Kindle Unlimitedで読んで良かった(主に)コミック。

 人気コミックが対象から外されたとかで話題のKindle読み放題。
 だいぶ時流に乗り遅れた感がありますが、自分が読んで面白かったものを紹介しておきたいと思います。
 
 というか、10冊までしか手元に置けないので、読み終わって記憶に残しておきたいのはこうしてまとめておかないと。
(だから、このリストは今後増えるかも知れないし増えないかも知れない)
 
 ……あと、なんか勘違いする方がいるんですが、ここのリンクから買っても私にはビタ一文入りませんので。
 どうせリンク踏むならごひいきの作家さんのアフィリエイトとか踏んであげるといいですよ。
 
 さて。
 

コミック

 
怪談少年
「怪談少年」(高橋葉介
 妖怪ハンターだか退魔師だかをやっているクールでエキセントリックな姉と、基本的に一般人だけど妖怪より姉に振り回される弟の話。
 一話完結の短編集。
「怪談」と言っても怖かったりグロかったりするシーンはなく、楽しく読めました。
 幽霊屋敷の話がちょっと切ない。
 
私たちは繁殖している (1) (ぶんか社コミックス)
「私たちは繁殖している」(内田春菊
 漫画家、内田春菊氏の育児エッセイコミック……という位置づけでいいのかなあ……。
 子どもの頃1巻を読んだ記憶があるんですが、これ十何巻も出てたんですね。
 今のところ、13巻までが無料で14・15巻が有料。(まだ6巻読んでる途中)
 
 春菊氏のたくましい生き方は応援するのですが……。
 しかし、乳児を抱えた母親を見たらどう接すればいいのか、どんどんわからなくなってくる作品ではあります。正直。
 
*追記
 6巻まで見たけど、正直もういいかな、という気分に。
 
 こう………………どんな相手となら、内田氏は幸せになれるんでしょうね。
 
ゆるゆり: 1 (百合姫コミックス)
ゆるゆり」(なもり)
 全巻無料。
 アニメは見たことないんですが、名前は聞いたことあったので読み始めました。だらだら読んでます。
 
限界集落(ギリギリ)温泉第一巻
「ギリギリ限界集落温泉」(鈴木みそ
 
 たぶん鉄板なんでしょうねこれは。
(まだ3巻を読んでる途中ですけども)
 
 過疎の村の、つぶれかけた温泉宿に、仕事から逃げ出してきた「ゲームクリエイター」と、自殺志願の情緒不安定なネットアイドル(そして、それを追ってきた多数のオタクたち)が流れ着くことで、村を巻き込んで変わっていく……
 
 的な話。
 
 ご都合主義と言えばそうですが、さすが鈴木氏だけあり、色々下調べをした感満載。
  
 ただまあ……私の奧さんは田舎の市役所勤務なので、役場の「玉川上水」氏の描き方は色々と……。
 
 まあ、鈴木氏は(多くの作家がそうであるように)個人が自らの資質で道を切り開いていく、という「小さな政府」的方向性を強く志向していますからね。
 
 ……しかし、こうしてみると、過疎地の再生って難しいことだよなあ。
 
「アイデアがあれば再生は可能」とかいう人はいますけど、アイデアを出すには広い世間で色々な経験を積んだ人間、という、過疎地には一番欠乏した「人材」が多数必要なわけで……。
 

コミックじゃない

 
隣り合わせの灰と青春 (幻想迷宮ノベル)
「隣り合わせの灰と青春」 (ベニー松山
 ゲーム小説の古典的名作が! タダで!
 ずっと読みたかったんですよ!
 
大どんでん返し創作法: 面白い物語を作るには ストーリーデザインの方法論 (PIKOZO文庫)
「大どんでん返し創作法: 読む人を魅惑する逆転の法則」 (今井昭彦)
 物語における「どんでん返し」というのをどう作ったらいいか、パターン化して説明した本。
 読者の意表を簡単に突ける、というのはすごいことだと思います。
 とても読みやすいし。
 
 無料で読んだけど、次の本と共にお金を払って買って、ノートとかに内容をまとめておきたい、と思っています。
 
 ……お話作りとかしない人には何の役にも立たない本ですけど。
 
物語が書けないあなたへ ストーリーデザインの方法論 (PIKOZO文庫)
「物語が書けないあなたへ」(今井昭彦)
 同じく創作の本。
 
 ……あのね、新城カズマ氏の「物語工学論」とかより、よほど平易で実践的な内容のような気がする。
 
 良い本なのですけど、途中で
「クールジャパンとか言ってるんだから、学校で物語の作り方を教えるべき! 教師は無能!」
 的な物言いがあってカチンと来たので私の中では評価が30点くらい下がりました。
 
