Googleで女性蔑視発言をして解雇された人について。

 Google社で、「女はエンジニアに向かない」という文書を社内で公開した人が解雇された、という事例がありました。
 
Google、中の人の「女性は生まれつきエンジニアに向かない」文書回覧で社内騒然
Googleが「女性蔑視」発言を行った社員をクビに、GoogleのCEOから全社員へのメール本文全文をネットで公開
 
 問題になったそもそもの文書の全文は以下にあります。(英語)
http://gizmodo.com/exclusive-heres-the-full-10-page-anti-diversity-screed-1797564320
 
 で、この件について、解雇されたJames Damore氏について同情し、Googleに対し批判的な意見を述べる人が少なからずいるようです。

Googleが「女性蔑視」発言を行った社員をクビに、GoogleのCEOから全社員へのメール本文全文をネットで公開 - GIGAZINE

向こうのIT業界は性差別的なことが横行している云々で報じられることが多くなってきたから即解雇でなく研修などで対応すべきなような。いきなり解雇じゃ本当に横行しているからこその尻尾切り?という印象も

2017/08/10 08:49

Googleが「女性蔑視」発言を行った社員をクビに、GoogleのCEOから全社員へのメール本文全文をネットで公開 - GIGAZINE

価値観への啓蒙をせず、切断処理するのは多様化を誤った方向に導くんじゃないんですか、まなざしムラ? って思うんだけどねぇ。対話無しで切断処理って、やっぱリベラルってば嘘つきじゃね?

2017/08/10 05:37

Googleが「女性蔑視」発言を行った社員をクビに、GoogleのCEOから全社員へのメール本文全文をネットで公開 - GIGAZINE

Googleはこういう人も受け入れられる自由な会社だとか言ってた人これはどうなん?

2017/08/17 20:54

Google社員の「反多様性メモ」の内容は間違っていたのか? - 道徳的動物日記

見よ、これがポリティカルコレクトネスだ。 言論の自由よりも信教の自由よりも強い! 但し女性に関してのみ有効。

2017/08/25 18:26

 んー……君ら呑気だな。
 
 私は小学校教員なので、学校の場合で考えてみましょう。
 

ケース1

 
 例えば私が、「○○人は日本人より愚かで怠け者だ」という不合理な信念を抱いていたとします。*1
 そうするとどうなるでしょうか?
 
 ……別にどうもなりませんね。
 
 そう考えること自体は自由です。
 人間には思想および良心の自由がありますから。
 

ケース2

 
 では、もし私が、学校の職員室で
「○○人はバカで怠け者ですからねえ」
 とか口にしたらどうでしょうか。
 
 まあ……眉をひそめる同僚は多いと思うのですが、ただちに問題にはならないと思います。(同僚はみな日本人だとします)
 
 まあ、それがあまり度重なると、管理職から
「K村先生ちょっと」
 とか別室に呼ばれて諭されたり、県教委主催の『人権教育研修』とかに
「希望者参加だけど、出張扱いで行ってくるといいよ」
 とか勧められたりするかも知れませんが。
 

ケース3

 
 それでは、もしも教室で、子どもたちの前で
「○○人はバカで怠け者なんだよ」
 とか言ったら?
 
 実は何も起きない可能性もかなりありますが……。
 
 しかし、その発言が子どもを通じて保護者に伝わって、保護者が問題に感じて校長や教育委員会に連絡とかしたら、ちょっと面倒なことになるでしょう。
 

ケース4

 
 さらに一歩進めて。
 教室に、その○○人の子どもがいるにも関わらず、
「○○人は(全員ではないが一般論として)バカで怠け者」
 と言ったら?
 
 まあ……大変なことになるでしょうね。*2
 
 全国紙で
「〜〜県の〜歳の男性教諭が、自分が担任する○○人児童の前で『○○人は馬鹿で怠け者だ』などと発言していたことがわかり、市教育委員会では云々、学校では保護者に説明会を云々」
 とか記事になって、はてブ
「まさか退職金出ないよね?」
 とか言われてもおかしくない。
 
 たとえ
「一般論として言っただけで、特定の児童を貶める意図はなかった」
 とか言い訳しても、
「反省してない」「何が問題になったのかわかってない」
 とかますます批判されることになるのは明らかです。
 
 いや、もちろんそういう風に叩かれて当然なのです。
 

まとめ

 
 上記の例は、「○○人はバカで怠け者」という不合理な信念を抱いている、という点はいずれも変わらないのですが、結果は大きく変わります。
 つまり、内心でそう考えていたり、内輪の話として口に出す程度ならそこまで大きな問題にならなくても、本人(と大勢の人)がいる場で公然と口に出せば、それは相手に対する侮辱になってしまうわけです。
 
 そう考えると、現にエンジニアの20%が女性である状況で
「(全ての人ではないが一般論として)女は発想力より共感性や美学に向いている。女性は一般に、男性よりも物事よりも人に強い関心を持っている」
「自己主張より集団行動を重視するから給料が低い」
「神経質でストレスに弱い」
 
