甘い生活。

 さあさあ、たまにはのろけますよー。
 卒論ちゃん(最愛の妻)と、今年のバレンタインとホワイトデーの話ですよー。
 

卒「ダーリーン、バレンタインチョコだにゃ!」
私「ひゃっほう! ありがとうにゃー!」
卒「じゃあ、一緒に食べるからお茶入れてにゃー」
 
*我が家では、プレゼントのお菓子は一緒に食べる習慣です。
 

卒「でもさー、バレンタインってずるいと思うんだよねー。
 おいしそうなチョコがいっぱい売ってるのに、もらうのは男の人で、男の人は
 『甘いもの好きじゃない』
 とか言ったりするじゃない?」
私「んー、私は甘いもの好きだし、そもそも一緒に食べてるし、逆に『おいしそうなチョコが売ってるのに自分で買うと変な目で見られる!』とか言ってる男の人もいる気がするけど……」
 

私「そうだ! だったら、ホワイトデーには、私が卒論ちゃんにロイズのチョコレートをあげますにゃ!」
卒「わーい! じゃあね、私、ロイズのポテトクランチが食べてみたい!」
 

私「ポテチクランチチョコレート、一箱778円か……。
 送料は重量にかかわらず700円ってことは、これだけだともったいないな……」
卒「あのねあのね! じゃあ、このバートショコラもおいしそうかなーって!」
私「ふむ……。じゃあ私も、食べたい生チョコとか一緒に頼むか……」
 
そしてホワイトデー。
 

私「卒論ちゃーん、ご所望のポテトクランチチョコ、届きましたにゃー」
卒「なんだこの状況……!」
 
 まあ……その……、ちまちま食べようと思います。2人で。
 

メイ、リスがいーい!

 ある日、体育主任に呼び止められました。
 

体育主任「あ、K村先生。あのさ、各学年のボール置いてある棚あるでしょ?」
K村「はい、サッカーボールとバレーボールが1個ずつ入ってるやつですよね」
 

主「それがさー、この前、体育委員会の子どもらにチェックさせたら、1年の棚、ボール4個も入ってたんだけど」
K「ええー?」
主「体育の時とかに、体育倉庫から持ち出して、学年の棚に入れちゃったんじゃないの?」
K「そんなめんどくさいことした覚えは全くないんですが……」
主「とにかく、戻しておいてくんないかな」
K「どこへ戻したらいいんだ……」
 
と、そこへ、2年担任のY先生が。

Y「あっ、K村先生。あのね、2年生が、2年生のボールがないって騒いでるんだけど、知らない?」
K「あっ! 謎は全て解けた!」
 
 たぶんこういうことです。

 

K「……というわけでですね、1年生は、使ったボールをちゃんと棚におかたづけすることができるのですよ」
主「……拾ったもの持ち帰ってためこむとか、小動物みたいだな……」
 
 ……ボールにマジックで学年を書いとけ、という話ではあります。

Kindle読み放題お勧めその2

 kindle unlimitedからマンガばっかり紹介。マンガじゃないのも読んではいるけど、あまりお勧めできるのがなかった……。
(むしろ私が勧めて欲しい)
 

「インコンニウスの城砦」。
 
 日常SF(なのか?)「ベントラーベントラー」を書いた人。あれも大好きです。
 
 本作は、建造中の大型兵器の工場に、スパイとして送り込まれた少年、カロの物語です。
 わりとのんびりした話だった「ベントラー」と違い、2つの陣営が生存を賭けた(そして絶望的な)戦争を果てしなく続ける世界は、基本的に過酷です。
 

(進行中の氷期って……勝っても負けても先が見えてやしませんか……?)
 
 しかしその中でも、信頼、同情、復讐心といった人間の感情が失われたわけではなく。
 任務の非情さと、その生活の中に挟まれる人間的な感情の描き方が印象的です。

 
 また、舞台となる惑星は、いわゆる「ファンタジー世界」の年代が進んだような世界で。
 魔法が実在し、それを応用した兵器が登場する一方で、スチームパンクっぽい科学技術も。

 「北球」と「南球」それぞれは、純粋に生存のために争う関係なのですが、魔術を重視する南側と、科学重視の北側でイデオロギー的な相違もあるっぽいことがほのめかされるなど、背景の深みがあるのもとても良いです。
 
たわら猫とまちがい人生 (1)

たわら猫とまちがい人生 (1)

「たわら猫とまちがい人生」
 
 コミカル日常系まんが。
 アパートで一人暮らしの「ことり」のところに、デブ猫「たわら」が住み着いてしまう。
 大食らいでトラブルばかり引き起こすたわらだが……といった感じの。
 
 最初の頃は、ほんとにたわらがことりの食事を食い荒らす話ばかりだったりするのですが、徐々に登場人物が増えて物語が転がり始めると、たわら猫もいいキャラになり、周囲の人々の人情話も絡めつつ、最終刊(7巻)では大団円になだれこみます。

 食事を奪われる話は最初は激しかった(エピソードの中心だった)けど、後半はほとんどなかった感。
 

 むしろイイ話になってるー!?
 
 登場人物も、てっきり一話こっきりのゲスト登場人物かと思ったら準レギュラー化したりして、一人一人が丁寧に扱われてる感じがして好印象です。
 CMOとか、まさかあんなイイキャラになるとは……。
 
 それにしても、全話カラーってすごい……。
 
ミカるんX 1巻

ミカるんX 1巻

「ミカるんX」
 
「X」の読みは「クロス」。
 
 言っちゃなんだけどすんげー頭わるいまんが。
 
 いや、作者の頭が悪いのではなく、読者の知的水準をすごく低く見積もってるという意味で。
 
 内容としては、お嬢様学校に通う、エキセントリック優等生の「ミカ」と、わりと常識人の「るんな」が、謎の原因で合体・巨大化し、地球に次々襲来する宇宙怪獣とバトルを繰り広げる、という話。

 ここでしゃべってるのがミカ。それにしてもなんだこの使いづらそうな校舎は。
 

 対怪獣の露払いになる「市営軍」。ミカとるんなを無理矢理入隊させて引っ張り出したり色々とですね。
 

 「合大!」
 

 そんでまあこんな感じですよ。
 
 アクション要素があってお色気(というかエロっぽい)要素があって思わせぶりな伏線があってエロスがあってアクションとエロスがある。
 
 基本展開は、
「怪獣を倒す→新しい怪獣が現れる→今までの攻撃が通用しない→ピンチ→今までの2人を超える超必殺技、新合体フォームで怪獣を倒す→最初に戻る」
 を延々とやる感じ。
 
 でも、ちゃんとギャグには勢いがあり燃える展開があり、張られた伏線は一応回収されて、広げるだけ広げた風呂敷をきちんと最後に畳んでるのがすごい! と思いました。
 だから作者は全然頭悪くないのですよ。
 「いやその設定絶対後付けだろ」
 って思う時も多いのですけど。
 
 ただ、コメディタッチではあるものの、巻き込まれた民間人は(直接的な描写はほとんどないものの)バタバタと死に、物語の序盤でオーストラリアが大陸ごと吹っ飛んだりするのでまあ、そのへんは念頭に。
 
東京爆発娘 2巻

東京爆発娘 2巻

「東京爆発娘」
 
 1998年といいますから……20年近くまえのマンガということになりますか。
 
 しかし、表紙に比べると中の絵はそれほど古い感じはなかった。
 
 内容としては……もっと頭が悪いかも知れないけど。
 
 女子高生、アキラが、ふとしたことから世界中のゲリラ・テロリストに命を狙われるようになり、内閣調査室から派遣されたお姉さん(学級担任として着任するというお約束の展開)や、公安調査庁のおじさん達とともに町中でテロリストと戦うお話。
 アキラ自身も護身のイロハを父親からたたき込まれていて、銃器の扱いは手慣れたもの……という。
 
