった経緯から、公用語は英語であり、コミュニケーションに不便はない。

 海軍基地の大佐は、教授と共にPCたちを歓迎する。
 調査を行うスタッフ(現地人相当数を含む)は、海軍の駆逐艦に乗り組むことになっており、直接的に調査に協力するのは、艦長である少佐とその部下になると説明する。

 発掘中の遺跡は、環礁の中に完全に没した石畳の道路らしきものや多数の石柱であり、教授の説明によれば、船で石材を海上輸送し、水中で組み立てられたものだろうという。それだけの巨大な船が存在したことが立証できれば、南太平洋における文化や物資の交流についての常識を覆す発見になるという。
 教授は、遺跡について、陸上で建設されたものが島と共に水没した可能性については否定する。

 その理由として、環礁が形成されるにはきわめて長い時間が必要で、現在遺跡がある海域が陸地だったのは数万年前であると推測されること、一方で、人間が南太平洋に進出したのは最大限さかのぼっても4000年ほど以前に過ぎないことを挙げる。(イースター島のモアイが作られたのは紀元後9世紀ごろであり、ニュージーランドマオリ族が住み始めたのは11世紀ごろにすぎない)
 

調査:

 調査についてPCが関わることはあまりない。
 海軍の調査用潜行艇が海底の遺跡を調査している間、駆逐艦で非常事態に備えていれば良いだけである。
 
 この間、教授が上記の説明をしてくれるが、多数乗り組んでいる現地人たちは妙に納得がいかない様子をしている。
 

イベント

・メイナア:シャーマンであるメイナアは、艦の厨房に手伝いとして雇われており、PCと多少の会話を交わすことがある。首に貝殻の首飾りをしており、よく見れば飾りの石などは非常に手の込んだ細工を施されていることがわかる。
・Dr.マロリー:セレスティアル・ゲートの超科学者、マロリーが、銀色の潜水艇「シャイニングノーチラス号」に乗って現れる。彼は、独自の理論に従ってこの海域を調査しており、海底遺跡については超古代文明によって数万年前に地上に建設されたものだと説明する。あまり詳しく話を聞くと、「オーシャンレイライン理論」「超古代海洋文明圏仮説」などによる精神汚染を受ける。彼は調査への協力と、情報交換を申し出るが、たとえPCがこれを受け入れたとしても、少佐がこれを拒絶する。
 
・謎の潜行物体により、突然潜水調査艇が攻撃され、通信が途絶する。最後に送られてきた映像には、巨大な触手のようなものがちらりと写っている。
 

捜索:

 潜水艇の攻撃されたポイントに潜ると、海底に林立する石柱の間に、破壊された潜水艇の残骸が散らばっているのを発見する。
 潜水艇は、きわめて強い力でねじ曲げられており、乗り組んでいた調査員の姿はない。
 
 調査員の捜索は夜間まで続けられる。捜索の間、注意していれば、数人の現地作業員が姿を消していることに気づく。スタッフリストと付き合わせたり、他の現地人に尋ねたりすれば、姿を消したのが、本島(セントバルバリゴ島)ではなく、フラホア島の住民であることがわかる。その中にはメイナアも含まれる。
 フラホア島について尋ねれば、今も昔の言語などを守り続けている人々が住む小さな島で、普段は生活物資の取引などを通じて多少の交流がある程度(英語が話せない住人もいる)だと教えられる。
 
 深夜、駆逐艦は巨大な頭足類らしき生物に襲われる。(現地スタッフからは、「タンガロア」という、恐怖の叫びがあがる)
 辛くも撃退するものの、艦が損傷を受け、母港に帰還することになる。
 
 タンガロアについては、知識関係の判定に成功するか、現地人を説得すれば、教えてもらえる。
 タンガロアは、南太平洋の島々で信仰される海の神で、海から島々を引き上げた神である(島々=全世界だった時代の神話なので、タンガロアは全世界の創造主ということになる)
 一方で、ハワイ諸島など一部の島々では、巨大なタコの姿をした邪神としておそれられている。
 
 ここまでのどこかで、PC(またはその一部)はフラホア島の住人によって拉致される。
 機会がない場合、深夜の襲撃の折に海に転落する・触手に捉えられるなどの形になる。
 
 また、少佐に知られないようにDr.マロリーが連絡をしてきて、少佐が実は「世界征服を企む悪の武装組織」の一員である、と警告してくれる。
 

儀式:

 拉致されたPCは、気が付けば英語以外の言葉を話す人々によって縛り上げられている。傍らには、行方不明になった調査員がいる。
 メイナアがトンタアとともに姿を現し、タンガロアの力によってこの一帯から欧米人の勢力を駆逐し、将来的には全世界から西洋文明を一掃するという計画を打ち明け、協力を求める。
(この計画は主にトンタアのもので、メイナア自身はセントバルバリゴ諸島の平和を守りたいだけなので、やや決意に欠ける主張になる。メイナアは、「南洋の平和を本当に守るためには、西洋文明を完全に滅ぼさねばならない」というトンタアの主張に押し切られているだけ。ただし、タンガロアに対する信仰は揺らがない)
 トンタアは英語を話せないので、メイナアを通じて話をする(というより、メイナアに指示を出すだけで、あまりPCに何かを伝えようとはしない)
 PCがポリネシア語を理解できる場合、トンタア自身と直接話ができるが、トンタアは欧米人に対する憎悪に凝り固まっており、説得はほぼ不可能。
 
 首飾りについては、かつてこの環礁に伝えれられていたもので、有効の証としてビキニ環礁へと贈られたものであると説明する。
 能力のあるものがこれを身に着ければ、タンガロアの化身を呼び出すことができるのだという。
 
 PCが協力を拒めば、メイナアは悲しげな表情で、協力しないならば、PCを(作業員と共に)タンガロアへの生け贄として捧げねばならないことを告げる。
 弱体化したタンガロアの力を取り戻すためには、再び多数の信者を集める必要がある。
 しかし、生け贄を捧げることで、一時的ながらタンガロアの力を強めることができる。
 
 儀式は、遺跡の中心部の海上で行われるが、儀式そのものはイギリス軍(実質的にはシュープリーム)の介入によって中断させられることになる。
 少佐に率いられた部隊は、PCもろともタンガロアの信者を亡き者にし、タンガロアの首飾りを手に入れようとする。
 
 攻撃ヘリと、水面下から現れる無数の触手をともに敵に回して勝利することは困難。
 メイナアを説得して、ヘリを攪乱することができれば状況は好転する。
 
 危機に陥ると、少佐は義手に埋め込まれたバイオセルを解放し、その力でけりをつけようとする。
 
 少佐が死ねば、その部下たちは退却する。
 

結末:

 首飾りをどうするかはPCに任される。
 トンタアは、戦闘の中で死亡している。
 
 ゴールドバーグ教授は、巨大なタコ型生物については、新種の生物だと信じて疑わない(彼の専門は海洋生物学ではない)。
 彼はこれまでの調査の結果をもとに論文を発表するが、自然の地形でないことを証明するだけの証拠がないために、学会からは認められない。
 
 探査艇の喪失・駆逐艦の損傷・少佐の暴走と死といった出来事によって、現地イギリス軍は大きな混乱に陥り、当分の間海底調査に協力できる状態ではなくなる。
 
 Dr.マロリーは、彼自身の調査を元に、数万年前この地域に古代文明が栄え、宇宙人と交流があった、と唱える本を発表するが、世間一般には(もちろん)認められない。
 
 超古代史について一層謎が深まったところでシナリオは終わる。