 ……といったことを公然と主張するのは、「○○人はバカで怠け者」で言えば最後の例に当たるわけで、それは処分されて当然だろうと思うのです。
「対話が必要」「研修などで対応すべき」といったレベルは軽く飛び越えてしまっている。
(研修とかは普通に行われてるんじゃないかな……と思うのですよ。学校で、人権教育研修とかが校内で毎年行われているように)
 
 そこへ「いきなり解雇なんてー」「対話とか言ってたのにリベラルは嘘つき」とか言うのはちょっと呑気すぎると思います。
 問題の文書を書いたJames氏もそうなのですが、自分の発言で傷つく人がいるのだ、という認識が薄いのではないか。
 
「女性」というのは、ネットの向こうにいる不特定多数の集団ではありません。
 私たちの社会の半数を構成する、生身の人間なのです。
 
 自分の発言が、「生身の人間」を公然と侮辱し、傷つけるものだ、ということが本当にわかってたんでしょうか。
 

余談。

 
 とはいえ。
 
 一律に
「誰かを傷つけるようなことを主張してはならない」
 というわけでもないのが難しいところですが……。
 
 例えば
「政治家が傷つくから政治批判をするな」
 とか言ったら民主主義は死んでしまう。
 
 ただ、問題の文書のように、具体的な根拠を挙げずに主張するのはさすがに擁護しようがないでしょう。
(データとか論文へのリンクとかあるのかと思ったら何もなかったのでびっくりした)
 
フェミニズムは女性をジェンダーから解放したが男性は解放されてない」
 とか
「ストレス耐性が強くて高給を求めるから、男は石炭掘りや廃棄物収拾や消防士といった危険な職に就くし、殉職する人も多いのだ」
 とか、まあちょっと落ち着けという感じでもある(給料安くて危険な仕事やって過労死する男性もいっぱいいるだろ……)。
 
 その一方で、ブコメでも幾人かが言っていたとおり、
「仮に男女で能力に差がないとしても、理工系の大学を志望し、卒業するのは男性の方が圧倒的に多い。
 その現状で男女比を1:1にしようとしたら、女性の方が能力が劣ってしまう、ということが起きるのでは?」
 という指摘は妥当なものだとも思います。
 
 これは一朝一夕に変えられる問題ではなく、女性が理工系に進むのを阻害している社会的な要因を何とかする必要があるのでしょう。
 
 ……そこで企業が、
「公平に採用試験をしたら男女比が偏ったんだから仕方ないだろ! 理工系の大学に女性が少ないのが悪いんだ!」
 と考えるべきなのか、
「いや、ここは我が社が女性を積極的に採用して、能力のある女性が理工系の大学に進むことを応援するのが企業の社会的使命だ」
 と考えるべきなのかは私にはちょっとわかりません。
(まあ、そもそもGoogleの採用試験だってペーパーテストだけで決めるわけじゃないですから、「純粋に能力だけで判断」ってのは難しい)
 
 まあ、多様な言論の保障、マイノリティへの寛容さ、というのは、つまり多様性を守るためのものであって。
 多様性を下げようとする人々に対して「寛容さ」が発揮されないのは当然のことだよな、と思うのです。
 

*1:「○○」にはお好きな(orお嫌いな)国名・民族名を入れてください。

*2: いや、その子とその保護者が涙を呑んで耐えるような人で、何も起きない可能性ももちろんかなりありますが。

他人の椅子に座れない。

 職場で、他人(特に異性)の椅子を借りるのがセクハラかどうか、というのが話題を集めているようで。
 
 発端は以下の匿名ダイアリーの記事。
 
「女性の席に座ったらセクハラと言われた」

新人が教えてほしいことあるというので教えに行った
ちょうどその時、隣の席が空いてたのでその椅子に座って説明してた

席の人が戻ってきた
すいませんって言って席を立って、立ちながら説明を続ける
女性が怪訝な顔をしながら私に言う

「今席に座ってましたよね?セクハラですよ」
(以下略)

https://anond.hatelabo.jp/20170616013400

 で、これを受けて、
「そういう潔癖症の人だっているんだから気をつける、ということが出来ないのであれば、それはちょっとデリカシーに欠けるとしか言えない」
http://h.hatena.ne.jp/maicou/299855181131497802
 とか書いてる人がいて、割と批判的なブックマークが集まってるんですが。
 
 ……でも私、他人の椅子に座れないのです。男女問わず。
 
 職員室で、管理職や同僚に呼ばれて、他人のPCで作業をすることがあります。*1
 
 そんな時、椅子に座れなくて、隣の床に立て膝をついて作業するのが常。
「いやいや、座ってやってください」
 とか勧められるので、最近は椅子の端にほんの少しだけ座るようになりました。
 
 決して、「他人と間接的に尻が触れるのが嫌」とかいう話ではないのです。
 
 その逆で、
「私が他人の椅子に座ったら、相手に嫌がられるのではないか」
 という不安が。
 
 なんでそんなことになったか……と考えると、まあ、小学校の3年生あたりでいじめを受けて、同級生の消しゴムを拾ってあげると「触らないで!」とか言われる時期があったのが尾を引いているのだと思います。
 まあ、今も昔も非コミュなので、その経験を打ち消すだけの成功体験を積んでこなかった、というのも大きいですが。
 
