家庭の医学。

一応、食事中の方は読まないように。
 
さて。
 
寄生虫卵検査、というのが毎年あります。
 
ご存じの方も多いでしょうが、「セロファンテープ2回法」という方式で、専用の採卵紙を肛門の周囲に押し当ててはがし、ぎょう虫の卵が産み付けられていないか検査します。
採卵は2日間行います。
子どもでは適切に行えない場合もありますので、保護者の方が行って下さるようお願いします。
 
……これがくせ者でね。
 
必ず忘れる子がいます。
尿検査とかも一緒ですが。
 
「今日はぎょう虫検査の一日目です! 今朝、ちゃんと検査した人!」
「はーい!」「はーい!」
……と元気な返事が返ってくる中、青い顔をしている子もちらほら。
 
「どうした?」
「……つくえの中にわすれて帰りました」
「おろかものー。今日しっかり持って帰って、必ずお家の人に渡しなさい。手に『ぎょう虫けんさ』って書け。ほら、マジック貸してあげるから。 そっちは?」*1
「あ、あの、やってって言ったんですけど、お母さんが朝いそがしくてできなくて……」
 
ありそうな話でもありますが、実は本人が忘れただけで適当なことを言っている可能性もあります。
 
「忙しくてもやるようによくお願いしなさい」
「はい……」
「今朝忘れた人は、明日の朝と、あさっての朝検査して、あさって出せばいい、と、保健室の先生が言ってくれました。保健室の先生に会ったらお礼とごめんなさいを言うように」
 
こんなこともあろうかと。予備日を設けるのは基本です。
忘れたら学校のトイレで採取する、とかいうことが可能ならいいんですが、動き回ると卵が体から落ちてしまうこともあるので、採卵は、朝、ふとんから出る前に行う必要があるのです。
 
そして翌日。
「はい、ぎょう虫検査の紙、集めますよー」
「はーい!」
「……っておい、お前さん、昨日は検査するの忘れたんだろうが」
「あ、あの、お母さんが、いいから今日二回やっちゃえって言うから……」
「……二日分のセロハン、今日一日で使ったのか」
「は、はい……」
「私、昨日、忘れた人は今日と明日の二日間やれって言ったよな? お家の人にそう言ったか?」
「あの、言ったんですけど、いいからやっちゃえって……」
 
おろかものー。
 
しかもそんな人が二割近くもいるというアンビリーバブルな状況。
助けて。*2

*1:手に字を書かせるのって、場合によっては苦情を言う保護者もいるんですが、うちのクラスではそういう苦情はありません。
だって、担任の手にも字が書いてあるから。

*2:ぎょう虫は、一回に一万個近い卵を産むため、適切に検査を行えば発見は容易です。しかし、毎日卵を産むとは限らず、一日だけの検査では発見できない可能性があります。二日にわたって検査を行うのはそのためです。