本当にあったらしい怖い話。または、アサガオとホウレンソウの関係について。

今年の2年生は、一人一鉢栽培の代わりに、学校でヘチマとアサガオを育てました。
2階の窓から巨大なネットを垂らして、その下にヘチマとアサガオを植えたのです。
キュウリ用のネットを3枚つなぎ合わせて大きなネットにする作業は、2年生がやりました。私は見てるだけ。
 
夕立が多かったおかげか、担任がろくに世話もしなかったのに(追肥したり降らない日が続いた時に水をやったりはしたけど)大きく育ち、とうとう2階まで届きました。
2階の窓からヘチマの花が咲いて実ができかけているのが見えるのはなかなか壮観です。
 
よく見れば、アサガオやヘチマのつるにアリが上り下りしたり、葉の上にカマキリがとまったり。
2年生が苗を植えなければ、こいつらもやってこなかったのだなあ、と思うと、感慨深いものがあります。
 
特にヘチマは、根本が日陰だったのに健闘し、2階の窓までたどり着いた後さらに上を目指し、窓枠の隙間までつるをめぐらして、3階があれば届きそうな勢いです。
 
……もっとも、そのせいで2階の教室(3年教室)の窓が開けられないわけですが。
 
……まあ、それはそれとして。
 
アサガオやヘチマを棚にすることを勧めてくれた先生が話してくれた昔話。
 
なんでも、本校と同じように、校舎の南側壁面をアサガオの棚にしておいたところ、全面を覆うばかりに育って花をつけ、順調に種もつけ始めたのだそうです。
 
「よしよし、これで、植物の発芽から種をつけるまでのライフサイクルを観察できるぞ」
 
……と、思っていた矢先のある朝、出勤してくるとアサガオが全部根こそぎなくなっていたのだそうです。
 
「何事!? 誰だ、こんなことをするのは!」
 
犯人はあっさり見つかりました。
ていうか、用務員さんでした。
 
「あのアサガオ、枯れてだいぶ見苦しくなってきたから、片づけといてあげたから」
「ああ……。 ……ありがとうございます……」
 
用務員さんは、日々、校舎内の修繕・清掃や校舎周辺の除草など、学校環境の整備に努めています。
その観点からすると、なるほど枯れかけたアサガオなんて片づけるのが正解なんでしょうが……。
 
学校には、お客さんから見た美観より大切なものがあるのです。
 
ただ、このあたり、用務員さんと他の教職員の間で意思疎通がきちんとできていない、という問題を感じます。
用務員さんは、職員室に机はありますが、採用の主体も違えば勤務時間も違うため、職員会議には出席しませんし、校長教頭と違って、担任が病欠した時に代理で授業をするようなこともありません。
 
同じ職場で働いていながら、ややもすると間に溝ができてしまいがちで。
 
そういう、お互いの業務についてよく知らないまま同じ職場で働いていることが、アサガオ事件につながったのかも知れません。
 
別な学校の出来事、と、等閑視することはできないと思います。
 
……「子どもたちが大事に育てたサケの稚魚を、教頭が勝手に河に放流しちゃった事件」とかになると、もうかなりどうしようもない気がしますが。(実話。らしい)