 その後、奇跡的な幸運に恵まれて、奧さんとはスキンシップ多めの幸せな結婚生活を送っているわけですが、それで10年くらい経った今でも、彼女が私のベッドでごろごろしているのを見ると「いいの!?」という驚きを感じます。
 私は、ごろごろしてもらっても全然いいんですけど。
 
 職場の人からは、
「他人の椅子に座るのを嫌がる、潔癖症の人(でも机とかは乱雑)」
 という風に認識されているのかな……と思うとこれまた残念ですが……。
 
 まあ……「いじめの影響は、相手の心に何十年も残る」という話かも知れません。
 

*1: はてなの皆さんは呆れると思いますが、ITオンチが多い小学校という職場にあって、私は「パソコンに(比較的)詳しい人」という扱いを受けているのです……。
 対応する「トラブル」は、Excelのセルの幅を0にしたら戻せなくなったとかそういうレベル。

レガシー。

 放送委員会の担当です。
 
 新年度に入って最初の委員会の話し合いがありました。
 
K村「この、放送委員会では、毎週、リクエスト曲の日を作っているのは知っていますね?
 リクエストがある人にCDを持ってきてもらって、給食の時に流しているわけです。
 しかし、なかなかリクエストがない日も多く、ちょっと寂しいです。なにか良いアイデアはありませんか?」
放送委員A「放送委員の人が持ってくる!」
K村「……それでもいいんだけど、身内ばかりでは寂しいんじゃないですかね……。去年もそれで前前前世を5回くらい聞いたし……」
B「ていうか、うち、CDないから持ってこられなーい」
C「うちもー」
K村「えっ」
 
 聞いてみると、「我が家にはそもそもCDというものがない」という子がおよそ半数。
 多くは、ネットでダウンロードした曲を聴いているのだそうです。
 
 マジかー。
 
 家庭科で、ガスレンジを知らない子がいた時並みの衝撃。
 
 もう、「リクエストの日」というもの自体を廃止してもいいんじゃないかなー、と思えてきたことでした。
(CDを破損・紛失したらどうすんだ、というのは懸念材料でもあったし)
 

甘い生活。

 さあさあ、たまにはのろけますよー。
 卒論ちゃん(最愛の妻)と、今年のバレンタインとホワイトデーの話ですよー。
 

卒「ダーリーン、バレンタインチョコだにゃ!」
私「ひゃっほう! ありがとうにゃー!」
卒「じゃあ、一緒に食べるからお茶入れてにゃー」
 
*我が家では、プレゼントのお菓子は一緒に食べる習慣です。
 

卒「でもさー、バレンタインってずるいと思うんだよねー。
 おいしそうなチョコがいっぱい売ってるのに、もらうのは男の人で、男の人は
 『甘いもの好きじゃない』
 とか言ったりするじゃない?」
私「んー、私は甘いもの好きだし、そもそも一緒に食べてるし、逆に『おいしそうなチョコが売ってるのに自分で買うと変な目で見られる!』とか言ってる男の人もいる気がするけど……」
 

私「そうだ! だったら、ホワイトデーには、私が卒論ちゃんにロイズのチョコレートをあげますにゃ!」
卒「わーい! じゃあね、私、ロイズのポテトクランチが食べてみたい!」
 

私「ポテチクランチチョコレート、一箱778円か……。
 送料は重量にかかわらず700円ってことは、これだけだともったいないな……」
卒「あのねあのね! じゃあ、このバートショコラもおいしそうかなーって!」
私「ふむ……。じゃあ私も、食べたい生チョコとか一緒に頼むか……」
 
そしてホワイトデー。
 

私「卒論ちゃーん、ご所望のポテトクランチチョコ、届きましたにゃー」
卒「なんだこの状況……!」
 
 まあ……その……、ちまちま食べようと思います。2人で。
 

メイ、リスがいーい!

 ある日、体育主任に呼び止められました。
 

体育主任「あ、K村先生。あのさ、各学年のボール置いてある棚あるでしょ?」
K村「はい、サッカーボールとバレーボールが1個ずつ入ってるやつですよね」
 

主「それがさー、この前、体育委員会の子どもらにチェックさせたら、1年の棚、ボール4個も入ってたんだけど」
K「ええー?」
主「体育の時とかに、体育倉庫から持ち出して、学年の棚に入れちゃったんじゃないの?」
K「そんなめんどくさいことした覚えは全くないんですが……」
主「とにかく、戻しておいてくんないかな」
K「どこへ戻したらいいんだ……」
 
と、そこへ、2年担任のY先生が。

Y「あっ、K村先生。あのね、2年生が、2年生のボールがないって騒いでるんだけど、知らない?」
K「あっ! 謎は全て解けた!」
 
 たぶんこういうことです。

 

K「……というわけでですね、1年生は、使ったボールをちゃんと棚におかたづけすることができるのですよ」
主「……拾ったもの持ち帰ってためこむとか、小動物みたいだな……」
 
 ……ボールにマジックで学年を書いとけ、という話ではあります。

Kindle読み放題お勧めその2

 kindle unlimitedからマンガばっかり紹介。マンガじゃないのも読んではいるけど、あまりお勧めできるのがなかった……。
(むしろ私が勧めて欲しい)
 

「インコンニウスの城砦」。
 
 日常SF(なのか?)「ベントラーベントラー」を書いた人。あれも大好きです。
 
 本作は、建造中の大型兵器の工場に、スパイとして送り込まれた少年、カロの物語です。
 わりとのんびりした話だった「ベントラー」と違い、2つの陣営が生存を賭けた(そして絶望的な)戦争を果てしなく続ける世界は、基本的に過酷です。
 

(進行中の氷期って……勝っても負けても先が見えてやしませんか……?)
 