 で、まあ、その銃をぶっ放したり手榴弾をばらまいたりするのが、住宅地になったり夏祭りになったり南の島のビーチになったりするわけです、毎回。

 だいたい毎回こんな感じ。
 
 敵になるのは中東のゲリラだったり、ソ連崩壊で職を失ったKGBだったり、元MI6だったりですね。
 最終巻(2巻)終盤になると、なんか不死身のサイボーグだったり下水ワニだったりと、急にリアリティが下がったりするのですけど。
 
 ただ、この作品で印象深かったのは、主人公がテロリストから命を狙われる理由です。 
 主人公の父親は、対テロ作戦のエキスパートで、いくつものテロ組織を敵に回しており、それで家族も狙われる……という。

 …………在外邦人保護のため、対テロ特命コマンドを派遣するのがマスコミに野党にも国民にも極秘であり、それが露見すれば「海外派兵」として「内閣のひとつやふたつ吹っ飛ぶ」という……。
 
 平和主義国家・日本には、このような時代があったのです。
 
 最近の、
自衛隊が海外で戦闘をしたけど、憲法上戦闘行為はできないことになってるから“武力衝突”と呼ぶよ」
 なんて状況を見ていると、いつの間に我々はここまで来てしまった(連れてこられてしまった)のか……という感があります。
 そして、我々はどこまで行って(連れて行かれて)しまうのか。
 BLOOD ALONE
 
 小説家(とはいうけど、なんか危ない仕事も引き受けていたり)の青年、クロエと、吸血鬼の少女ミサキの物語。
 
 今3巻を読んでるところですが、まあ、「ダークファンタジー」とかいうにはそこまで暗い話ではないかな、と。
 ミサキがクロエにバレンタインチョコを作ったり帰りが遅いのを心配したりのほのぼの日常生活に、他の吸血鬼が命を狙いに来たりあれこれ。
 
 ただどうも、商業連載が10巻で打ち切りになって、11巻以降は自費出版らしくてですね。
 今後が心配ではあるのですが、今のところ面白いので応援したいと思います。
 

余談:読み放題でないもの。

 
 ほんとはもう一つ……メインで紹介したいコミックがあって。
ケネディ騎士団」。

ケネディ騎士団 (1) (マンガショップシリーズ (37))

ケネディ騎士団 (1) (マンガショップシリーズ (37))

 
 他所の記事(http://wild7.jp/2875)で紹介されてるのを読んで、ずっと気になってたのが、読み放題対象になってるのを見て読んで、すっかり引き込まれた作品です。
 
 何しろ1966年連載開始とかなので、絵が古いのは見ての通りなのですが……。
 
 これが面白い。
 
 もちろん、昔の少年漫画ですから、設定としては無理があります。
 
 ケネディ大統領の遺志で作られた騎士団……秘密部隊が子どもばかりだとかあり得ないわけですよ。
 
 登場する秘密兵器も、
「いやいやそれは科学的に無理だろ」
「そんなもん作るならもっとコスト対効果のいい方法があるだろ」
 的なものが多数。
 

 どんな原理なんだ……。
 
 しかし、そういった「物語上の嘘」は多数ある上で、その道具立ての上で、登場人物達が時に勇敢に、時に知略の限りを尽くして戦う展開がとても燃えるのです。
 単に力押しでなんとかするのではなく、いかにして相手の裏をかくか、思いがけぬ危機を乗り切るか、という試行錯誤。
 そして、もはやどうにもならなくなった時の自己犠牲……。
 
 本作では、ゲストキャラとして登場した味方が死ぬ展開は珍しくありません。
 しかし、その多くは個性的に、印象的に描かれています。
 
 そしてまた、騎士団の任務が……。
 いわゆる「世界征服を企む悪の秘密結社」が敵であることもあるのですが。
 
 しかし、最初の任務は、ソ連(……らしき架空国家)が、隣国に大量の兵器を提供しようとしている! これが実施されれば地域のパワーバランスが崩れ、戦争が勃発してしまう! 兵器を輸送する列車を破壊せよ! ……という。
 いやいやいや、それって……それって政治じゃないですか!
 
 で、ゲストキャラクターとして現地の少年隊員が登場するのですが、
「この任務は祖国に対する裏切りだ」
 とか言って協力を拒否。
 
 彼の父親は、独ソ戦で命を落としており、彼は父親に屈折した思いを抱いていたのです……というあたり、終盤の展開がほんとにもう。
 
 いや、荒唐無稽なショッカーみたいな連中が敵の回もあるんですけど。
 
 あと、現代の視点から見ると、アフリカ人の描き方が差別的かも知れない。
 大体、「野蛮人」か「白人に搾取される無知・無学な大衆」として描かれているので。

 
 でも……「アフリカの星」の回はすごくいいですよ……。
 
「待って待って、これって、反政府ゲリラの育成だよね? それも日本の少年が?」
 という話でもあるのですけど。 
 
 ………………………………と、この記事を書く時は、この作品と「ミカるんX」を対比させて紹介しようと思ったのですけど……。
 
 なんか、先日確認したら、本作のKindle版が存在しなくなっているのです……。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00VJZ6X6U/ref=kinw_myk_ro_title(404になってる)
 
 読み放題の対象でなくなったばかりか、データそのものがない。
 
 いや、私のライブラリにはいまだに存在しているし、さっき再ダウンロードを試みたらちゃんとできたので、データとしても存在しているようなのですが……。

 
 そういえば、「ゆるゆり」が読み放題対象から外れてしまったりしましたし。
 
 こう……読み放題の対象って、Amazon様の気持ち一つでコロコロ変わってしまうらしいので。
 気になる作品があったら後回しにせず、どんどん読んでいかないといかんのかな、と思います。
 

きくまこ氏を擁護する・その3「菊池氏は欅坂46擁護でもナチシンパでもない」編

 菊池誠氏へのおかしな批判に勝手に反論していくシリーズ、第3回。
 
 予定では「ナチス編」でしたが、若干変更して「欅坂46およびナチス」。
 一応最終回の予定です。
 
ナチス支持と欅坂46(の衣装問題)では、全然問題のレイヤが違うだろ!」
 というご指摘は当然あろうと思うのですけど。
 
 しかしそもそも、菊池氏=ナチシンパ説の直接の「証拠」が、欅坂46の話しかないっぽいので……。
(直接でない「証拠」の例については記事後半で触れたいと思います)
 
 欅坂46の衣装については、ググると山ほど画像が出てきますのでご存じない方はそちらを。
 
Google画像検索:ナチス+欅坂46
 

*画像はイメージです。
(肝心の菊池氏があんまり似なかったですね……)
 

批判の例。

 
 id:D_Amon氏のブログ「模型とかキャラ弁とか歴史とか」より、
疑似科学は人を殺す」を「全ての疑似科学は人を殺す」と読むのは頭が悪いよねhttp://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20170112/p1
 
 氏は、菊池氏が
「反原発運動は内部のニセ科学を排除すべき」
 と主張することを批判した上で、

こういう人が欅坂46ナチス風衣装の件ではナチスニセ科学を批判するようにとの求めに応じるどころか、なぜか欅坂46ナチス風衣装の「擁護」に熱心だったわけだが、本人及び周囲の反応は「動員」の断り方において学ぶべきことが多かったと思う。

