長年にわたって発売を待ち続けた、ウィル・ライトの新作ゲーム「SPORE」!
以前の記事(「お勧めしていいのかどうかよくわからないゲーム。」)では「2007年発売未定」とか書いてましたが、結局2008年9月、世界同時発売されました!
……が、まだ買っていないのです。
……なぜかって?
要は、勇気がないから……ではなくて、
「思ったより子ども向けみたいだから」
です……。
シムシティの新作だと思ったらシムタウンだった、みたいな……。
なので、フェーズごとに、
「もっとこうだったら良かったなあ」
という点をつらつら書いてみたいと思います。
あ、でも私、Wiki*1を読んだりプレイ動画見たり、まれに2ch見たりしてるだけで、買ってないんです。
もし、
「それは勘違いしてるよ!Spore面白いよ!」
という意見があればコメントください。ぜひ。
細胞フェーズ
単細胞生物として始まり、水中での生存競争を繰り広げる細胞フェーズ。
ここに特に文句はないのです。
開発の途中で、クリーチャーが
「単細胞生物のはずなのに目玉がぎょろぎょろついている」
というファンシーな(?)デザインになったことに文句を言う人もいましたが、それ自体はまあ慣れました。
クリーチャーのデザインが、その能力に直結するというのも、評価の高い所だと思います。
(……ということは、その後のフェーズがそうではない、ということでもありますが)
科学的にはどうあれ、あのキモかわいいデザインで、むしろクリーチャーフェーズと整合性がとれたと思います。
……ただ、その変更が、「子ども向け」化の一つの表れだった、とすれば、文句を言う人たちこそ正しかったのかも知れず。
クリーチャーフェーズ
陸上生活を始めるクリーチャーフェーズ。
……ええと、色々「こうだったらいいのにな」が。
・クリーチャーの能力を、形態に即したものにして欲しかった。
このゲーム、思い通りの生物をデザインできるのが大きなポイントなんですよ。
……でも、そのデザインが、能力にあまり影響しないという。
手足や目、口など、体を構成するパーツは、プレイ中にランダムに拾えるのですが、能力はボディパーツごとに決まっており、
「使っている中でもっとも能力が高いパーツ」
の数値が、そのままクリーチャーの能力になります。
……ってことは、ですよ?
例えば、同じ脚パーツを使っている場合、それが長くても短くても、6本脚だろうが3本脚だろうが、走る速度には全く影響しない、ってことです。
しかも、複数種類のパーツを混ぜて使っている場合、能力の高い方だけが影響して、能力の低い方は、あってもなくても同じ。
えー。
開発中、さんざんプロシージャルプロシージャル言ってたから、クリーチャーの能力もそうやって決まるんだろうと思ってたんです。
牙を長くすれば攻撃力が上がり、目を大きくしたり複数配置したりすれば視力(というか警戒力)が上がる……というような。(その代わり、能力を上げると生きていくのにたくさんの食糧が必要、とか)
また、戦闘も、敵をターゲットにして「攻撃」アクションを起こす方式なので、「腕が長ければリーチが長い」という話ですらない、らしい。
……「ラクガキ王国」も参考にしている、という話でしたが。
つまり「ラクガキ王国2」ではなかったんですね……。*2
細胞フェーズでは、
「後ろにトゲを生やすと、後ろから襲ってくる肉食動物への対策になる」
とか、外見と能力が一致してるんですが……。
・進化を漸進的にして欲しかった。
進化を題材にしたこのフェーズ。
ほぼいつでも、エディットモードに入ってクリーチャーの外見をいじれます。
で、これが、(複雑度などの制限内なら)いくらでもいじれるのです。
従って、一回の「進化」で、エディット前の面影が全然残らないまでに姿が変わってしまうことも。
……えー。
でもさ、体の構造の抜本的な変化って、実際の進化の過程では滅多にない話でしょ?