 しかしその中でも、信頼、同情、復讐心といった人間の感情が失われたわけではなく。
 任務の非情さと、その生活の中に挟まれる人間的な感情の描き方が印象的です。

 
 また、舞台となる惑星は、いわゆる「ファンタジー世界」の年代が進んだような世界で。
 魔法が実在し、それを応用した兵器が登場する一方で、スチームパンクっぽい科学技術も。

 「北球」と「南球」それぞれは、純粋に生存のために争う関係なのですが、魔術を重視する南側と、科学重視の北側でイデオロギー的な相違もあるっぽいことがほのめかされるなど、背景の深みがあるのもとても良いです。
 
たわら猫とまちがい人生 (1)

たわら猫とまちがい人生 (1)

「たわら猫とまちがい人生」
 
 コミカル日常系まんが。
 アパートで一人暮らしの「ことり」のところに、デブ猫「たわら」が住み着いてしまう。
 大食らいでトラブルばかり引き起こすたわらだが……といった感じの。
 
 最初の頃は、ほんとにたわらがことりの食事を食い荒らす話ばかりだったりするのですが、徐々に登場人物が増えて物語が転がり始めると、たわら猫もいいキャラになり、周囲の人々の人情話も絡めつつ、最終刊(7巻)では大団円になだれこみます。

 食事を奪われる話は最初は激しかった(エピソードの中心だった)けど、後半はほとんどなかった感。
 

 むしろイイ話になってるー!?
 
 登場人物も、てっきり一話こっきりのゲスト登場人物かと思ったら準レギュラー化したりして、一人一人が丁寧に扱われてる感じがして好印象です。
 CMOとか、まさかあんなイイキャラになるとは……。
 
 それにしても、全話カラーってすごい……。
 
ミカるんX 1巻

ミカるんX 1巻

「ミカるんX」
 
「X」の読みは「クロス」。
 
 言っちゃなんだけどすんげー頭わるいまんが。
 
 いや、作者の頭が悪いのではなく、読者の知的水準をすごく低く見積もってるという意味で。
 
 内容としては、お嬢様学校に通う、エキセントリック優等生の「ミカ」と、わりと常識人の「るんな」が、謎の原因で合体・巨大化し、地球に次々襲来する宇宙怪獣とバトルを繰り広げる、という話。

 ここでしゃべってるのがミカ。それにしてもなんだこの使いづらそうな校舎は。
 

 対怪獣の露払いになる「市営軍」。ミカとるんなを無理矢理入隊させて引っ張り出したり色々とですね。
 

 「合大!」
 

 そんでまあこんな感じですよ。
 
 アクション要素があってお色気(というかエロっぽい)要素があって思わせぶりな伏線があってエロスがあってアクションとエロスがある。
 
 基本展開は、
「怪獣を倒す→新しい怪獣が現れる→今までの攻撃が通用しない→ピンチ→今までの2人を超える超必殺技、新合体フォームで怪獣を倒す→最初に戻る」
 を延々とやる感じ。
 
 でも、ちゃんとギャグには勢いがあり燃える展開があり、張られた伏線は一応回収されて、広げるだけ広げた風呂敷をきちんと最後に畳んでるのがすごい! と思いました。
 だから作者は全然頭悪くないのですよ。
 「いやその設定絶対後付けだろ」
 って思う時も多いのですけど。
 
 ただ、コメディタッチではあるものの、巻き込まれた民間人は(直接的な描写はほとんどないものの)バタバタと死に、物語の序盤でオーストラリアが大陸ごと吹っ飛んだりするのでまあ、そのへんは念頭に。
 
東京爆発娘 2巻

東京爆発娘 2巻

「東京爆発娘」
 
 1998年といいますから……20年近くまえのマンガということになりますか。
 
 しかし、表紙に比べると中の絵はそれほど古い感じはなかった。
 
 内容としては……もっと頭が悪いかも知れないけど。
 
 女子高生、アキラが、ふとしたことから世界中のゲリラ・テロリストに命を狙われるようになり、内閣調査室から派遣されたお姉さん(学級担任として着任するというお約束の展開)や、公安調査庁のおじさん達とともに町中でテロリストと戦うお話。
 アキラ自身も護身のイロハを父親からたたき込まれていて、銃器の扱いは手慣れたもの……という。
 
