1年生の図工を教えています。
少し前、
「夏休みの思い出を表現してみよう」
ということで、粘土を使って、夏休みに体験したことを表現する活動を行いました。
……もちろん、1年生ですから、一目見てなんだかわかる作品は稀。
「……これは何かな?」
「あのねえ、なつやすみに、おとうさんとおかあさんとおばあちゃんとぼくでねえ、すいぞくかんにいってイルカショーをみたの!」
「へえー、たのしかったねえ!」
すると、この鳩サブレのようなものはイルカか。
「じゃあ、せっかくだから、見ている自分も作るといいよ」
「うん」
“自分で見たもの”を作っているせいなのか、自分自身を作品の中に入れない子がよくいます。
「できた!」
「本当だ。上手にできたね。
……ええと、イルカショーでは、何か使ったのかな? 輪っかとか、ボールとか……」
「ボール使ってた!」
「じゃあ、それも……」
あまり作品に口を出しすぎるのも良くないよなあ……と思うのですが……。
などと反省しつつ、しばらくしてまたその子の所に戻ってくると。
……あれ?
粘土板の上に残っているのは「鳩サブレ」だけ。
「……あれ? ……さっき作ったのはどうしたの?」
「ん? ぼくねえ、イルカショーが終わって、もう帰っちゃったの!」
「そ、それは……」
それは、図工というより人形遊びでは。
低学年の図工は、あくまで「造形遊び」。
作品作りが目的ではないのです。
……でも、作品が残らないと困ることもある大人の事情。
コンクールとかな。