キクマコ先生が2016年11月3日夕刻時点から「ナチス肯定」擁護に荒ぶっておられたことは明らかである。

 等々と述べています。
 
欅坂46ナチス風衣装の「擁護」に熱心”
 とかいうとすごいファンみたいですね。
 
 ……さて、ここで、
欅坂46の衣装と“ナチスニセ科学”って関係あんの?」
 と思った方がいるかも知れません。
 
 ……ええ、私もそう思います。
 

実際のとこどうなのか。

 
 菊池氏の、欅坂46ナチス「風」衣装に対する立場は以下のようにまとめられると思います。
 
欅坂46の衣装は誰かが止めるべきだっただろう。(自分なら止めた)
・一方で、明らかなナチのシンボル(例:鉤十字)はなく、「似ている」だけなのには注意が必要。
ナチスに「似ている」ものは許さない、というのは、基準を明確にしないと、「似ている」の範囲が無制限に拡大する可能性があって危険ではないか。
・批判し、謝罪を求めるにしても、きちんと反省させるには、国内の欅坂46ファンを中心に声が上がることが望ましい。
・安易に「外圧」を利用して謝罪させたのでは、「こわい人に怒られたからあやまる」以上のものにならず、何が問題なのか理解されないおそれがある。
 
 表現規制との兼ね合い、みたいな話なのかな、と思います。
(どうでもいいですが、私個人は、「あの衣装は確実にダメだろう」という感覚が菊池氏より強いです)
 
 加えて、ナチスについて。
 
・自分はナチス擁護に批判的である。
・「ナチスに寛容」と言われるなら侮辱として抗議する。
 
 
 で、関連ツイートについてですが、私が引用するまでもなくだいたいまとめてる人がいました。
欅坂46ナチス似の衣装の件は、SWCにご注進した人が一番おろか」https://togetter.com/li/1048018
 批判的な立場でのまとめらしいのですが、まとめられたツイートを実際に読むと、上記のような主張に読み取れると思います。
 
 しかしまあ一応引用。
 





 
ナチス擁護に行くのはめちゃくちゃ」って言ってますよね?
 

 
 で、たぶん一番有名なのがこのツイート。
 
 
 この記事を書いてる段階で、このツイートだけブクマが128もついている……。
 
 まあ、SWCの情報収集活動を思うと、日本側からの「ご注進」が仮にあったとしても、SWCはそれ以前から本件に気づいていただろうとは思います。
 抗議以前から海外で報道があったと聞きますし。
 
 しかし、それはさておき、この発言に左派……とりわけ反・歴史修正主義クラスタが激昂してしまうのも故なきことではありません。
 
 ご存じの方も多いことでしょうが、ネット右翼勢の中には、
南京大虐殺or従軍慰安婦or靖国神社問題)は、朝日新聞or日本共産党or日本社会党が告げ口したことによって外交問題化したのだ! 奴らは反日だ!」
 という都市伝説が存在します。
 
 これらは事実ではないし、そもそも「外交問題にならなきゃ何してもいいの? 自国のことを自発的にどうにかしようとは思わないの?」という話でもあり、そういう言説がいまだに根強いことについて、左派は(私を含め)強いいらだちと憤りを感じています。
 
 で、菊池氏の発言は、
「自国のことだから外圧に頼らずなんとかすべき」
 という趣旨だったわけですが……それが、ネット右翼
「朝日がいなきゃバレなかった。バレなきゃ許された」
 系発言を強く連想させるものだったために、強い反発を招いたのだと思います。
 
 ……「見た感じが似てる」という以上のものではないんですけどね。
 
 ただまあ、こういう
「単体で切り出した時にダメな意味に見えるツイートをする」
 というのが菊池氏の迂闊なところであり、敵を増やす要因なんだろうなあ、とは思います。
 
 だからと言って、1ツイートだけ取り上げて
原発カルトだ! 靖国カルトだ! ナチシンパだ!」
 って言うのがまともな批判か、というと、全然そうではないのですけれど。
 
 あと、なんか件のツイートに「“ご注進”したのは共産党の誰やららしい」というリプライ(デマっぽい)がついて、それに菊池氏が「奴は党首の器ではないですね」とか返答したのも左派の怒りを招いたっぽい。
 
 迂闊だなあ、とは思いますが、「デマをもとに共産党批判とは許せん!」というのはナチとは離れるのでそれは措きます。
 

再稼働に賛成する奴はナチ。

 
欅坂46を擁護しているから菊池誠ナチスシンパ」
 というのが直接的な「証拠」の例だったわけですが。
 
 では、直接的「でない」例にはどんなのがあるかというと。
 
 以前の記事でも引用しましたが、D_Amon氏はこう述べます。
「当然〜するよね」という皮肉http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20161119/p2

 似非科学(疑似科学)批判派の中にある特徴をもった人々がいる。
 
 専門知の範囲外では基本的に権力寄りの判断をする人々というか、ある種のポジショントークをしていることが露骨に感じられる人々のことで、確実ではないものの分かりやすい特徴を言えば、原発の再稼働を求める人々であることが挙げられると思う。
(略)
 仮にであるが、私がそういう人々に「ニセ科学が人を殺すとか言って他者を動かそうとしている以上、そういう貴方は人を殺した似非科学であるところのナチス優生学を当然批判するよね」と言う場合、そういう人々がナチス優生学を批判するとも思っていないし、そういう人々をナチス批判に動員しようとしているわけでもない。
 
 そういう人々がナチス優生学を批判したがらないだろうことを前提として、似非科学批判や「〜が人を殺す」的に一貫性を欠くことを皮肉っているのである。

 と書いています。
 
疑似科学批判&再稼働容認の人は、ナチに親和的な可能性が高い」と。
 
 ……なんでだかわかります?
 
 私はわかりません。
 私は、D_Amon氏のようには頭が良くないので。
 
 でも、SWCだって、疑似科学批判&原発再稼働論者であることを理由に「潜在的なナチシンパ」として容疑者リストに入れたりしないと思うんですけど。
 
 そもそも、D_Amon氏のこの発言自体が明白な差別だと思うのですが、まあそれは本題とそれるので後に回します。
(記事を分けました。http://d.hatena.ne.jp/filinion/20170128

 
 いずれにしても、
疑似科学批判で再稼働容認だから」
 なんてのがまともな根拠となり得ないことは明らかでしょう。
 

歴史修正主義を「ニセ科学」扱いしないからナチ。

 
 さっきの話、そもそものツイートはこれです。



で、まあ、ここからの瀬川氏のツイートがまとめられているわけですが。
瀬川深さんによる「トンデモと歴史修正主義の合わせ技」としてのナチス擁護とニセ科学批判。https://togetter.com/li/1045411
 
 ナチス擁護は疑似科学で、欅坂46がナチっぽい衣装を着て問題になったので、疑似科学批判者は何か言えと。
 
 ……どうなんでしょう。
 
「なるほど、欅坂46の衣装と疑似科学批判は関係があるな」
 って思いました?
 
 ナチス擁護論者が疑似科学的な主張をする例としては、ホロコースト否定論者の
 
アウシュビッツでは死体焼却施設とガス室が併設されていたとされるが、ガス室で使われたとされる殺虫剤、ツィクロンBはシアン化水素……可燃性であり、そんな構造の施設では引火して爆発してしまう。
 作業にあたる兵士がタバコを吸っていた、という証言もあるが、捏造であることは明らかだ」
 
 ……といったものが有名だと思います。
(「引火する濃度と人が死ぬ濃度は違います」が回答なわけですが)
 
 ただ、それをもって
ナチス擁護というのは疑似科学そのもの」
 っていうのは……違うんじゃないですかね?
 