 で、まあ、その銃をぶっ放したり手榴弾をばらまいたりするのが、住宅地になったり夏祭りになったり南の島のビーチになったりするわけです、毎回。

 だいたい毎回こんな感じ。
 
 敵になるのは中東のゲリラだったり、ソ連崩壊で職を失ったKGBだったり、元MI6だったりですね。
 最終巻(2巻)終盤になると、なんか不死身のサイボーグだったり下水ワニだったりと、急にリアリティが下がったりするのですけど。
 
 ただ、この作品で印象深かったのは、主人公がテロリストから命を狙われる理由です。 
 主人公の父親は、対テロ作戦のエキスパートで、いくつものテロ組織を敵に回しており、それで家族も狙われる……という。

 …………在外邦人保護のため、対テロ特命コマンドを派遣するのがマスコミに野党にも国民にも極秘であり、それが露見すれば「海外派兵」として「内閣のひとつやふたつ吹っ飛ぶ」という……。
 
 平和主義国家・日本には、このような時代があったのです。
 
 最近の、
自衛隊が海外で戦闘をしたけど、憲法上戦闘行為はできないことになってるから“武力衝突”と呼ぶよ」
 なんて状況を見ていると、いつの間に我々はここまで来てしまった(連れてこられてしまった)のか……という感があります。
 そして、我々はどこまで行って(連れて行かれて)しまうのか。
 BLOOD ALONE
 
 小説家(とはいうけど、なんか危ない仕事も引き受けていたり)の青年、クロエと、吸血鬼の少女ミサキの物語。
 
 今3巻を読んでるところですが、まあ、「ダークファンタジー」とかいうにはそこまで暗い話ではないかな、と。
 ミサキがクロエにバレンタインチョコを作ったり帰りが遅いのを心配したりのほのぼの日常生活に、他の吸血鬼が命を狙いに来たりあれこれ。
 
 ただどうも、商業連載が10巻で打ち切りになって、11巻以降は自費出版らしくてですね。
 今後が心配ではあるのですが、今のところ面白いので応援したいと思います。
 

余談:読み放題でないもの。

 
 ほんとはもう一つ……メインで紹介したいコミックがあって。
ケネディ騎士団」。

ケネディ騎士団 (1) (マンガショップシリーズ (37))

ケネディ騎士団 (1) (マンガショップシリーズ (37))

 
 他所の記事(http://wild7.jp/2875)で紹介されてるのを読んで、ずっと気になってたのが、読み放題対象になってるのを見て読んで、すっかり引き込まれた作品です。
 
 何しろ1966年連載開始とかなので、絵が古いのは見ての通りなのですが……。
 
 これが面白い。
 
 もちろん、昔の少年漫画ですから、設定としては無理があります。
 
 ケネディ大統領の遺志で作られた騎士団……秘密部隊が子どもばかりだとかあり得ないわけですよ。
 
 登場する秘密兵器も、
「いやいやそれは科学的に無理だろ」
「そんなもん作るならもっとコスト対効果のいい方法があるだろ」
 的なものが多数。
 

 どんな原理なんだ……。
 
 しかし、そういった「物語上の嘘」は多数ある上で、その道具立ての上で、登場人物達が時に勇敢に、時に知略の限りを尽くして戦う展開がとても燃えるのです。
 単に力押しでなんとかするのではなく、いかにして相手の裏をかくか、思いがけぬ危機を乗り切るか、という試行錯誤。
 そして、もはやどうにもならなくなった時の自己犠牲……。
 
 本作では、ゲストキャラとして登場した味方が死ぬ展開は珍しくありません。
 しかし、その多くは個性的に、印象的に描かれています。
 
 そしてまた、騎士団の任務が……。
 いわゆる「世界征服を企む悪の秘密結社」が敵であることもあるのですが。
 
 しかし、最初の任務は、ソ連(……らしき架空国家)が、隣国に大量の兵器を提供しようとしている! これが実施されれば地域のパワーバランスが崩れ、戦争が勃発してしまう! 兵器を輸送する列車を破壊せよ! ……という。
 いやいやいや、それって……それって政治じゃないですか!
 
 で、ゲストキャラクターとして現地の少年隊員が登場するのですが、
「この任務は祖国に対する裏切りだ」
 とか言って協力を拒否。
 
 彼の父親は、独ソ戦で命を落としており、彼は父親に屈折した思いを抱いていたのです……というあたり、終盤の展開がほんとにもう。
 
 いや、荒唐無稽なショッカーみたいな連中が敵の回もあるんですけど。
 
 あと、現代の視点から見ると、アフリカ人の描き方が差別的かも知れない。
 大体、「野蛮人」か「白人に搾取される無知・無学な大衆」として描かれているので。

 
 でも……「アフリカの星」の回はすごくいいですよ……。
 
「待って待って、これって、反政府ゲリラの育成だよね? それも日本の少年が?」
 という話でもあるのですけど。 
 
 ………………………………と、この記事を書く時は、この作品と「ミカるんX」を対比させて紹介しようと思ったのですけど……。
 
 なんか、先日確認したら、本作のKindle版が存在しなくなっているのです……。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00VJZ6X6U/ref=kinw_myk_ro_title(404になってる)
 
