デカルコマニー。

ある日、教室で消しゴムの落とし物を見つけました。
名前は書いてありません。
 
私「この消しゴムは誰のかな?」
A「Bちゃんの!」
私「Bさん、そうなのかな?」
B「違ーう」
A「でもBちゃん、そういうけしゴムもってたよ」
私「Bさん、そうなのかな?」
B「はい」
私「今も持ってますか?」
B「なくしました」
 
おい。
 
私「……名前は書いてあったかな?」
B「ありません」
 
……。
 
私「……じゃあ、これがそれだと思うな。名前を書いて、大事にしまっておいてください」
B「はい」
 
さらに数日後。
 
今度は、体育館を掃除していた上級生が、シャツの落とし物を持ってきました。
シャツに名前は書いてありませんが、その直前に体育館を使っていたのは一年生でした。
 
私「みんなー、このシャツが誰のかわかるかな?」
C「わかりませーん」
D「ぼくじゃなーい」
 
ああそうだろうとも。
 
私「じゃあねえ、『これと同じものを持っていたけどなくしてしまった』という人はいるかな?」
 
E「はーい」
F「はーい」
 
二人もいやがった!
 
私「……えーとね。胸にこういうマークがついているんだけど、二人がなくしたのはそういうシャツなのかな?」
E「はい」
F「そうです!」
 
まあ、既製服ですから、あり得ない話ではありませんが……。
 
私「じゃあね、背中に、こういう形の墨の染みがついているんだけど、どちらか見覚えはあるかな?」
E「あります!」
F「それです!」
 
それはあり得ないだろ。
 
私「……君らは何かね、背中合わせで模様のつけっこでもしたのか。」
E「そうです!」
 
そんなばかなー。
 
仕方がないので上級生に先に回したのですが、2〜6年生に該当はなく、結局また1年生に戻ってきてしまいました。
 
なんというか……。
目で見て自分のものかどうか判断できないんですね。一年生は。