新年あけましておめでとうございます!
さてうつ病の話。(おい)
読んで色々考え込まされた(というか微妙に身につまされた)記事があったので。
「配偶者がうつ病になったときにするべき、たった一つのこと」
http://d.hatena.ne.jp/Britty/20090103/p1
あなたの配偶者がうつ病であったなら、あなたが病院へ行きなさい。主治医と話をしなさい。治療方針に疑問があるなら、なおさらそうしなさい。
「身につまされた」と言っても、幸いにして私はうつ病になったことがありません。
家族もたぶんありません。
だから私は、うつ病については具体的なことは何一つ知りません。
でもたぶん、ここに書かれていることはとても大切なことだと思いました。
……そう感じた、というのは、すでにそんな気がしていたから、なんですが。
一部で有名な、林先生の「精神科Q&A」。
http://kokoro.squares.net/psyqa.html
私、例の「まさかとは思いますが」よりもずっと以前から愛読してまして。(でも最近は読んでない)
なのでまあ、
「とにかく主治医と相談しろ。素人意見は聞くな。薬は飲め。うつ病は治る」
という風に考えていました。
前掲の記事とほとんど同じスタンスですね。
じゃあなんで今更考え込んだり身につまされたりしたのかと言うと、最近卒論ちゃん*1とちょっと議論になったから。
卒論ちゃんはうつ病になったことがあるんだそうですよ。
いわゆる希死念慮も。*2
で、本人曰く、
「うつ病は薬では治らない」
のだそうで。
「カウンセリングとかも行ったけど、結局は自分の気の持ちようだよ!」
と。
一方私は、
「いや、うつ病というのは基本的に脳の病気であって、“気の持ちよう”をコントロールできなくなるのが症状なのだから、その主張は“ぜんそくを治すためには咳をしないこと”というようなもので意味がない。
うつ病が脳という臓器の病気である以上、胃や肝臓など他の臓器の疾患と同様、治療のためには内科的治療、すなわち投薬が必要だ」
と主張したのですが、これはいたく卒論ちゃんの機嫌を損ねました。
なんか、
「うつ病が何年も長引いて、薬漬けになってなんか被害妄想が出たりとか精神的にもおかしくなっちゃった知り合い」
の話(ちょっとうろ覚え。コメント欄参照)とかを持ち出して反論されました。
個人的には、それは「うつ病ということになっている」だけなんじゃないか*3、うつ病の治療薬ってそんな副作用はないんじゃないか、とか思ったりしましたが、どっちにしても林先生情報だし、林先生は「ネット情報を信じるな阿呆」と常々言っておられるのでそれは差し控えました。
しかしそもそも、カウンセリングと気の持ちようだけで直ったうつというのはホントにうつ病なのか。
当時の卒論ちゃんの、長年にわたって治らない上に日常生活に苦痛をもたらす水準の病気を抱えている、という状態では気分が落ち込むのが当然で、それ自体はうつ病というよりうつ状態なんじゃないのか。
本当に病院で「うつ病」という診断だったのか……などと確認したら本当にケンカになりそうだったのでその辺で話題を変えました。
いや、後でWikipediaで確認する限り(またネット情報だよ!)、うつ病というのは今日では
「社会生活に支障をきたすほどの気分の落ち込み」
を指すのであって、脳の器質性疾患だとかどうとかは問題にしない(そもそも確認できない)のだそうですから、確かにあの時期の卒論ちゃんは「うつ病」だったのだと思います。
妻の病歴はさておき、考え込まされたのは、
「うつ病は気の持ちようである」
というのは、たぶん、うつ病になり、そして治った人の主観的経験としては全く正しいのだろうな、ということ。
だって、事実
「うつ病って気の持ちようで治るんじゃね?」
と思えるようになったら治るわけですから。
でも、本当は「気の持ちよう」は結果であって原因ではない。
そして、現にうつ病である人に対して
「気の持ちようだよ!」
とアドバイスする、というのは、
「治らないのは治る気がないからだ」
と言っているに等しいように思います。
それって、実はこの記事↓の筆者が言ってることと同じなわけで。
「健康な人を選べばよかった、」
http://anond.hatelabo.jp/20090103032255
薬なんか飲んでも極論、治らないんだよ。
本人が回復しようと思わないと治らないんだよ。
もちろん、私も家族もうつ病ではありません。
(妻が結婚以前そうだった、とは言えるわけですが)
ネット情報なんか信用できません。
だから、自分がうつ病になった経験がある上、「うつ病が長引いた知り合い」がいる卒論ちゃんの意見に太刀打ちすることは難しいのですが……。
ケンカになるしな。
でも、もしも将来、自分がうつ病になったらどうなるんだ、と不安ではあります。
私自身は、そうなったら精神科に行って投薬中心の治療を受けるのが最善だ、と確信しています。*4
しかし身内に
「そんなの気の持ちようだよ!薬漬けは良くないよ!私が経験したから確かだよ!」
と主張する人がいる……というのは、治療環境としてどうなのか……。
まあ、今は新婚で幸せ一杯の生活。(いや、本当ですよ?)
それなのにうつ病に罹患する心配をして憂鬱になるなんて、豊作の畑を前にして飢饉の心配をするようなもの、とは思うものの……。
でも、いつかは飢饉が来るかも知れませんよね?
……ともあれ。
してみると、家族が(あるいは自分が)うつ病になったから、といって、
「以前うつ病になったことがある」
人に相談する……なんていうのが実は悪い結果を招くこともあるのではないかな、などとつらつら考えたことでした。
結論:
「だから主治医に聞けってば!(=ネット情報も「元患者」も当てにするな)」