本当にあった怖い話(夜間運転編)

 さて、年の暮れ、世間もあわただしくなってきました。
 この時期、交通事故の件数も多くなる傾向にあるそうで、私の住む地域では、歳末交通安全運動、なるものに取り組んでいます。
 
 そんなわけで、今日は交通安全のお話。
 
 今年の10月末、私は引っ越しの準備でおおわらわでした。
 距離がそれなりに近いので、引っ越し業者は頼まず、荷物は全部自力で運ぶことにしたのです。
 
 仕事が終わった後で荷物を箱に詰めて、車に載せ、新居に運んだ後、また自宅に戻ってくる……。
 そんな生活。
 
 以前書いたとおり、まずオタクっぽい本を運び、オタクっぽくない本も運び……とやっていった結果、あとに残った物があります。
 
 本棚です。
 
 大きめのカラーボックスを使ってるので、重さはさしたるものではありませんが、相当かさばります。
 
K村「……でも、こっちでばらして、向こうへ運んでまた組み立てるのも面倒だよな……。車に積めないかな?」
 

 
……どう思います?
 
 問題のカラーボックスは、
高さ168cm  幅82cm   奥行き29cm。
 我が愛車、ダイハツMAXの車内空間は、
長さ176.5cm 幅127.5cm  高さ 127.0cm。
 
 理論上は積めます。
 
 座席とかがなければ。
 
K村「えーと、背板を上にしてー。助手席の上にかぶせてー。後部座席を倒してー……ああー、前に倒した方がいいかな……」
 
 数十分の格闘。
 
K村「……積めた!」
 
 成功しました。
 
 理論上、カラーボックスの端からフロントガラスまでの距離は8.5cmしかないはずですが、実際にはやや斜めになっているのでもう少し余裕があります。
 
 ……それでもこんな感じ。
 

  
 助手席にも段ボールが積んであるのでわかりにくいかもしれませんが、運転席の上に浮いている四角い物体が、カラーボックスの最上段になります。
 
K村「……で、人間はどこに乗るのかと」
 
 写真ではぜんぜんわかりませんが、運転席の背もたれの上にカラーボックスがかぶさっているので、人間が入るスペースがありません。
 
 ……まあ、この状態で運転するのは不可能だということにこのとき私は気づきました。本当です。
 
 車内をカラーボックスが占領していて後ろが見えませんし、危険ですよね?
 
 だから、カラーボックスは分解して運びましたよ? 当然じゃないですか? それが普通ですよね?
 
 ……いや、写真は撮ってないですけど。
 
K村「なんとか無理矢理入れば運転できるんじゃね?」
 
 とか、無謀なことは考えませんでした。
 なので、この下に書いてあることはあくまで思考実験です。
 
 本当なので信じてください。
 
 特に警察の人は信じてください。
  
 ……さて。
 
 引き続き試行錯誤。
 
 ……と言っても、カラーボックスを動かすのが不可能なのは目に見えているので、人間の方を工夫します。
 
 第1案。
 
 
 右側によける。
 
 幸いにして幅は左右に20cmずつの余裕があるため、なんとかサイドウインドウとカラーボックス側面の間に頭を入れるスペースがあります。
 
 
 
問題点1:ちょっと首が痛い。
問題点2:左方視界が制限される。

 

 「制限される」っていうか全然見えません。
 危険です。
 
問題点3:警察に捕まる。
 
 そもそもこの車の状態を見られた時点で捕まる気もしますが、正面から見たとき目立ちすぎです。
 
 第2案。
 
 
 前によける。
 
 カラーボックスの前に若干の隙間があるので、体を前のめりにさせて、その隙間に頭を入れます。
 
 これなら、ほとんど通常通りの視界が確保できます。
 夜だし、正面から見る限りは、何か変なことをやっているのに気づかれずにすむかも知れません。
  
問題点1:腰が痛い。
 
 背もたれに背中がつきませんので。
 
 でも、まあ問題はそれだけかと思ったので、このまま走り出しました。
 いや、そのように想定しました。
 
 そこで気づいたこと。
 

 
K村「……これで衝突事故とか起こしたらどうなるんだろう」
 
 エアバッグ、作動しますよね?
 

力1(→)慣性の法則により、カラーボックスが前にずれる。
力2(←)エアバッグにより、体が後方に押される。
 
問題点2:愛、深き淵より。
 
 ……いや、星野富弘さんは素晴らしい方だと思うのですが、その境遇をうらやましく思うかというと全然なのです。
 
 というわけで、安全運転に十分配慮して運転することにしました。と想定しました。
 
K村「……でも、ゆっくり走ると時間がかかって、パトカーに遭遇する危険性が増すよな……」
 
 で、運転する途中で、新しい方法(第3案)を思いつきました。
 
 
 かぶる。
 
 カラーボックスの中に頭を入れます。
 
 そのままでは前が見えないので、足を前にせり出すようにして座高を下げます。
 
 
 
 こうすれば、視界もほぼ確保できますし、軽く電柱にぶつけただけで頸髄損傷・全身不随、とかいうことにならずにすみます。
 
 それでもちょっと腰が痛いので、赤信号とかの時には腰を伸ばし、頭を完全にカラーボックスの中に入れて休憩します。
 
K村「よし、完璧!」
 
 ……で、無事、新居まで到達できましたと推測されます。
 
K村「大人しくカラーボックス分解した方がずっとよかったような気がするな……」
 そうしましたけどね!
 
 みなさん、交通安全には注意しましょうね。
 
*余談
 
 赤信号で止まってるときには、頭を完全にカラーボックスの中につっこんでるわけですよね。
 
 すると、対向車からどう見えるか。
 
 夜の運転中、赤信号で止まったとき、交差点の向こうに止まっている対向車の運転席にふと目をやると……。
 

 
問題点1:首なしドライバーの怪。
 
 なんか、知らないうちに新しい都市伝説を作ってしまったのでは、という気がしますが。
 
 ……いや、私はやってないので、もしそれを見た人がいたらそれは本物*1です。
 関わり合いにならないように、見て見ぬふりをしてくださいね。
 

*1:何のかは知らない。