政教分離の原則。

*名前がないと不便なので、彼女の名前は「卒論」とします。
これは、
「大学の後輩であった彼女から卒業論文の執筆について相談を受け、私が色々手伝ったのが、付き合いの始まりである」
という公認の史料に基づくものです。
*1
 
以前も書いたとおり、ゴールデンウィーク、県北にある、高原ユリアヌス教会(偽名)のブライダルフェアに行ってきました。
 
それで、一通り見終えて帰る時。
 
K村「……すごかったね」
卒論「いたれりつくせりだね」
K村「いやー……、これは、本来個人でやる規模のイベントじゃないなあ、と思った」
卒論「ん?」
K村「私さ、今まで、『結婚費用の目安は200〜300万円程度』とかいうの聞いて、いくらなんでもそれは業者が相当足元見てるんだろう、って思ってたんだけど」
卒論「うん」
K村「でも、料理からドレスから、何から何まであれだけ専門職のスタッフをそろえて、準備期間何ヶ月とかでやったら、確かにそれくらいかかってもおかしくないかもね」
卒論「そうだね」
K村「それで、そんなにスタッフを動員する大がかりなイベントって、普通個人で運営するものじゃないな、と」
卒論「ああー。確かに、地方自治体とかのイベントくらいの規模だよね」
K村「あと、中堅クラスの企業とか」
卒論「建物もきれいだったよね」
K村「うん……。某県庁所在地の某結婚式場とは違うなあ、と思った。」
卒論「……あのあれと比べちゃ駄目だと思うよ。あっちも見た目は確かにお城っぽいけど」
 
見た目は西洋風の巨大な館というか城というかなんですが、よく見るとエアコンの室外機とか厨房の排気ダクトとかがばっちり見えている……という、そこはかとなく田舎のテーマパーク風味な結婚式場が、私たちの出身大学近くにあるのです。
 
卒論「あ、そういえば思い出した。出席者のことなんだけど。ほら、学校教育課の職場の人を呼びたい、って言ったじゃない?」
K村「うん、聞いた」
卒論「それで、うちの市の教育委員会だと、教育長も来るんだって」
K村「えー! またずいぶん偉い人が来るんだな。教育長って、そもそも学校教育課じゃないんじゃ?*2そんな暇な稼業なのか教育長って」
 
違います。
……たぶん。
 
いやまあ、みなさんが祝福してくれるのはありがたいことですね。
 
卒論「それと……、うちの市だと、市の職員が結婚する時は、市長と助役も招待するのが慣例なんだって」
 
待て。
 
K村「連中、卒業式だの運動会だのには代理をよこすくせに、職員の結婚式にはのこのこやってくるのか!」*3
卒論「うん……。なんか、慣例みたい」
K村「……それじゃあ、式場に来賓席とか作るのか? 市長が出るセレモニーって、大概そうだと思うけど」
卒論「うーん……」

式次第

  1. 開式の言葉
  2. 来賓挨拶
    1. 真倉市長様
    2. 真倉市助役様
    3. 真倉市教育委員会教育長様
  3. 保護者代表挨拶
  4. 来賓によるテープカット

(以下略)

K村「……それ、実は自治体の行事なんじゃないの? 市で予算くれないかな?」
卒論「……無理だと思うよ」

*1:「公認の史料」というのは、つまり、「事実をもとにしたもっともらしい嘘」ということ。

*2:学校教育課のトップは「学校教育課長」です。教育長は、企業で言えば社長。

*3:全国の市長と助役の名誉のために。
卒業式だの運動会だのは、おおむね地域の各学校で同じ日に行われることが多いので、全部に出席するのはそもそも無理なのです。
そう考えれば、卒業式には出ずに職員の結婚式には出席する、というのも納得できてたまるか。