 例えば、ホロコースト否定論者の主な主張である
「収容所の目的は殺人ではなく強制労働だった」
 とか、
「民族の絶滅を指示する命令書は存在しない」
 といった話は、自然科学分野とはほとんど無関係のものです。
 まして、「ナチス擁護」にまで話を広げるとなると。
 
 歴史修正主義が、その一部に疑似科学的な主張を含むからと言って、EMだのホメオパシーだのといった疑似自然科学と同列にするのは無理があると思います。

 瀬川氏曰く、
 いやはや。
 
 どうして「ナチス擁護は疑似科学だ」って言って欲しいんでしょうね?
(……と思っていたのですが、D_Amon氏によれば、疑似科学だと言って欲しいわけでは「ない」のだ、と。http://d.hatena.ne.jp/filinion/20170128
 
 ……余談ながら、最後の瀬川氏の
放射脳?ハァそれは周辺問題でござんすネ」
 という言い回しもなんとも。
 
 どうしてこう……こういう人って、反原発運動内の疑似科学を批判したがらないんでしょう?
 
 前回の記事で、私は
「自然科学は専門外であるにしても、菊池氏が疑似科学と戦っていることに敬意くらい表してもよいのでは」
 と述べました。
 
 これに対して、D_Amon氏のアンサーは
「デマと差別には理念的には危機感を持つが、それを排除できないことには運動論的には危機感を持たない。在特会を見ればこの社会はデマと差別にまみれた運動が潰れる社会ではないことがわかる」(前掲の「頭が悪いよね」より)
 
 放射能デマや福島差別を排除できなくても、反原発運動が潰れるおそれはないから運動論的には大丈夫、と。
 在特会と同様に(!)
 
 ……そりゃまあ、菊池氏と(というか、疑似科学批判クラスタ全体と)仲良くできないわけですわなあ……。
 
 ともあれ、
疑似科学批判者は歴史修正主義も批判せよ!」
 という主張自体は別に最近のものではなく。
 これが2014年のツイートですから。
 
 そういう要求が、見た限り常に反・歴史修正主義の方から出るのは興味深いと思います。
 
 疑似科学批判クラスタ内で
「お前もがんもどき理論を批判しろ!」
「なぜナノ純銀を批判しないのだ! 貴様もビリーバーなのか!」
 といった「言及しない批判」があるという話は寡聞にして知らないのですが。
 

ソ連を批判する奴はナチ。

 
 何が何だか。


 注意しておきたいのですが、当初の発言は
 
瀬川氏「ナチス擁護をニセ科学として批判しているのか」
菊池氏「ナチス擁護はニセ科学そのものではない。その周辺問題である」
 
 だったのが、ここでは
「菊池氏はナチスニセ科学周辺問題扱いした」
 に話がすり替わっています。
 
 菊池氏を批判する人の特徴として、問題の切り分けが苦手、ということが挙げられるかなあ、と思います。
原発再稼働とナチ、なんてその極致ですが)
 
 これまで書いてきた記事への反応でも、
「菊池氏は原発カルトではないよね? むしろ反原発だよね?」
 と言うと、
「いやでも、沖縄の悪口を言ってるし……」
 
「菊池氏は靖国カルトでもないよね? むしろ批判してるよね?」
「いやでも、韓国の悪口を言ってるし……」
 
 切り分けましょうよ……。
 是々非々でいきましょうよ。
(それでまあ、沖縄とか韓国とか福島自主避難者のことを本当に悪く言っているか? というのも検証が必要ではあります。個別のツイートだけ切り出すとそう見えるのもあるんですが)
 
「100%の味方でなければ敵」
 という発想って、
捕鯨に反対したから反日
「旧日本軍を批判したから反日
 で脳内“反日国家”を世界に増やしていったネトウヨさんと何が違うんですか?
 
 さて、ナチス擁護が疑似科学であるか、というと、前述の通り
「そういう部分もあるが全体としては歴史修正主義分野に属する」
 という話になるでしょう。
 
 そして唐突に出てきたルイセンコ主義ですが、これは誰が見たって間違いなく疑似科学でしょう。
 
 で、そのルイセンコを疑似科学扱いしたことが
「露骨な党派性だ!」
「お前はファシストでありナチスシンパだ!」
 と批判されるという……。
 
 ここだけソ連
 
 ていうか、ルイセンコはスターリンに取り入って権力を握ったわけで。
 ソ連ですら、1956年にはフルシチョフスターリン批判をしてるんですが。
 それを批判するのが気に入らないって、「ここだけスターリン時代」かも。*1
 

今回の忠誠審査委員会

 
 ……というわけで、菊池氏をナチス擁護扱いする言説がいかに無根拠な言いがかりかを見てきたわけですが、これについての批判派の評は、

瀬川深さんによる「トンデモと歴史修正主義の合わせ技」としてのナチス擁護とニセ科学批判。 - Togetterまとめ

「SWCが出張るのは余計なお世話」発言での足止め効果、小池晃に嫌疑をかけた告げ口外交批判の件、ナチス優生学似非科学から外す知的誠実さの放棄。これらの行為を見ればナチス擁護否定発言は免罪符でしかない

2016/11/21 10:01

 これまた「免罪符」扱い。
 
 ……“ナチス風衣装の「擁護」に熱心”“「ナチス肯定」擁護に荒ぶっておられた”ってのは、一体何を見て出てきた表現だったんでしょう?
 
 私自身は(もちろん)ナチなんか大嫌いですので、
菊池誠ナチスを擁護している発言があるぞ!」
 という方は、ぜひコメント欄等でお知らせください。
 

*1: ただし、ルイセンコ自体はフルシチョフにも取り入り、ブレジネフ時代が到来する1960年代まで権勢を振るった。

「ナチスの優生学を批判したがらないだろうことを前提として」「皮肉としての質問」について。

 
 前の記事(http://d.hatena.ne.jp/filinion/20170129)の続きなのですが、わりと私信なので記事を分けました。

 そういう人々がナチス優生学を批判するとも思っていないし、そういう人々をナチス批判に動員しようとしているわけでもない。
 
 そういう人々がナチス優生学を批判したがらないだろうことを前提として、似非科学批判や「〜が人を殺す」的に一貫性を欠くことを皮肉っているのである。

 私の感覚だと、これは
「私は、ある種の人々に対し、“こいつはナチシンパだろう”という予断と偏見を持って接しています」
 という明白な差別意識の表明だと思うのですが。
 
 この点について、後に氏は、例の疑似科学は人を殺す」を「全ての疑似科学は人を殺す」と読むのは頭が悪いよねの中で、

似非科学(疑似科学)批判派の中にある特徴をもった人々がいる」で始まる疑似科学批判の中の一部の人々を扱っていることが明白な文を疑似科学批判全般に対する文と読むあたりfilinion氏は日本語力が不足している人と考えるしかない。

 と弁明……というか、こちらを「日本語力が不足している」「頭が悪い」扱いなさっています。
 
 ははあ。
 じゃあなんですか、
 
A「私はXX国人を見たら強姦魔だと疑うことにしている」
B「それは差別なんじゃないの?」
A「XX国人の一部の人々がそうだ、と言っただけだ。XX国人全般に対する文として読むのは頭が悪い。お前は日本語力が不足していると考えるしかない」
 
 ……という場合、A氏の弁明(というか罵倒)の方が正しい、という話になるんですか。
「保守」政治家とかがそういう言い訳をするのはよく聞きますが、左派がそれでいいんでしょうか?
 
