プロの手に任せれば新品同様に!

本日、TAKEO KIKUCHIでワイシャツを買ってきました。
なんと15000円もするやつ。
 
……って言っても、自分で着るんじゃないんですが。
自分で着てるのは3枚1000円とかの。
 
ちなみにネクタイはダイソーの。
 
うちの母はクリーニング店のパートタイマーなんですが、そこへタケオキクチのワイシャツを出した人がいたんだそうです。
ところが、クリーニング工場から帰ってきたのを店員である母が確認したらそれに穴が開いていた、と。
 
「しかも、そのお客さんのワイシャツに穴あけたのこれで二回目なのよ……。この前は5000円の」
 
それは……まずい。
 
「息子さんのワイシャツをお母さんが出しに来るんだけど……。いい人でね、こっちが言う補償の金額と向こうが言う金額が違ったんだけど、結局、『まあ、新品じゃないし仕方ないですね』って納得してくれたわけよ。それなのにまた同じ人の」
 
母が働いているクリーニング店は、一般客の洋服を引き受けている店舗は二カ所だけですが、それとは別に、工場等と契約を結び、作業服のクリーニングなども請け負っています。
 
ただ、社長の経営方針と母の意見は一致をみません。
 
「今回も社長ったら、『隣のスーパーでワイシャツ売ってるし、それで買って返せばいいじゃないか』とか言うわけよ! あんな500円のワイシャツで返したことになるわけないじゃないの!」
 
えーと、豪放磊落な方ですね。
みみっちいとも言うけど。
 
「その前は、別な人の毛皮のコートに工場が漂白剤こぼしてまだらにしちゃってね? そしたら社長は、『これ、全部漂白すれば真っ白になるんだけどなあ』とか言ってるし!」
 
全面まだらにしてアニマルプリントと言い張るという案もありますよ、社長。
 
「根本的に、他人に頭を下げるってことができない人なのよ……。本来なら、工場からお客さんに連絡を入れて、社長が前面に出てお詫びすべきなんだけど、あの人に任せるとかえって話がこじれちゃうからね……」
「えー?『誠に申し訳ございません、お品物につきましては、当店で責任を持って弁償させて頂きます。本当にご迷惑おかけ致しました』……って言えばいいんじゃないの?」
「あの社長だと『いやいやいや、どーもどーも、すみませんねーほんと、や、ほんと』みたいな感じ」
「“おあしす”がなってないね……」
 
はよう
りがとう
つれいします
みません
 
「ありがとうとごめんなさいが言えない人はだめだね」
「おかげで、こういうトラブルが起きると、あたしたち店員がかけずり回らないとならないわけよ」
「私なんか、年中ありがとうとごめんなさいを言ってるのになあ」
 
そんな人もだめです。
 
「しかし、クリーニング店の店員って、客が来ない時は座って本ばっかり読んでる印象がありましたが、違うんだねえ」
「本は読んでるけどね」
 
トラブルへの対応で真価が問われるのですな。
昼行灯。
 
ていうか、危機管理能力がパート任せ。
 
「それにしても、工場だって、穴を開けちゃった時、気付かないはずがないのにそれを黙ってこっちに返してくるんだもの……。トラブルが起きた時に、しっかり原因を調べて、再発しないように検討する、って姿勢がまるでないし。このワイシャツもそうだけど、生地の折り方に凹凸がある物に限って穴が開くから、そこに原因があるんだと思うのよ。たぶん、こういうのと作業服を一緒に洗っちゃってるんじゃないかなあ……」
「作業服の委託だけ引き受けて、一般のクリーニングはやめたらいいのに」
「単価が違うからねえ。工場の景気が悪くなると、作業服のクリーニング回数も減らされるし」
「だからって、そんな高いワイシャツに穴開けてたら、単価もへったくれもないでしょうに。クリーニング代いくらなの?」
「ワイシャツは85円」
「安! 15000円のワイシャツ弁償するためにはえーと170枚以上?」
 
ダイソーのネクタイなら二回でおつりがきますがクリーニングなんて出しません。
 
「そもそもワイシャツのクリーニングはほとんどもうけがないのよ。目玉だから」
 
ともあれ、そんなわけで、今回は、穴を開けたことはお客さんに秘密にして、こっそり新品と取り替えるというそれもどうなんだ。
 
「お店に型番知らせて問い合わせたら、サイズもデザインも同じのがある、って言われたから、買ってきてくれない? お金は社長に出させることになってるから」
「まあ、おやすいご用ですが。それにしても、いくらクリーニングだって、戻ってきたら新品になってるんじゃ気付かないかね?」
「だから、買ってきたのを一度クリーニングしてから返そう、って相談してるんだけどね」
「なるほど」
「ただ……、悩んでるのが、『どこのクリーニング屋に頼もうか』ってこと」
 
教訓
失った信頼を取り戻すのは難しい。
 
「それはそうと、穴の開いたワイシャツはどうすんのさ。腹の辺りに小さい穴が開いてるだけだし、捨てるのももったいない」
「あんた着る?」
「うえー。そんな高いの、恐ろしくて着られないよ」