 小中学校って、「オレが大事だと思うこれを義務教育に取り入れるべき」論者に取り囲まれてるので……。
 キャリア教育とかさー、金融教育とかさー、プログラミングとか、愛国心とか……そこに今度は「物語の作り方」ですよ。
 おうおう、だったらその分何を削ればいいかも一緒に提案してくれよ。

情緒的なシーンを書くときは自分の感情も盛り上がっていますのでついつい余計なことを書きすぎてしまうことがあります。そういう時の文章は本当に何度も読み直して他の部分の文章との整合性をとってください。自分の言い回しに酔っていないか。また、それが読者にバレていないか。そういうところに気を使ってください。

妄想したり自分の好き嫌いを語ることはとても気持ちのいいことです。しかし、物語を構成するときには必要ありません。

(いずれも「物語が書けないあなたへ」より)
 
あと、旧海軍の水兵だった作者の「我が青春の追憶」も読んでる途中で、海軍の従軍体験談として興味深くはあるんですけど、誰にでもおすすめできるかというと……。
わが青春の追憶 上巻
 

まだ読んでない

 あと有名どころとしては、「ストップ!!ひばりくん!」「実験人形ダミー・オスカー」「アドルフに告ぐ」が全巻無料、「COBRA」が何巻か無料とか。
ストップ!!ひばりくん! コンプリート・エディション1 実験人形ダミー・オスカー 1 アドルフに告ぐ 1 
COBRA vol.1 COBRA THE SPACE PIRATE
 
パタリロ!」……は、最初の何巻か無料で途中まで読んだのですが、今はUnlimitedの対象から外れてしまった模様。
 
*追記
「ダミー・オスカー」は一巻の全部と二巻の最初を読んだけどやめてしまいました。
 どう考えても、フォルクスワーゲン(西ドイツ!)社幹部の
「衝突実験用ダミーなんだから、合理的な予算内で人体の物理的特性を正確に再現することが重要だ。陰毛とか断末魔とかどうでもいい。そんなカラクリ人形的職人芸にこだわってるから戦争に負けるんだ(言ってない)」
 という主張が正しいと思わざるを得ない。
 

長文で紹介せざるを得ない

 
31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる (ウィングス・コミックス)
「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」(御手洗直子)
 
 これからネット婚活をする人は読むべき!
 
 ていうか、卒論ちゃん(最愛の奧さん)に読ませたら大爆笑していたので、別に婚活中でなくても、オタクでもそうでなくても、いろんな人が楽しめるマンガだと思います。
(お前の奧さんはオタクじゃないのか、という指摘はスルーします)
 
 まずプロフィール作り。

 
卒「あっ、これ従姉妹の××お姉ちゃんだ」
私「そんな個人名を出されてもですね」
卒「私逆だよー、ホモまんがをホモじゃないマンガに変換して読むの得意だよー」
私「それなんか需要あるんですか」
卒「……女子向けの二次創作って、BLは大量にあってクオリティも異様に高いけどノーマルカップリングはぼちぼち……みたいな状況がよくあって、ホモが好きじゃない人はそうせざるを得ない」
私「そ……そうなのか……」
 

 う……うわあ。
 
 普通に参考になる話もあります。

 ……あれ? 10km? マラソン
 
 まあ、どう見られるか意識するって大事ですよねー。
 
 しかしこの本のハイライトは、年収一千万クラスタと実際デートに行った時の話だと思います。
(なにしろ女子の売り手市場なので、男性から断られることがほとんどない模様)
 
「年収○百万の人と、一千万、二千万の連中が同じサイトに並べられたんじゃ勝ち目はないのでは……」
 などと思ってしまいますが、全然そんなことはないのがわかって希望が持てます。
 
 結末では、作者は無事選んだ相手と結婚することになります。
 
 で、その男性側から見た続編も出ています。
 
31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる 31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる (ウィングス・コミックス)
「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(御手洗直子)
 
 こっちは読み放題の対象ではないんですが、思わず買ってしまいました(思うつぼ)。
 
 純粋に読み物として見た場合、やっぱり自分の体験を描いた前作の方が面白い気はする(それでもすごい面白い)のですが、やっぱり男性側視点というのもなかなか参考になるものが。
 
 女子の売り手市場ということはですね。

 

 う……うあああ……。
 
 まあ、作者曰く、男性でも失礼な人とかいるわけなので……。
 お互い「品定め」が目的である以上、相手を人間扱いしなくなる人も出てくるんでしょうね……。
 
 一方で、

 なんだそれは。天使か。
 そんな人がなんで婚活してるんだろう……。
 
「ファッションがダサすぎる」という指摘を受けて服を買いに行くものの、

 
卒「これダーリンじゃないの?」
私「めっちゃ私ですね」
 
 いや、ゲームTシャツは持ってないけど、摩りきれたユニクロとかなのでレベルは一緒。
 

 
卒「こんな本あるんだー」
私「ちなみに持ってます」
卒「持ってるのかよ!」
 
 ……と、こんな調子でやってると、読み放題でもない本を全部紹介しかねないのでこの辺で。
 いやほんと、大変おすすめです。 
 
 次はちょっと重い。
 
毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で
「毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で」(沖田×華
 
