悪意の不在どす。

京都、と言えば、国際観光都市。
 
修学旅行等で訪れた方も多いでしょうし、個人的な観光で好んで行かれる方も多いと思います。
 
……でも、私はどうにも近づきがたい気がして……。
 
わたくし、関東生まれの関東育ち。
根っからの東夷です。
 
……なんか、植物の名前みたい。
「和名:アズマエビス」
関東ロームに根を張って育ちます。
 
さて、大学時代、やっぱり東夷の教授から聞いた話。
 
国文学(古典)なので、京都方面の研究者と付き合うこともあったわけですね。
 
ぶぶ漬け
京のぶぶ漬け、と言えば有名ですが。
 
ぶぶ漬けどうどすか?」
どころではなかった、という話。
 
「いやー……。だって、俺がもう帰ろうとしたところで『ぶぶ漬け食べていけ』って言うんだからよ。
それで、こっちゃあ遠慮して何度も断ったのに、それでも『ぜひ食べていけ』って言うんだよな。
しまいにゃこっちの腕までつかんで『ぜひ』って言うもんだからさ。
いや、こりゃあひょっとしてもう用意しちゃったのかな。だったら、断る方が申し訳ないかー、と思って、『じゃあごちそうになります』……って座ったらさ。
とたんにさあーっと顔色が変わって、大あわてで台所に駆け込んで、
『なんて礼儀知らずな人だろう、さんざ長居した上に食事までしてくなんて』
……って聞こえよがしに言うんだもの嫌になっちゃうよ」
 
ひい。
 
「急な来訪で十分な準備ができず、お茶漬けくらいしか用意できない」
って意味らしいんですが。
 
貸し出し中
「京都の研究者に、手持ちの資料を見せて頂きたいんですけど、って言ったらさ、いつでも大丈夫だから家に来てくれ、って言うんだよな。
それで、たまたま京都に用事があったついでに寄ってみたら、なんか迷惑そうな顔して、『いや、今ちょうど他人に貸してしまって……』って言うんだよ。
まあ、こっちも急な訪問だったし、たまたま近くに来たんで寄ってみただけなのでどうも失礼しました、って言って帰ってさ。
その後、また電話で話したら、やっぱり『いつでも来てくれ』って言うんだけどさ。
ところが、それじゃあこの日はどうですか、って聞くと、『ちょうど貸して手元にない』って言うんだよな。
そんなことが何度かあってやっと気が付いたんだけど、こいつ本当は資料見せる気なんか全然ねえんだな、って」
 
こわーいこわーい。京都こわーい。
 
まあ、これはかなり昔の話とは思いますし、それ以前にこの教授が先方に嫌われていたんじゃないかという気もしますが。(でも、嫌われた理由はあのべらんめえ口調じゃないか、という気もする)