 人権とは、反差別とは何だったのか。
 
 釈迦に説法だとは思いますけど、差別ってのは、障害者とか外国人とか性的マイノリティへの差別だけが差別なわけじゃないですよね?
 あんまり社会問題としては聞き慣れないもの……「ボイラー技士」とか「ネオ・ケインジアン」みたいな集団だって、誰かが差別すれば差別の対象になり得る。疑似科学批判クラスタ、再稼働容認派だって同じでしょう。
 
 それともあれか、
疑似科学批判者、とりわけ再稼働を容認する奴らなんか体制側だから差別は問題にならない」
 という認識なんでしょうか。*1
 
 あと、件の発言に私が驚愕したのは、「こんなの明白な差別じゃん!」ということだけではなく。
「これは“ナチを批判しろ”という要求ではなく、“お前はナチスを批判したりできないだろう”という皮肉なのだ」
 という話についてです。
 
 その発想は私にはまったく思い浮かびませんでした。
 
 さきほど、瀬川氏について“どうして「ナチス擁護は疑似科学だ」って言って欲しいんでしょうね?”と書きました。
 
 しかし、D_Amon氏によれば、別に「言って欲しい」わけではなく、
疑似科学か? 違うのか? 疑似科学だと言え! どうせ言えないんだろう! ほら見ろ、お前はやっぱりナチシンパだ!」
 と罵りたいがために発せられた質問であると。
 
 この種の
「皮肉としての質問」
 というと、ネット右翼の人が何の脈絡もなく発する
竹島は(or尖閣諸島は)どこの領土ですか?」
 というが連想されます。
 
 人権とか反差別とか、そういう「サヨク」的なことを主張していると、突然おかしな人が絡んできてそう問うわけです。
 
 その背景には、
「お前はサヨクだから中韓にべったりの反日なんだろう! 竹島尖閣が日本の領土だなんて口が裂けても言えないだろう!」
 という発想があるのだと思います。
 
 いやだって、日本共産党ですらどっちも日本の領土だと言ってるのに……。
 ネット右翼の人の脳内政治風景が、現実と乖離した残念なことになっている一例だと思います。
(あと、こういう人たちって竹島尖閣に熱心である一方、なぜか北方領土には滅多に言及しないので、たぶんネトウヨさんはコミンテルンの手先なんだと思います)
 
 ……で、D_Amon氏によれば、
ナチス擁護も批判しているよね?」
 も、それと同様、謎の脳内政治風景に基づいた「皮肉」だ、というわけです。
 
 ……ネトウヨさんの脳内が残念なのは知ってたから、「ああ、皮肉のつもりなんだろうな」ってすぐわかりましたけど。
 まさかはてな左派の中からそんなのが出てくるなんて……予想外でした。
 
 加えて、D_Amon氏は、id:Apeman氏の



 といったツイートを引用しつつ、
>というやりとりはこういう文脈で読まれるべきものだと思う。
 と述べています。(“「当然〜するよね」という皮肉”より)
 
 知らんがなそんな「文脈」。
(ところでid:Apeman氏、件のツイートの「歴史修正主義優生学は批判したくないニセ科学批判マン」というのは菊池氏を指したものだと私は推測しましたし、D_Amon氏も同様の仮定で記事を書いているのですが、実際のところどうなのでしょう? D_Amon氏が考えるように「皮肉としての質問」という“文脈”で発せられたツイートなのでしょうか?)
 
(Apeman氏も……反・歴史修正主義的な活動については日頃から敬意を抱いていますし、否定的な文脈でIDコールとか全然したくない方なんですけどね……)
 
 この「否定的な質問文脈」発言に感じた驚きって、同じく氏のブログの記事「〜で弱者が死ぬ」「〜が人を殺す」という動員要求http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20161119/p1)を読んだ時と同じような驚きでした。
 
 そっちはいきなり

「〜で弱者が死ぬ」「〜が人を殺す」は人権感覚への一貫性を利用した人権派に対する動員要求である。
 
 それぞれの人はそれぞれの関心事にそれぞれのリソースの範囲であたれば良い筈なのだが、「〜で弱者が死ぬ」「〜が人を殺す」という言葉で人権派は人を死から救うために動員要求に応じることを求められ、応じないことをもって「お前らの人権感覚は偽物だ」と嘲られるのである。

 ……という文で始まるんですよ?
 
 世の中、「〜によって死者が出ています」系の言説って山ほどあるじゃないですか。
 それが「人権派へ動員要求である」「それによって人権派は嘲られている」と。
 
 ……最初何言ってるのかわからなかったし、ある種のSFを読んでいるような知的驚きがありました。
「夜来たる」みたいな、地球と全く異なる社会を「自明の常識」として語っていくタイプの。
 
 しかしそれが、我々の住む日本社会について述べた文章なのです。
(……それにしても、菊池氏がナチス擁護を疑似科学扱いしないって散々罵った人が「それぞれの人はそれぞれの関心事にそれぞれのリソースの範囲であたれば良い」って……)
 
 氏の脳内文脈の中では、きくまこ氏は欅坂46ナチスシンパの擁護に荒ぶっておられ、再稼働容認派はナチスと仲良しで、「風力発電所で鳥が死ぬ」は“動員要求”であり人権派への攻撃です。

はてなブックマーク - 「〜で弱者が死ぬ」「〜が人を殺す」という動員要求 - 模型とかキャラ弁とか歴史とか

「兵器は人を殺す」も「悪政は人を殺す」も真理だが、それを「人権派に対する動員要求」とは思わない。「原発を動かさないと弱者が死ぬ」「風車が鳥を殺す」とそれらの差異がわからないなら頭悪いねとしか>id:filinion

2016/12/30 00:53

「頭が悪い」って言い回しがお好きですよね……。*2
 
 残念ながら、私には、氏と「文脈」を共有するのはとても難しいです。
 私は、D_Amon氏のようには頭が良くないので。
 
 以前にも述べましたが、
「薄汚い奴の言うことだから薄汚い内容なんだろう」
 という属人的なバイアスがかかりすぎているせいで、狭いクラスタ内でしか通用しない「文脈」に陥ってしまってるのでは? と思います。
 
 私がリンクを張った、例の
「SWCにご注進した人が一番おろか」
 のまとめ、D_Amon氏も読んでるはずなのですよ……何しろ記事内でリンクしてるし。
 
 ツイート単体を読んで憤激している軽率な人が多いのはわかりますが、まとめを読んだ上で“「ナチス肯定」擁護に荒ぶっておられた”とか書いてしまうというのは、他人に文脈を読むよう要求し日本語力を云々する前に何か読むものがあるんではないか、と私は思います。
 

*1: マジョリティに対する「差別」は、マイノリティに対するそれより問題の程度が小さい、ということはあると思います。
 ヤノマミ族……アマゾンの先住民が
「文明人(ナプ)は愚かで非人間的だ」
 と言ってもそれほど問題にならないけど、我々が
ヤノマミ族は愚かで非人間的だ」
 と言ったらそれは差別になる。
 ただ、それと「疑似科学批判で原発再稼働容認ならナチス擁護だ」が許されるかどうかは別問題。

*2:ところで、この時点では「動員要求かどうかは文脈による」なんてニュアンスはまったく読み取れないと思うのですが。

「えんとつ町のプペル」を読んで。(感想文)

 
結論:あんまり好きな話ではなかった。
 
 絵は素晴らしかったです。
 特に「えんとつ町」の風景が。
 
 それをどなたが描いたのかというと、メインイラストレーターは六七質、という方なのだそうで、ブログを見てもなるほど美しい。(http://3276771.blog.fc2.com/
(「まあお聞き。」ブログの記事、えんとつ町のプペル」に携わった方々について調べてみたhttp://www.mariyatsu.com/entry/pupel)による)
 
 一方で、あの……あー……いかにも絵本絵本した感じの登場人物は、氏のイラストとはだいぶ違うので、また別の方が関わっているのかな、と。
 
 で、ストーリーなのですけども……。
 
「僕はハッピーエンドが好き」
 ということらしい西野氏ですけれども、この話って「ハッピーエンド」じゃないよなあ……と。
 
 主人公のルビッチにとっては、「父ちゃん」が帰ってきてくれたわけだからハッピーなんじゃないの? ……と言えなくもないですけど、しかし、近所のいじめっ子や町の人々が「ゴミ人間」に冷たい、という現実は何ら変わるところがないのですよね。
 地上に降りれば、また友人や町の人々から白い目で見られる日々が始まるわけで、あんまり問題は解決してない。
 