 アスペルガー症候群である作者の日常を描いた作品。
 続編を今読んでいる途中です。
 
ますます毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で
「ますます毎日やらかしてます。」(沖田×華
 
 どちらも読み放題対象。
 続編の方が絵がうまくなってる気がしますね。
 
 学校で「発達障害」っていうと、基本的に「発達障害児」のことで、
「どう対応すれば授業がわかるか」
「学校生活に適応できるようにする工夫」
 といった、周囲の大人からの視点で語られることが多いのですが、そういう人が大人になって、どんな苦労があるのか……というのが、本人の視点で読めるのが興味深いです。
 
 あと、作者やその他登場人物がいろんな症状を抱えてるのも印象的で。
 作者も、「アスペルガー」の他、ADHDとか相貌失認とか感覚過敏とか色々。
 
 教育関係の研修だと、
アスペルガーの症状はこう」
「LDは、知的遅れはないが特定の学習分野だけが極端に苦手」
 とか区分して教わりますけど、実際には、
アスペルガーでLDの症状もあってなおかつ知的遅れがある子」
 というのも当然存在するわけだし……もしかして……「LDのみ」とかいう方が珍しい……?
 
 ……っていうか……。
 
 この本、思い当たる節がありすぎて辛い……。
 
 以下は作者の弟の話。

 
 ……いる!
 
「今はその話題はダメだ!」「やめろ!」「その話はするんじゃない!」
 って周囲が全力で止めてるのに、絶対話題を変えない人を知ってる……!
 
 ああ……あれも障害の症状だったのか……。
 
 ああ………………。
 
 しかしね、これを結納の席とかでやられてみろよ……。
 
 あと、作者は音……特に子どもの声が苦手とか。
 

 
 あー……。
 
 自分は学校関係者なので、「幼稚園の子どもの声がうるさい! 迷惑だ!」とかいう話を聞くと、「ハァ!? 我慢しろよ!」とか思ってしまうのですが、世の中こういう人もいるわけですね……。
 
 ちなみに作者は、外出時はノイズキャンセリングイヤホンを使ってるそうです。
 

 
 これ私だ……。
 
「もうすぐ荷物が届く」とか「もうすぐ奧さんが帰ってくる」とかすごい苦手。
「いつくるんだ、今か? 今か? いつだ?」
 って感じで、いいことであってもすごいストレスに。
 
 あと、予定通りに物事が進まないと、臨機応変な対応とか全然できない。
(しかし最初から行き当たりばったりだと、重要な用事をキレイに忘れたりする)
 
 先日、運動会の途中に放送設備が不調になってね……。
 
 …………今思えば、もっとマシな対応がその場でいくらもできたと思うのね……。
 
 まあ、「広汎性発達障害」(の大部分)は、今では「自閉症スペクトラム」に位置づけられまして。
 
スペクトラム」というのは、要するに「ここからここまでが正常。ここからが障害」ではなくて、ほぼ白いグレーからやや濃いグレー、かなり濃いグレー、ほとんど真っ黒なグレーへと連続的に変化する、ということです。
 だから、どんな人でも、自閉症スペクトラムの症状リストにある程度は当てはまるもの。
「あっ、これ俺だ」
 と思ったからといって、発達障害であるとは限らない……んですけどね。
(でもたぶん私はかなり濃いグレーだと思う……)
 

おわりに。

 
 というわけで、面白い本もまだあるので継続していこうと思っているKindle Unlimitedなんですけど、検索機能の劣悪さだけはほんとどうにかならないんでしょうかねこれ?
 
 読みたくもない作品が「おすすめ」にずらずら(シリーズ全巻)出てきたり、除外検索しようとするとまともに機能しなかったり……。
 Steamみたいに「興味がありません」ボタンをつけて欲しい。
 
 あと、すでに読んだ作品は「おすすめ」に出さないで欲しいし、「シリーズ第一巻だけ表示する」みたいな機能がぜひ欲しい。
 
 ……それと、読み放題って、「タダなら読んでみようかなー」という感じで、読者側のハードルが低くなるので、その分、「試しに読んだけど面白くなかった」というケースが増えると思うのですよね。
 正直言って、途中まで読んで投げた作品もかなりあります。
 
 最後まで読んですらいないのに評価の☆をつけるのって失礼じゃないか、と思うのですが、しかし、評価しないと「おすすめ」に反映されないし、同じ作品をおすすめされてしまったりするので、読者側としては評価を(低評価を)つけざるを得ない……。
 
 それって作家にとってどうなんだろうなあ、とは、かなり思うところです。