早期英才教育。

 学校に、大変なゴジラファンの子がいるのです。
 ゴジラ映画は全部見ている、というのは当然ですが。
 
 以前、学校の廊下に、「ゴジラ五十周年」というポスターが貼ってありました(というか、これは新聞社から送られてきた「写真ニュース」というもので、折々のニュースを写真入りで取り上げた、「プロが作った壁新聞」なのです)。
 
 すると、そこに載せられた写真を見ながら、「これは〜〜年に作られた、『ゴジラ対〜〜』に登場するゴジラの着ぐるみですね。 こっちは、〜〜年の、『ゴジラ対〜〜』に登場する人形」
 
 すみません全部ゴジラに見えます。
 
 いや、ゴジラにいろんなバリエーションがあって、マニアなら見分けられるのは知ってましたが、身近な小学生にそれがいるとは。
 
「ねえ、昔から、どれか一つくらいゴジラを見ようかと思ってたんだけど、どれが面白い?」
「(うれしそうに)全部面白いですよ!」
 
 「ミニラ」とかが出てくるやつもか?
 (いや、子ども向けだからかえっていいのか……)
 
「……自衛隊がかっこいいのがいいんだけど」
 趣味丸出しです先生。
 すみません。
 
ゴジラデストロイアとかいいと思いますよ」
 
 ……えー。
 あれ、昔公民館の子ども映画会で見て、受け付けなかった記憶が。
 ついSF好きなので、科学考証のおかしなところにつっこみを入れたくなってしまって。
 
 うーん。

「そうかあ……。 ありがとう」
「お母さんはもっとゴジラに詳しいんですよ」
「……もっと?」
「はい。 だって僕に見せたのお母さんだし」
 
 家庭教育の方針は家によっていろいろですね。
 
 ともあれ、何についても、そこいらの普通のファンよりずっと詳しい小学生はいっぱいいる、という話でした。