 ただ、あとがきを見るに、
「えんとつ町は、夢を語れば笑われて、行動すれば叩かれる、現代社会の風刺」
 と、わざわざ太字で書いてあるので、たぶんそういうことなのでしょう。
 
 たぶん本作には、氏の、自身に批判的な人々への思いが反映されていて。
 氏はおそらく、周囲の人の態度が変わるとか、社会を変えられるとか思ってないのではないかなあ……と思いました。
 
 ……本作の登場人物は、「ルビッチ」だの「アントニオ」だのいう名前で外見も白人風。
 なのに、町の看板やらなんやらが「小林建設」「株式会社日本デザイン」「ひばり号」とかやたら日本語出てきて違和感バリバリだったんですが……。
 あれは、「日本社会の風刺」のつもりだからなんでしょうね……。
 
 主人公のルビッチも、煙突掃除人という設定なのに、それらしい場面がほとんどなく、むしろ「学校でいじめられた」とか現代日本の子どもみたいだし。
 
 だったら登場人物も日本人にして「日本のどこか」設定でやれよ、と思わなくもないですが。
 
 あと、すっごい細かい話なんですが、
「4000メートルの崖にかこまれ、そとの世界を知らない町がありました」
 で始まるので、
「4000mの崖で囲まれてるって、盆地なのかな? 台地なのかな? 煙突の煙がこもるということは盆地かな?」
 などと思いつつ読んでいたら主人公の父親は漁師だったという設定が出てきて、街外れには普通に砂浜があった。
 
 どんな地形なんだ。
 
 別に海でなくて、崖を登って外の世界を見ようとして死んだ、とかいう設定でも良かったのでは……。
 
 あと、どぶ川に落としたはずのロケットがあそこから出てくるのもちょっと謎。
 
 ともあれ、個人的には、一度はプペルに冷たくした人々が、プペルとルビッチの父親を見直して、「空を見上げる」ことの意味を思い出す……という希望溢れる話の方が好みだし、子どもたちにもそういう話を読んで欲しいな、と思いました。
 
 ……西野氏がそういうイメージを抱くことができるといいな、と思います。
 

きくまこ氏を擁護する・その2「菊池氏は靖国支持者ではない」編

 一文の得にもならないのに菊池誠氏への批判に勝手に反論するシリーズ第二弾。
 前回の、「菊池氏は原発カルトではない」編は、思った以上に多くの方に読んで頂けた上、好意的な反応が多く、とてもほっとしました。
 
 曰く、
「きくまこ先生は基本的にはまっとうな科学者だよ。専門分野外で迂闊な発言が多いだけで」
原発関連の発言は妥当だよ。社会学関連とかで軽率なことを言うのが問題なだけで」
 
 うん……。
 
 ……そして今回は、靖国神社……社会方面の話なんですけどね……。
 

批判の例。

 
 そもそも主に問題になったのは、菊池氏の
「カルト候補を当選させるよりは靖国参拝する議員を当選させるほうが社会的には利益がある」
 という発言です。
 
 これに対して、はてな内で見える範囲では、「法華狼の日記」ブログの記事、
「国家権力と密接なカルトと、カルトの二択なら、前者を選びます」「それは二択として成立していないのでは?」「国家権力と密接なカルトは定義としてカルトではない」「あっはい」http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20161226/1482900661
 
 が批判記事でしょうか。
 他にめぼしい記事は見つからなかったのですが、賛同するブコメもたくさんついていたところを見ると、同意見の方も多いようです。
 
 記事のおおまかな内容としては、
 
・政治家を選ぶ場合であっても、棄権も選択肢のひとつである(靖国を選ぶ必要はない)。
・そもそも靖国はカルトである。
 
 ……という感じでしょうか。あと幸福の科学とか、「やや日刊カルト新聞」創始者氏の話とか。
 
 記事の詳細はちょっと後に回して、菊池氏の立場を確認してみます。
 

実際のとこどうなのか。

 
 菊池氏の靖国神社に関する立場は以下のようだと思います。
 
靖国神社を支持しない。
靖国参拝する議員には政治的に問題がある。
・政治家が靖国神社に参拝することは対外的にマイナスである。
・ついでに言えば幸福の科学も支持しない。
 
「嘘だ! あいつはそんな奴じゃない!」
 とか言われそうなので本人のツイートを引用します。




 
 この3つが、id:hokke-ookami氏が引用しているツイートです。(こんなに気が進まないidコールは初めてだ……)*1
 
 それ以外のツイート。
 


 
 ……というわけで、菊池氏は、
「そもそもこんな二者択一自体がナンセンス」
「議員の靖国参拝には問題がある」
 と主張していることがわかります。
 
「どうせ偏った引用をしているんだろう!」
 と言われそうなんですけど、twitterで「@kikumaco 靖国」で検索したらこれしか出てこないので私も驚いたのですよ……(2017/01/14現在)。
https://twitter.com/search?f=tweets&vertical=default&q=%40kikumaco%20%E9%9D%96%E5%9B%BD&src=typd
 
 もしこれ以外に、
「消された靖国賛美ツイートがあるけど魚拓があるから見ろ」
twitter以外のメディアで靖国を礼賛しているから読め」
 といったことをご教示くださる方がいれば歓迎しますけれども。
 
 幸福の科学関係のツイートの方がずっと多かった。

 ……ちょっと脇道にそれますけど、
幸福の科学の総裁はネタ扱いされている。深刻に扱う必要はない」
 って主張を見ると、かつて「嫌韓」的主張に批判を加えると
嫌韓はネタだから。マジレスすんなwww」
 とか言われてたことを思い出すのですよね……。
 

いったいどうしてこんなことに……?

 
 ……その……。
 hokke-ookami……法華狼氏の、歴史問題……歴史修正主義批判などの活動には敬意を抱いています。
 間違いなく私より頭のいい方だし、知識もある……批判的に言及とかしたくない相手なのです……が。
 
 しかしですね。
 
 そもそも件の批判記事のタイトル、
「国家権力と密接なカルトと、カルトの二択なら、前者を選びます」
「それは二択として成立していないのでは?」
「国家権力と密接なカルトは定義としてカルトではない」
「あっはい」
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20161226/1482900661
 って、おかしいのでは?
 
 まず、菊池氏は、
靖国は国家権力と密接だからカルトではない」
 などという主張は全くしていませんよね?
 
 ですから、記事中、靖国についての
「“特定の人物・事物を熱狂的に崇拝,礼賛すること”がカルトだ、という定義に従えばカルトだよね?
 ああでも、“既成宗教に対する異端であることと、小集団であること”をカルトの定義とすれば、集団が巨大化して国家権力と一体化し、社会への影響力が増せば、『カルト』の枠組みから外れるって寸法だね?」
 ……という法華狼氏の一連の議論は、菊池氏の発言とは全く無関係な、いわば一人相撲に過ぎません。
 
 そもそも最初の「二択」において、菊池氏は
靖国とカルトどちらがマシか」
 とは言っていません。
靖国参拝する議員とカルト候補者」
 という設定をしています。
 
 靖国がカルトであるとしても、靖国神社に参拝する者がみな靖国カルトの支持者である……と言い切るのはさすがに無理があると私は思います。
 
 もちろん、政治家と靖国が接近することには、一般市民とは全く異なる危険性があるのは重々承知しています。
 
 しかし、例えば私自身が、
靖国に参拝するかカルトに入信するかどちらかを選べ」
 と迫られたら、前者を選びますし、そこで後者を選ぶような人に政治家になって欲しくはないです。*2
 
 いずれにせよ、例の記事タイトルの「あっはい」に至るやりとり、そして記事内のカルトの定義云々にまつわる議論は、菊池氏に向ける非難としてはわら人形論法の典型のように思えます。
(もちろん、靖国自体が、かつて国家全体を覆い尽くした巨大カルトであったこと、現在もなおその残滓が息づいており、息を吹き返しつつあるようにさえ見えることは、私も全面的に同意します。昨日記事に書きました。http://d.hatena.ne.jp/filinion/20170114
 
靖国参拝する議員」の中には、戦前の靖国カルトの状況とかほとんど知らず、ただ「参拝した方が“保守”層にウケがよさそうだからなー」とかいうだけの理由で参拝してる連中も相当いるんではないか、と思っています。
 それはそれで危険な話なのですが。
 

カレー味の………と、………味のカレー。

 
 件のツイートについて、
「どちらも拒否すべきだ! 選ぶべきではないのだ!」
「二者択一の設定がおかしい」
 という批判も見られます。
 
>どちらも拒否するべきという異論に対しては同意しつつ、やはりどちらかを選ぶしかない問題だと重ねて主張している。
 
 ……そうでしたか?
 