 読み放題の対象でなくなったばかりか、データそのものがない。
 
 いや、私のライブラリにはいまだに存在しているし、さっき再ダウンロードを試みたらちゃんとできたので、データとしても存在しているようなのですが……。

 
 そういえば、「ゆるゆり」が読み放題対象から外れてしまったりしましたし。
 
 こう……読み放題の対象って、Amazon様の気持ち一つでコロコロ変わってしまうらしいので。
 気になる作品があったら後回しにせず、どんどん読んでいかないといかんのかな、と思います。
 

きくまこ氏を擁護する・その3「菊池氏は欅坂46擁護でもナチシンパでもない」編

 菊池誠氏へのおかしな批判に勝手に反論していくシリーズ、第3回。
 
 予定では「ナチス編」でしたが、若干変更して「欅坂46およびナチス」。
 一応最終回の予定です。
 
ナチス支持と欅坂46(の衣装問題)では、全然問題のレイヤが違うだろ!」
 というご指摘は当然あろうと思うのですけど。
 
 しかしそもそも、菊池氏=ナチシンパ説の直接の「証拠」が、欅坂46の話しかないっぽいので……。
(直接でない「証拠」の例については記事後半で触れたいと思います)
 
 欅坂46の衣装については、ググると山ほど画像が出てきますのでご存じない方はそちらを。
 
Google画像検索:ナチス+欅坂46
 

*画像はイメージです。
(肝心の菊池氏があんまり似なかったですね……)
 

批判の例。

 
 id:D_Amon氏のブログ「模型とかキャラ弁とか歴史とか」より、
疑似科学は人を殺す」を「全ての疑似科学は人を殺す」と読むのは頭が悪いよねhttp://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20170112/p1
 
 氏は、菊池氏が
「反原発運動は内部のニセ科学を排除すべき」
 と主張することを批判した上で、

こういう人が欅坂46ナチス風衣装の件ではナチスニセ科学を批判するようにとの求めに応じるどころか、なぜか欅坂46ナチス風衣装の「擁護」に熱心だったわけだが、本人及び周囲の反応は「動員」の断り方において学ぶべきことが多かったと思う。

キクマコ先生が2016年11月3日夕刻時点から「ナチス肯定」擁護に荒ぶっておられたことは明らかである。

 等々と述べています。
 
欅坂46ナチス風衣装の「擁護」に熱心”
 とかいうとすごいファンみたいですね。
 
 ……さて、ここで、
欅坂46の衣装と“ナチスニセ科学”って関係あんの?」
 と思った方がいるかも知れません。
 
 ……ええ、私もそう思います。
 

実際のとこどうなのか。

 
 菊池氏の、欅坂46ナチス「風」衣装に対する立場は以下のようにまとめられると思います。
 
欅坂46の衣装は誰かが止めるべきだっただろう。(自分なら止めた)
・一方で、明らかなナチのシンボル(例:鉤十字)はなく、「似ている」だけなのには注意が必要。
ナチスに「似ている」ものは許さない、というのは、基準を明確にしないと、「似ている」の範囲が無制限に拡大する可能性があって危険ではないか。
・批判し、謝罪を求めるにしても、きちんと反省させるには、国内の欅坂46ファンを中心に声が上がることが望ましい。
・安易に「外圧」を利用して謝罪させたのでは、「こわい人に怒られたからあやまる」以上のものにならず、何が問題なのか理解されないおそれがある。
 
 表現規制との兼ね合い、みたいな話なのかな、と思います。
(どうでもいいですが、私個人は、「あの衣装は確実にダメだろう」という感覚が菊池氏より強いです)
 
 加えて、ナチスについて。
 
・自分はナチス擁護に批判的である。
・「ナチスに寛容」と言われるなら侮辱として抗議する。
 
 
 で、関連ツイートについてですが、私が引用するまでもなくだいたいまとめてる人がいました。
欅坂46ナチス似の衣装の件は、SWCにご注進した人が一番おろか」https://togetter.com/li/1048018
 批判的な立場でのまとめらしいのですが、まとめられたツイートを実際に読むと、上記のような主張に読み取れると思います。
 
 しかしまあ一応引用。
 





 
ナチス擁護に行くのはめちゃくちゃ」って言ってますよね?
 

 
 で、たぶん一番有名なのがこのツイート。
 
 
 この記事を書いてる段階で、このツイートだけブクマが128もついている……。
 
 まあ、SWCの情報収集活動を思うと、日本側からの「ご注進」が仮にあったとしても、SWCはそれ以前から本件に気づいていただろうとは思います。
 抗議以前から海外で報道があったと聞きますし。
 
 しかし、それはさておき、この発言に左派……とりわけ反・歴史修正主義クラスタが激昂してしまうのも故なきことではありません。
 
 ご存じの方も多いことでしょうが、ネット右翼勢の中には、
南京大虐殺or従軍慰安婦or靖国神社問題)は、朝日新聞or日本共産党or日本社会党が告げ口したことによって外交問題化したのだ! 奴らは反日だ!」
 という都市伝説が存在します。
 
 これらは事実ではないし、そもそも「外交問題にならなきゃ何してもいいの? 自国のことを自発的にどうにかしようとは思わないの?」という話でもあり、そういう言説がいまだに根強いことについて、左派は(私を含め)強いいらだちと憤りを感じています。
 
