書道作品展審査。

先日の放課後のこと。
「K村先生、明日は出張だけど準備は大丈夫ですか?」
と、教務主任。
「はい。14時からA小学校で書道作品展の審査ですよね」
 
……という会話をしていたら、隣の席のS先生(産休代替の一年担任)が、
「……明日、生活科の校外学習ですよ?」
 
「……え? 校外学習、お昼に帰ってくるんじゃなかったっけ?」
「違いますよ? 14時に学校着です」
「げ」
 
ちゃんと気付け自分。
 
ばたばたした末、

  1. 校外学習でお弁当を食べることになっている公園まで、朝、車で行く。
  2. 家が近い教務主任が、公園まで迎えに来る。
  3. 教務主任の車に同乗して出勤。
  4. バスで校外学習引率。
  5. 子どもたちと公園でお弁当を食べた後、自分の車に乗って一旦家に帰り、スーツに着替えた後A小学校へ。

という日程に。
 
「引く手あまただねK村先生」
「……ご迷惑おかけします」
 
教務主任といえば校長教頭に次いで学校のNo.3ですから。
たとえ十人ちょっとしか職員がいなくて、前の学校では私が勤めたポストだったりしても要職には違いないですから(私が教務主任を務めた話はいずれ)。
いくら上下関係の意識が薄い学校現場とはいえ、その先生に迎えに来て頂くというのは大変なことですよ。
 
「じゃあ、7:30に待ち合わせね」
「はい」
「しっかり目覚ましかけてね」
「はい」
「まさか早めに来て待ってるよね」
「はい」
 
信用されてません。
 
当日は20分ほど早く行きました。(教務主任は時間通りに来た)
 
バスで公園に着くと、
「はーい、それじゃあみんな降りて下さい」
「あー、先生の車があるー! なんでー!?」
「ここはオレ様の駐車場なんだよ」
 
なんだかんだあって、13:40ごろ、会場であるA小学校に着きました。
他の先生はだれも来ていないようです。
 
すると、私の車を見たA小学校の先生が、あわてて駆けだしてきて、
 
「あ、ご苦労様です! 学校の駐車場狭いので、すぐ校庭開けますから!」
とか言って、急いでベンチをかたづけたりしています。
『校庭で遊んでいる児童の皆さんに連絡します。校庭に車が入ってきますので、気をつけて遊んで下さい……』
……なんて放送が入ったり。
 
ずいぶんあわただしいな、と思いましたが、会場である体育館に案内してもらう途中、
「ご苦労様です。今日はお世話になります」
「お世話になります」
「先生はどちらの学校ですか?」
「鱶沢小です」
「そうですか。今日は14:30からと聞いてますけど、早すぎないですか大丈夫ですか?」
「大丈夫です。……ええ!?」
14:30からなら、14:00学校着でも、大急ぎで準備すればなんとか……(無理かも)。
 
体育館に着いたら着いたで、
「パイプ椅子を出して!12脚! 6年生、長机持ってきて! 今日は音楽発表会の練習はなし!」
「ポットと湯飲み持ってきます!」
大騒ぎ。
 
私は何か悪いことをしたのでしょうか。
 
……そのすぐ後、他の学校の先生も到着し始めて、時間を間違っていたのはA小学校の校長先生であったことが判明しました。
 
やれやれ。
 
……にも関わらず、14:30だと思いこんで到着する先生も一名。
おーい。
 
なんか、A小の校長から連絡が回ったのが原因だったらしいですが。
 
……いや、学校現場って、普段はもう少し時間に厳格なところですよ?
 
ちなみに、書道作品の地区審査がどんな様子か説明しておきましょう。
あくまで、虚実市の場合は、ということですが。
 
小学校低中高学年、中学校1・2・3学年それぞれを、2〜3名の教師が審査します。
小学校の作品は小学校教師、中学校の作品は中学校教師が審査します。
 
私は、今回小学校高学年の担当でした。
中学校は、今回は、1年と2年はそれぞれ2名で審査し、3年の作品は、1・2年の審査が終わった後中学校の先生全員で審査、という形式でした。
 
審査に入る前に、審査基準の説明があります。
と言っても、点数制で採点したりするわけではなく、「点画の接し方」「教科書字体」「のびやかさ」など、わりと抽象的ですが。
 
審査そのものの目的は、「県の審査に出品する作品を選ぶこと」で、その数は全体のおよそ1/3。
「どうしても選びがたい場合は、一点程度多くても構いません」……とのこと。
 
作品を学年別に体育館の床に並べ、二人で相談しながら審査します。
相手がベテランだったり書道に詳しかったりすると、ほとんどその意見で決まります。
今回は、相手が若くて理系の先生だったので、お互い「うーん……どうでしょうね」「どうなんでしょうねえ……」という、実にだらだらした審査に。
 
おおよそ、

  • 点画が正しいか(字は整っていましたが、「天」の下の線が上の線より長い作品があって没に。「書道教室に通っている子なんでしょうね」「書道教室の先生がこう教えたんでしょうねえ……」)
  • はらい、とめ、抜きなどが正しく書けているか

……といったことが基本になり。

  • 紙からはみ出していないか
  • ひどくにじんでいないか
  • ひどくかすれていないか(今回、半紙の折り目で画がとぎれている作品が二つありました。たぶん、字の配置の感覚をつかむために、半紙を四つ折りにして書いたら、折り目でとぎれてしまったのだと思いますが……)

などを見て、没にする作品を選んでいきます。
 
その後、字が整っているか、勢いがあるか、といった、芸術性の審査をするわけです。
なお、学校名や名前の部分もちゃんと審査対象になりますので、丁寧に書くことが大切です。
作品の字に押されて隅に追いやられていたり、作品とは似てもにつかないへなへなした字だったりすると悪印象です。
 
どの先生も、自分の学校の作品を推したい気持ちがあるのですが、それはあまりあからさまには言えません。
 
迷った時、書道に詳しい先生がいると、担当学年を越えて頼りにされたりします。
「『望』の、『月』の第二画って、はねてもいいんでしたっけ?」
とか。
 
実際にはわりと自信のない先生が多いので、「この作品は、〜〜先生が指導したんですよ」とか、毛筆指導で名を知られた先生の名前が出ると、「それじゃあこれがいい作品なんだろう」……みたいに決まってしまうこともあります。
まあ、良い作品がたくさんあって、どれにしようか迷っている時には、ですが。
 
お子さんがいる方は、どうかご参考に。