 菊池氏は、繰り返し
「一般にはそんな単純な二択ではない」
「そもそもそんな二者択一にしてはいかんという趣旨なのだが」
「僕もどちらも拒否すべきと考えますが」
 と述べています。
 
 だったらなぜ一方を選んだのか、という話ですが、これ、最初の発言の前に、
「カルト候補と靖国参拝する議員、どちらに投票しますか?」
 的な“究極の選択”(菊池氏曰く「馬鹿な質問」)を迫った人がいたからですよね? (具体的なツイートは発見してませんが)
 
 だったら、批判されるべきは、その質問をした人の方なのでは?
(どんな流れでその質問が発せられたかは後述)
 
 第一、仮に菊池氏がその質問に対して、
靖国はカルトだから問題設定がおかしいですね」
 とか、
「答えられませんね。どちらも選ぶべきでないから」
 とか答えたら、許してもらえたんでしょうか。
 
 これはまあ憶測ですが、そう答えたら答えたで、
「どうしても靖国を批判したがらない菊池誠
 とか、結局批判の対象になったのでは、と思います。
 
 そして、法華狼氏の、

 しかし政治家を選ぶ場合であっても、棄権も選択肢のひとつではあるし、そもそも選挙だけが意思決定の手段ではない。
 両方への批判を公言することはいつでもできるし、本来ならばデモや陳情という選択肢もある。
 菊池教授のような立場ならメディアを通した発言も可能だろう。

 ……というのもまた、答えになってない気がするのです。
 そりゃあ両方を批判することはできるし、デモも陳情も、メディアでの批判もできるでしょう。
 
 でも、例えば小選挙区でその2候補しかいなかったら、まずどっちかが当選してしまうわけで。
 
 デモ等の……選挙以外の意思決定の手段があることは事実ですが、それは選挙に行かないことの理由にはならない、と私は思います。
 
 かつて、集団的自衛権に関するデモについて、
「デモやってる人、ほとんど選挙なんか行ってないんじゃねーの?(笑)」
 と嘲笑するツイートのまとめが作成されていました(https://togetter.com/li/690990)。
 
 一方ブコメでは
「具体的なデータがあるならともかく、妄想で他人を見下すとかどうなんだ」
「デモをするほど政治意識の高い人が選挙に行かないわけないだろう」
 といった意見が主流だったように思います。私もそう思っていました。
 
 ですが、法華狼氏のご意見は、むしろその「嘲笑」に裏付けを与えるもののように思います。
 
 私は、何はともあれ選挙の価値を信じています。*3
「支持できない候補」と「もっと支持できない候補」だったら、ひとまず前者に投票して、それからデモでも陳情でもすべきだと思っています。
「ハズレしかないガチャ」にしか思えない選挙から、それなりの政治家が誕生することだってあるかも知れません。
 棄権したところで投票率が下がるだけです。それを「政治批判の高まり」とか深刻に受け止める政治家はあまりいないでしょう。
 
 ともあれ、
「どちらかを選べ! 態度を鮮明にしろ!」
 と言われて
「そんな二者択一おかしいと思うけどなあ……」
 とぶつぶつ言いながら選んだ人に対して、
「選ぶべきでない!」「そんな二者択一はおかしい!」
 と批判するのはひどいと思うのですよ。
 
 まあ……「その方がマシだ」ではなく「社会的に利益がある」って言い回しが勘に障ったのかも知れませんけど、でもそんなの脊髄反射ですよね。
 

効かない「免罪符」。

 
 前回の原発の話には、当然ながらご批判も頂きました。
 その中で、どうにも気になるものがあります。

きくまこ氏を擁護する。「菊池氏は原発カルトではない」編 - 小学校笑いぐさ日記

偽科学批判を旗印にしつつ、かなり偽社会科学的な主張が見られる人なので、免罪符的発言だけ抜いたらそらま妥当だろうな。でも韓国の過ぎた反日教育ガ〜、なんて熱湯欲の受け売り言ってる人だよ、自称中立の典型。

2017/01/09 22:22

きくまこ氏を擁護する。「菊池氏は原発カルトではない」編 - 小学校笑いぐさ日記

再稼働に反対しないのなら少なくとも消極的推進派でしょう。むしろ行く行く廃止というのは左派ポーズとりたいがために言っているだけで本音ではないように聞こえる。原発以外でもそんな印象を受ける。

2017/01/09 19:00

 あるいは、法華狼氏の件の記事のブコメ
「国家権力と密接なカルトと、カルトの二択なら、前者を選びます」「それは二択として成立していないのでは?」「国家権力と密接なカルトは定義としてカルトではない」「あっはい」 -

言及対象と言及姿勢が示すキクマコ先生の欲望。専門外でも欲望に従って非常に熱心に発言し続けるキクマコ先生。キクマコ先生が掲げる免罪符を真に受ける人は見る目が無いのだろうなあと思う。

2016/12/28 17:43

 菊池誠氏の、反原発・反靖国的な発言は「免罪符」「ただのポーズ」である……。
 
 ……つまり、
「口ではああ言っているが、本心は違うのだ」
「あれは嘘をついているのだ」
 ……ということです。
 
 おかしくないでしょうか?
 
 菊池氏に「不利な」証拠は、発言を「モディファイ」したり、言ってもいないことを曲解・拡大解釈した上で批判され。
 一方で、菊池氏に「有利な」発言は、「あれは免罪符に過ぎないのだ」で、なかったことにされる。
 
 それが批判としてフェアだと言えるでしょうか?
 
 告発する側が好きなように証拠を作り出したり無視したりするのが許されるなら、ヒトラーを博愛主義者にするのもガンジーを好戦的な先制核攻撃論者にするのも自由自在です。
 
 こういう、恣意的な証拠採用を行った上で、思想性・政治性を批判されるのは、ある種の政治裁判を連想します。
 ナチの民族法廷とか、冷戦期の赤狩りとか。
 
 ……そもそも、仮に、菊池氏が右翼的な人であったとして、それが左派であるかのような「免罪符」を掲げる意味ってなんでしょう?
 メリットありますかね?
 