 で、菊池氏の発言は、
「自国のことだから外圧に頼らずなんとかすべき」
 という趣旨だったわけですが……それが、ネット右翼
「朝日がいなきゃバレなかった。バレなきゃ許された」
 系発言を強く連想させるものだったために、強い反発を招いたのだと思います。
 
 ……「見た感じが似てる」という以上のものではないんですけどね。
 
 ただまあ、こういう
「単体で切り出した時にダメな意味に見えるツイートをする」
 というのが菊池氏の迂闊なところであり、敵を増やす要因なんだろうなあ、とは思います。
 
 だからと言って、1ツイートだけ取り上げて
原発カルトだ! 靖国カルトだ! ナチシンパだ!」
 って言うのがまともな批判か、というと、全然そうではないのですけれど。
 
 あと、なんか件のツイートに「“ご注進”したのは共産党の誰やららしい」というリプライ(デマっぽい)がついて、それに菊池氏が「奴は党首の器ではないですね」とか返答したのも左派の怒りを招いたっぽい。
 
 迂闊だなあ、とは思いますが、「デマをもとに共産党批判とは許せん!」というのはナチとは離れるのでそれは措きます。
 

再稼働に賛成する奴はナチ。

 
欅坂46を擁護しているから菊池誠ナチスシンパ」
 というのが直接的な「証拠」の例だったわけですが。
 
 では、直接的「でない」例にはどんなのがあるかというと。
 
 以前の記事でも引用しましたが、D_Amon氏はこう述べます。
「当然〜するよね」という皮肉http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20161119/p2

 似非科学(疑似科学)批判派の中にある特徴をもった人々がいる。
 
 専門知の範囲外では基本的に権力寄りの判断をする人々というか、ある種のポジショントークをしていることが露骨に感じられる人々のことで、確実ではないものの分かりやすい特徴を言えば、原発の再稼働を求める人々であることが挙げられると思う。
(略)
 仮にであるが、私がそういう人々に「ニセ科学が人を殺すとか言って他者を動かそうとしている以上、そういう貴方は人を殺した似非科学であるところのナチス優生学を当然批判するよね」と言う場合、そういう人々がナチス優生学を批判するとも思っていないし、そういう人々をナチス批判に動員しようとしているわけでもない。
 
 そういう人々がナチス優生学を批判したがらないだろうことを前提として、似非科学批判や「〜が人を殺す」的に一貫性を欠くことを皮肉っているのである。

 と書いています。
 
疑似科学批判&再稼働容認の人は、ナチに親和的な可能性が高い」と。
 
 ……なんでだかわかります?
 
 私はわかりません。
 私は、D_Amon氏のようには頭が良くないので。
 
 でも、SWCだって、疑似科学批判&原発再稼働論者であることを理由に「潜在的なナチシンパ」として容疑者リストに入れたりしないと思うんですけど。
 
 そもそも、D_Amon氏のこの発言自体が明白な差別だと思うのですが、まあそれは本題とそれるので後に回します。
(記事を分けました。http://d.hatena.ne.jp/filinion/20170128

 
 いずれにしても、
疑似科学批判で再稼働容認だから」
 なんてのがまともな根拠となり得ないことは明らかでしょう。
 

歴史修正主義を「ニセ科学」扱いしないからナチ。

 
 さっきの話、そもそものツイートはこれです。



で、まあ、ここからの瀬川氏のツイートがまとめられているわけですが。
瀬川深さんによる「トンデモと歴史修正主義の合わせ技」としてのナチス擁護とニセ科学批判。https://togetter.com/li/1045411
 
 ナチス擁護は疑似科学で、欅坂46がナチっぽい衣装を着て問題になったので、疑似科学批判者は何か言えと。
 
 ……どうなんでしょう。
 
「なるほど、欅坂46の衣装と疑似科学批判は関係があるな」
 って思いました?
 
 ナチス擁護論者が疑似科学的な主張をする例としては、ホロコースト否定論者の
 
アウシュビッツでは死体焼却施設とガス室が併設されていたとされるが、ガス室で使われたとされる殺虫剤、ツィクロンBはシアン化水素……可燃性であり、そんな構造の施設では引火して爆発してしまう。
 作業にあたる兵士がタバコを吸っていた、という証言もあるが、捏造であることは明らかだ」
 
 ……といったものが有名だと思います。
(「引火する濃度と人が死ぬ濃度は違います」が回答なわけですが)
 
 ただ、それをもって
ナチス擁護というのは疑似科学そのもの」
 っていうのは……違うんじゃないですかね?
 
 例えば、ホロコースト否定論者の主な主張である
「収容所の目的は殺人ではなく強制労働だった」
 とか、
「民族の絶滅を指示する命令書は存在しない」
 といった話は、自然科学分野とはほとんど無関係のものです。
 まして、「ナチス擁護」にまで話を広げるとなると。
 
 歴史修正主義が、その一部に疑似科学的な主張を含むからと言って、EMだのホメオパシーだのといった疑似自然科学と同列にするのは無理があると思います。

 瀬川氏曰く、
 いやはや。
 
 どうして「ナチス擁護は疑似科学だ」って言って欲しいんでしょうね?
(……と思っていたのですが、D_Amon氏によれば、疑似科学だと言って欲しいわけでは「ない」のだ、と。http://d.hatena.ne.jp/filinion/20170128
 
 ……余談ながら、最後の瀬川氏の
放射脳?ハァそれは周辺問題でござんすネ」
 という言い回しもなんとも。
 
 どうしてこう……こういう人って、反原発運動内の疑似科学を批判したがらないんでしょう?
 
