以前、統計グラフコンクールに参加したり、その関係で研修に行ったりしたんですが、その時、
「これはねえだろう……」
という経験をしたので。
よそのブログ様を読んで、ふと思い出しました。
「円グラフの条件つき復権」
http://d.hatena.ne.jp/masudako/20120812/1344750020(「macroscope」ブログ様)
統計学やデータ可視化の専門家の多くが、この主張を共有し、円グラフは百害あって一利なしくらいに思っている。他方、統計グラフ全国コンクールの主催者を含む、統計学やデータ可視化の専門家の多くが、円グラフは勧められる技法だと思っている。
大まかに言うと、
・円グラフはあんまり良くないと言われてきたよ(面積の大小を読み取る人間の能力はあんまり高くないから)
・でも、割合を示す上では棒グラフより優れているよ
……という話として理解しました。
ただし、
円グラフをゆがめた形の表示、たとえばMicrosoft Excelの利用でよく見られるようになった「3D pie chart」(日本語は未確認だが「3次元円グラフ」だろうか?)がまずい表現方法だということでは、gaou_ak さんやdritoshiさんの主張にわたしも賛同する。
人は面積をそれほど精度よく知覚できないとはいえ、円グラフでは、中心角と面積の両方が対象となる数量(の全体に対する割合)に比例するべきなのだ。
(強調引用者)
……で、ですね。
統計グラフコンクールの後、件の研修に(はるばる東京まで)行ってもらった山のような資料の中に、子ども向けのパンフレットがあったんですが。
「統計を学ぼう」(小学生用)
(傾いて見えるのは、適当にスキャンしたからです。まさかこうして他人様に見せる日が来るとは思わなかった)
なんか、タイトルの色使いのセンスにすでに不穏な空気が漂ってますけど、
“このパンフレットは、平成19年度「統計活動奨励賞」(財団法人日本統計協会)を受賞しています。”
だそうなので読み進めていくと……
「統計表をグラフにしてみよう!」
つまりグラフの「お手本」なんですが……。
ちょ、ちょっと待って?
これ……。
このグラフ(特に右側、本のしおりを模したグラフ)はまずいんじゃね!?
「とても好き」と「好き」はどちらも27%だから割合は同じはずなんですけど、とてもそうは読み取れませんよね?
むしろ、「とても好き」が過半数を占めているように見えませんか。
しかも、「ふつう」41%と「きらい」2%が、背景にまぎれて見えにくくなっているという……。
……これ、むしろ明らかに政治的いんちきグラフの実例だと思うんですけど……。
冒頭の
「円グラフでは、中心角と面積の両方が対象となる数量(の全体に対する割合)に比例するべきなのだ」
にあからさまに反した例ですね……。
あと、そもそも「とても好き」から「大きらい」までを選ぶなら、円グラフ(のようなもの)より、帯グラフにした方が良かったのでは。
もちろん、これが実際の小学4年生の作品だ、というのはわかりますよ?
しかし、この作品をあえて選んだのは制作者なわけで。
責任者出てこい。
……責任者はこの人たちですかね。
(あと、このパンフに「統計活動奨励賞」をあげたさっきの人たちも)
……まあ、「平成19年度」とあるとおり、これ結構前の話なので、今は改善されている……と思いたいなあ……。
おまけ。
ゆるキャラ。
ペンミン先生と……
ペンペンくんとミンミンちゃん。
安直すぎる。
ちなみにこの生物は……
「統計ペン民」。
いやそこはむしろ「統計ペンギン」でいいだろ。
なんか「民」の字を入れないと死ぬ呪いでもかかってるのか。
……ともあれ、「統計グラフコンクール」は全国規模のコンクールとしては出品者が少ないので狙い目ですよ先生たち、というお話でした。
よほど低予算なんですかね……。