 もちろん私は、基本的人権の尊重……市民の社会的自由や、格差の是正、社会的弱者の救済、差別の撲滅、あるいは国際協調、そして、歴史の教訓に真摯に学ぶ姿勢、といった、おそらくは左派的な価値を強く信じています。
 
 しかし、最近の世間……とりわけネット世論では、そういった「サヨク」「リベラル」は著しく劣勢であり、侮蔑語として使われる有様です。
 
 そんな中で、「靖国に参拝する議員の政治性には問題がある」なんてネットで書くのは、「免罪符」どころか、むしろ勇気を要するのが現状ではないでしょうか。
 それを「免罪符だ!」と思ってしまうのは、我々が左派クラスタの中にいるからじゃないかな、と思います。
 左派クラスタの中では、右派的な発言こそが批判されるわけですから。
 
 私の認識は、むしろこちらに近いです。
きくまこ氏を擁護する。「菊池氏は原発カルトではない」編 - 小学校笑いぐさ日記

自身の党派性を隠そうとするあまり、逆に見えてしまうという印象。自身の政治的スタンスを明確にした方が、伝えたい内容が伝わると思うのだが。

2017/01/09 18:36

 菊池氏はどちらかというと左派なんだけど、あまり党派的に見えないように振る舞っていて、その結果として左派から批判されてしまう、という。
(「自称中立」とか批判されるの私も経験が……)
 

余談:忠誠審査委員会

 
 余談です。
 
 アメリカでは、1947年、大統領令により、公務員の忠誠審査が行われることになりました。
 それがどんな模様であったか、カール・セーガンの「科学と悪霊を語る」に書かれています。(実際に審問を受けたのは、「コンドン委員会」で知られるエドワード・コンドン)

 私がコンドンの下で学ぶ大学院生だったある夏のこと、コンドンは忠誠調査委員会に引き出されたときの話をしてくれた。
 私はその話を、今もはっきりと覚えている。
「コンドン博士、あなたは物理学における革命の最前線にいたということですね、ええとそれは……」
 ここで審問者はゆっくりと注意深くメモを読み上げた。
量子力学と呼ばれているものです。
 一つの革命の前線にいられるあなたのことですから、別の革命の前線にもいられるでしょう」
 コンドンはさっと立ち上がり、その非難は事実無根であると答えた。
 コンドンは物理学における革命家ではなかったのだ。
 そこで彼は、右手を挙げてこう言った。
「私は紀元前三世紀に打ち立てられたアルキメデスの原理を信じています。
 十七世紀に発見された、惑星運動に関するケプラーの法則を信じています。
 私はニュートンの法則を……」
 こうしてコンドンは、ベルヌーイ、フーリエアンペール、ボルツマン、マックスウェルの名を次々と挙げたのだった。
 だが、物理学者のこんな教理問答は、コンドンの役にはあまり立たなかった。
 委員会のメンバーには、このユーモアが通じなかったのだ。
(改行はほぼ引用者による)

「お前は物理学の革命の最前線にいた。だから共産革命も支持しているのだろう」
 馬鹿馬鹿しい話ですが、コンドンはこの後セキュリティクリアランスを剥奪され、職を追われたのですから*4、あまり笑いごとでもありません。
 
 このような、あらかじめ有罪が決まっていて、証拠にもならない証拠を元に断罪される、茶番めいた政治裁判の例は古今東西多々あるわけですが……。
 まあ……そんな人々が権力を握る国には住みたくないものだな、と思います。

カール・セーガン 科学と悪霊を語る

カール・セーガン 科学と悪霊を語る

 

負のスパイラル。

 
「免罪符」派の人は、
「いや、菊池誠の普段の発言を見ていれば、あれが免罪符だとわかるのだ」
 とおっしゃるんだろうなあ、と思うのですけど。
 
 でもその「普段の発言」に対する評価自体が、
菊池誠はそういう奴だ」
 という認識の元に行われてるわけですよね?
 
1:菊池誠は、以前薄汚いことを言った薄汚い奴である。
2:菊池誠は薄汚い奴だから、この発言はこんな薄汚い意味に違いない(薄汚い意味に取れない発言は、「免罪符」に違いない)。
 
 この2つが無限ループを起こして、菊池氏に対する脳内評価がどんどん悪化しているのでは。
 別に各氏が脳内で誰にどんな評価をしようと自由なのですけれど、スパイラルの結果として、実際の菊池氏の発言意図と(そしておそらくは、あまり左派的でない人々による理解とも)大幅に乖離し、
「左派の人たち、なんであんなわけのわからない批判をしてるの?」
 という状態になってしまっているのでは、と懸念します。
 
 お互い同士の話ばかり聞きあった結果、内輪でしか通じない論理や政治用語ばかりの主張になってしまい、一般市民から乖離してしまう……というのは、左派にとってもっとも忌むべき道だと思うのです。
 
 想像するに、このスパイラルが始まってしまったそもそものきっかけは、おそらく原発震災ではないかと。(だから前回、原発の話を最初に書いたわけですが)
放射能による被害は思ったほどではなかった」
 という指摘を、素直に受け入れられた人と、そうでない人がいて。
 
「そうでない人」が、菊池氏を盛んに「エア御用」などと罵り「人民の敵」扱いしたことが、現在に至っているのではないかな、と思います。
 
 はてなにも、かつてはまっとうな科学ブログを書いていたのに、震災以降、「甲状腺がん多発」「化学物質過敏症」といった方面に行ってしまった人がいますし……。
 

カルトってどのカルト?

 
 ところで。
 
 件の発言の「カルト候補」って、具体的にどこのカルトの候補なんでしょう。
 
 菊池氏に
「カルト候補と靖国参拝する議員、どっちがマシだと思うのか?」
 って迫ったのは、誰なんでしょう。
 
 この間まで、「幸福の科学かな?」と思っていたのですが、以下のまとめを見ると、どうも違ったようです。
野党共闘はクソ。カルト候補よりも靖国議員のほうが、社会的利益がある」https://togetter.com/li/1061598
 



 どうも、仏教系の新興宗教、「親鸞会」の話みたいです。
 
 ……正直よく知らない。
公式サイト→http://www.shinrankai.or.jp/
被害「家族の会」→http://higai-kazoku.news.coocan.jp/
 
 Wikipediaを見ると、大学生をターゲットに偽装勧誘を行っている……という情報はあるものの、あとはやたら詳しく教義が載っているだけで、活動自体が反社会カルトだ、という話はなく。
 しかしノートページを見ると、なにやら激しい編集合戦があり、「信者が不都合な情報を消した」「やたら教義ばかり長々と書いている」といった批判も。
 
 まあ……よくわからぬのですけど、野党共闘によって、親鸞会の元信者(菊池氏は「選挙の為に形式的に脱会しただけ」と言う)が候補として担ぎ出されたことを菊池氏が批判し。
野党共闘の名の下にカルト候補を支援するなら共産党も同罪だ!」
 みたいなことを言ったら、共産党支持者が憤激し。
 その中で、「靖国とカルト」の話が出てきたようです。
 
 ……どうなんじゃろ。
 菊池氏もナイーブすぎるんじゃないか、と思うけど、親鸞会のこと全く知らないからなあ……。
 ……それは……まあそうかも。私は都民じゃないけど。
 マジか。
「まあ菊池氏、私より右寄りっぽいし、熱心な左派から見たら不満もあるだろうよなー」
 と思ってたけど、少なくとも投票行動においては私よりも左翼だった。
 
 ともあれ、共産党の「野党共闘」支持者が、カルト批判の菊池氏を論難するために「カルトと靖国」の話を持ち出したのが、そもそもの発端だったのではないかな、と思います。
 

*1:はてなユーザーでない方に説明しておくと、はてなって、「id:」の後にユーザー名をつけた文を書くと、相手方に通知が行くんですよ。「これは陰口ではない」って証拠みたいなもの……だと思ってます。

*2: ……っていうか私、靖国に行ったことありますけどね。10年以上前ですが。
 まあ……面白かったですよ。遊就館とか。すごい偏ってて。
 なんか、海外からの観光客らしき方が、半笑いでパネル(念の入ったことに日英二ヶ国語表記だった)とか読んでて、あれはわりと存在自体が国辱だと思いました。

*3:まあ……歴史的に見ると、それは「左翼」の伝統的立場とは言えなかったりするのですが。

*4:英語は読めないんですけど、英語版Wikipediaにはたぶんそう書いてあった。