 前回の記事で、私は
「自然科学は専門外であるにしても、菊池氏が疑似科学と戦っていることに敬意くらい表してもよいのでは」
 と述べました。
 
 これに対して、D_Amon氏のアンサーは
「デマと差別には理念的には危機感を持つが、それを排除できないことには運動論的には危機感を持たない。在特会を見ればこの社会はデマと差別にまみれた運動が潰れる社会ではないことがわかる」(前掲の「頭が悪いよね」より)
 
 放射能デマや福島差別を排除できなくても、反原発運動が潰れるおそれはないから運動論的には大丈夫、と。
 在特会と同様に(!)
 
 ……そりゃまあ、菊池氏と(というか、疑似科学批判クラスタ全体と)仲良くできないわけですわなあ……。
 
 ともあれ、
疑似科学批判者は歴史修正主義も批判せよ!」
 という主張自体は別に最近のものではなく。
 これが2014年のツイートですから。
 
 そういう要求が、見た限り常に反・歴史修正主義の方から出るのは興味深いと思います。
 
 疑似科学批判クラスタ内で
「お前もがんもどき理論を批判しろ!」
「なぜナノ純銀を批判しないのだ! 貴様もビリーバーなのか!」
 といった「言及しない批判」があるという話は寡聞にして知らないのですが。
 

ソ連を批判する奴はナチ。

 
 何が何だか。


 注意しておきたいのですが、当初の発言は
 
瀬川氏「ナチス擁護をニセ科学として批判しているのか」
菊池氏「ナチス擁護はニセ科学そのものではない。その周辺問題である」
 
 だったのが、ここでは
「菊池氏はナチスニセ科学周辺問題扱いした」
 に話がすり替わっています。
 
 菊池氏を批判する人の特徴として、問題の切り分けが苦手、ということが挙げられるかなあ、と思います。
原発再稼働とナチ、なんてその極致ですが)
 
 これまで書いてきた記事への反応でも、
「菊池氏は原発カルトではないよね? むしろ反原発だよね?」
 と言うと、
「いやでも、沖縄の悪口を言ってるし……」
 
「菊池氏は靖国カルトでもないよね? むしろ批判してるよね?」
「いやでも、韓国の悪口を言ってるし……」
 
 切り分けましょうよ……。
 是々非々でいきましょうよ。
(それでまあ、沖縄とか韓国とか福島自主避難者のことを本当に悪く言っているか? というのも検証が必要ではあります。個別のツイートだけ切り出すとそう見えるのもあるんですが)
 
「100%の味方でなければ敵」
 という発想って、
捕鯨に反対したから反日
「旧日本軍を批判したから反日
 で脳内“反日国家”を世界に増やしていったネトウヨさんと何が違うんですか?
 
 さて、ナチス擁護が疑似科学であるか、というと、前述の通り
「そういう部分もあるが全体としては歴史修正主義分野に属する」
 という話になるでしょう。
 
 そして唐突に出てきたルイセンコ主義ですが、これは誰が見たって間違いなく疑似科学でしょう。
 
 で、そのルイセンコを疑似科学扱いしたことが
「露骨な党派性だ!」
「お前はファシストでありナチスシンパだ!」
 と批判されるという……。
 
 ここだけソ連
 
 ていうか、ルイセンコはスターリンに取り入って権力を握ったわけで。
 ソ連ですら、1956年にはフルシチョフスターリン批判をしてるんですが。
 それを批判するのが気に入らないって、「ここだけスターリン時代」かも。*1
 

今回の忠誠審査委員会

 
 ……というわけで、菊池氏をナチス擁護扱いする言説がいかに無根拠な言いがかりかを見てきたわけですが、これについての批判派の評は、

瀬川深さんによる「トンデモと歴史修正主義の合わせ技」としてのナチス擁護とニセ科学批判。 - Togetterまとめ

「SWCが出張るのは余計なお世話」発言での足止め効果、小池晃に嫌疑をかけた告げ口外交批判の件、ナチス優生学似非科学から外す知的誠実さの放棄。これらの行為を見ればナチス擁護否定発言は免罪符でしかない

2016/11/21 10:01

 これまた「免罪符」扱い。
 
 ……“ナチス風衣装の「擁護」に熱心”“「ナチス肯定」擁護に荒ぶっておられた”ってのは、一体何を見て出てきた表現だったんでしょう?
 
 私自身は(もちろん)ナチなんか大嫌いですので、
菊池誠ナチスを擁護している発言があるぞ!」
 という方は、ぜひコメント欄等でお知らせください。
 

*1: ただし、ルイセンコ自体はフルシチョフにも取り入り、ブレジネフ時代が到来する1960年代まで権勢を振るった。