手にやさしいクロム合金せっけん。

先日、Amazonで面白そうなものを見つけました。

ジロンカ スメルキラー クラシックセット 【ブルー】 6023

ジロンカ スメルキラー クラシックセット 【ブルー】 6023

スメルキラー
ドイツ生まれの消臭器です。
 
通常の消臭剤と異なり、ステンレス+水の作用によって臭いを分解します。
ステンレスは変質しないので、水をつぎ足すだけで半永久的に使用できて経済的!
 
……うーん。
 
どうも、消臭作用の原理がよくわからんのですが。
 
http://www.coram.co.jp/index01.htmlを見ると、

「ジロンカ・スメルキラー」は、水分と空気に接触することにより触媒作用を引き起こします。
臭いの分子は連鎖的に次々と分解され、臭いを持たない原子の状態になるのです。

とあるんですが、水と空気でいったいどんな触媒反応が起きるというのか。
冷蔵庫に置いても効くというのが本当なら、光触媒反応とかでもないようだし。
 
どうも、化学的な原理が謎めいています。
 
しかし、Amazonのコメントを見る限り、好意的なコメントが多いよう。
 
うーん。
 
そこで、買って来て実験してみることにしました。
 
えーと、手を洗う時、水道の蛇口から出る水に手を入れながら、これで20〜30秒ほど手をこするとにおいが消える、と。
要するに、普通のせっけんのように使うわけですね。
 
半信半疑(いや、1/7信6/7疑くらい)で試してみます。
 
刻んだタマネギを手でぐにぐにと握って臭いを付けた後、水道水の流れに手を入れてごしごしと……
 
するとなんと!
 
手の臭いが嘘のようにクリアに!
タマネギの臭いはもとより、「手の臭い」さえ感じない状態になりました!
 
対照実験として「流水だけで30秒手洗い」も試したんですが、それだとタマネギの臭いは消えませんでした。*1
 
すごい!
 
店頭で見かけた方はぜひ!

……いや、なんか形が違いますか?
 
実はこれ、100円ショップで発見しまして。
 
「100円なら惜しくないかなー」
みたいな気分で買ってみたのですよ。
(全く反省がない)
 
だって、三千いくらもする商品、「ためしに使ってみよう」ってわけにいかないですよう。
 
ただまあ、こっちの製品は、「手の臭いを消す」ということだけを謳っていて、スメルキラーみたいに部屋の消臭とかは書いてないんですが。
 
スメルキラーは、半分水に浸しておけば部屋を消臭してくれるんだそうです。*2
表面に小さな溝がたくさんついていて、表面積をアップさせているんだとか。 
 
あれですかね、毛細管現象で水を吸い上げて、水&空気に接触する面積を増大させているわけでしょうか。
 
じゃあ、これでもOK?
 
キッチンペーパーでくるんでみました。

 
謎のオブジェクト。
 
いや、これだと、空気と接触できないから、目の粗いガーゼか何かを使った方がいいのかな。
 
こんなのとか。

さらに謎……というか、なんか、「他人の家で見かけた時に事情を聞いてはいけないモノ」指数が増大した気がします。
 
そもそも、スメルキラーは「高品度ステンレス」なんだそうですが、ステンレスとして高品度であることと、消臭作用との間に何か関連性があるんでしょうか。
 
さらに実験。
 
高品度ステンレススプーン。

 
流水の中で、手をスプーンでごしごし……
 
結果:スプーンで手を洗うと痛い。
 
ていうか、素手で食器洗いをしているのと同じですが。
 
でも……。
なんか、やっぱり手の臭いが消えたような気が……。
 
スメルキラーの商品シリーズの中に、「ジロポップ」という、口にくわえて口臭を消すのがあるんですけど。
それじゃあ、ステンレスのスプーンくわえて口をゆすいでも効果があるんじゃないかしら。
 
欧州では、生まれてきた子どもが食べ物に困らないように、銀のスプーンをくわえさせる風習があるそうですが、なんかそれを思い出しますね。
銀だと殺菌効果があるのかな?
 
謎オブジェクトによる部屋の消臭の方は、正直、効果があるようなないような、ですが。
 
ただ、ちょっと検索すると、この製品の原理に疑問を持っている人は他にもいて。
 
http://gggzzz.cool.ne.jp/zakkisou/mukasizakkisou/0211zakkisou.html
では、

021104
ステンレスは触媒になっていないような気がする。それではどうして脱臭が出来るのか。水に臭いが溶け込むだけであろう。
 
021116
詳細に読んでみると脱臭の仕組みのヒントがあった。ステンレス合金の表面には加工の際に出来る細かい筋がある。これによってステンレスの表面積がかなり増えている。水に濡れたステンレス合金の表面がうっすら濡れていれば水の表面積もそれに伴って増えているので臭いの分子が溶けやすくなる。これではないだろうか。そうだとすればもっと表面積を増やすような構造の方がいいかもしれない。ただしいくら表面積が増えても水をはじくようではだめである。水に濡れやすい材質を使わないと効果がない。このステンレス合金は水に濡れ易いのだろうか。

とか書いています。(以上抜粋)
要するに、
「触媒反応どうこうというのは間違いで、単に水に臭いがとけ込んでるだけじゃないのか」
と。
 
だったら、洗濯物を室内干ししとくほうが表面積が大きくて効果的なような気が。
 
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/todays_goods/14881.html

しかしステンレスで真っ先に想像するのが台所である。ステンレスでできてませんかアレらは、みたいな。もっとも水に触れる部分なのであそこ一体がすべてこのドイツ製ステンレスになったらどうなるんだろう? そうだトイレのタンク! あそこにも常に水が。あれも全部ステンレスにしたら自動的にトイレは消臭されつづけるのではないか? など考えてしまって仕方ないんですがどうなんでしょうか。

 
……確かに。
 
しかし、ステンレスの流しで消臭効果があるとしたら、キッチンに謎オブジェクトを置いた意味がそもそもない気が。
 
でも、ここまで書いてきてなんなんですが、私が実験に使った100円ステンレスって、むしろこっちに近い気がします。
 
http://sampleshop.jp/stainlesssoap/
見た目は、100円ショップで買ったのとほとんど同じものですね。
違うのは、ロゴが入っているかどうかと、こっちは値段が315円(税込・送料別)ということくらい。
 
まあ、
「ステンレスが持つ消臭メカニズムで、いやなニオイを根っこから分解し、消臭します」
ということで、原理は似たようなもの……

魚の生臭さやニンニク臭さ、ネギ臭さなど、
手にくっついているニオイの分子はマイナスの電子を持っています。
 ↓
一方、ステンレスソープは水をかけると全体に微弱なプラスの電気を帯びてきます。
そのプラスの電気が手のニオイ分子を吸いとり、分解します。
 ↓
分解されたニオイ分子はそのまま水で流され、ニオイが根っこから消えていきます。

……いや、なんか、全然違うんですが。
 
ていうか、消臭はともかく胡散臭さが消えないのはどうよ。
 
ともあれ、実験した範囲では一定の効果があるような気がします。
興味のある方はお試しあれ。
 
いろいろと。
 

 
……手術室ぽい。*3

*1:ちなみに、対照実験の方を後でやったので、「実験群では鼻がタマネギの臭いに慣れてしまって感じなかっただけ」という可能性はないと思います。

*2:その他、小さい水タンクがついていて車内に置くタイプとか、ゴミ箱の中にぶらさげるのとかお風呂で使うのとか靴の中に入れるのとかペット用ブラシとか脇の下をこするのとか、用途に応じていろんなタイプがあります。

*3:ちなみに、下のオーブントースター用の皿も100円。