キリンはあんなに首が長いのに、頸椎の数は人間と変わらないとか、蛇は脚がないけど、骨格にはちゃんと痕跡が残ってるとか……。
個人的には、元の姿からの変更の度合いに応じて、必要なDNAポイントを算定して欲しかったです……。
体表の色を変えるとか、すでにある器官のサイズを変えるだけならたいしたことはないけれど、手のパーツを入れ替えたりするのはちょっと多めのポイントが必要で、新たに手足を増やしたり減らしたりするような場合にはさらにコストが必要……というような。
「このパーツじゃない方が有効なんだけどな……。ポイント足りないししかたないか……」
みたいな。
その辺のままならない中であれこれ考えるのが面白いんだと思うんですが。
痕跡器官を抱えたクリーチャーとか、楽しそうなのに。
もっともこの点については、
「クリーチャーエディタで事前に作成したクリーチャーをそのまま使えるようにして欲しかった」
という意見もある模様。
まあ、双方を両立させることも可能だったと思います。
・いろいろな生態の生物を作りたい。
登場するクリーチャーって、外見は様々ですが、基本的に全部
「平原に巣を作り、群れを成して生活する生物」
なんですよな。(「はぐれ」とか「壮大なクリーチャー」みたいに、群れも巣もない生き物もいるけど)
……それってどうなのかなー。
確かに、人間の祖先はそんな感じの生き物だったのかも知れませんけど。
でも、「シムアース」だと、両生類でも鳥類でも食虫植物でも知性を獲得できました。
「沼地に都市を築く、知性を持ったヒトデの青銅器文明……おおお、見てみたいぞそれ!」
というイマジネーションが刺激されたんですけど……。
せっかく外見に凝ったクリーチャーなんですから、地面に穴を掘って生活するとか、険しい崖に巣を作るとか木の上とか、砂漠でも生息できるとか熱帯雨林でないと駄目だとか、生態も外見に合わせて色々変化がつけられた方が面白いんじゃないでしょうか。
プレイするにも、
「このクリーチャーと生息域かぶってるじゃん……まあ食性が違うからいいか……」*3
「この肉食のモグラみたいのうざっ!冬眠するみたいだからその隙に絶滅させてやる!」*4
「次回は夜行性の小型生物っていうのもおもしろそうかなー」*5
みたいな多様なチャレンジがあり得たんじゃないかと。
惑星が狭いので、砂漠とかツンドラとかいろんな地形・気候を入れられなかったのもわかるんですが。
集落フェーズ
知的生物になって、火や道具を使い始めるフェーズ。
・内政と外征を対立させて欲しかった。
次の文明フェーズにも言えることですが。
村の数が増えるとできることが増え、最大人口も増える、というシステム。
だから、村の数を増やす以外に目標がない。
うーん……。
「農地を増やして人口を増やそうかなー、それとも野獣よけの柵が必要かなー、それとも戦いに備えて武器を……」
みたいな「トレードオフに悩む場面」に乏しいのって、ゲームとしてどうなんでしょう。
まあ、戦争で制圧するか、外交でなんとかするか、という選択肢はあるんですが……。
・知的生物がいっぱい?
このフェーズでの他の「部族」って、あきらかに他の生物種です。
ゲームとしてとりたてて不都合はないですけど、宇宙フェーズでは「一つの惑星上には複数の知的生物は存在し得ない」というルールなんで、違和感が……。
実際、一つの惑星上に何種類も知的生物がいるって、ちょっと想定しがたいんですが……。
地球上で考えると、まあ、ネアンデルタール人はクロマニョン人とは別種の知的生物だった、と言うこともできますが……。
文明フェーズ
なんか都市を築いて、世界制覇を目指すフェーズ。
・勢力拡大=文明発展でない方が良い。
さっきと一緒。
このフェーズでも、
都市の数が増える=文明が発展する
なのです。
新兵器開発とかは都市数が増えるごとに決まった順番で自動的に行われるので、
「どれを先に開発しようか」
とか、
「今は開発に資金を割く余裕はないかなー。でもなんか敵の装備に遅れをとりかけてるしなー……」
とか、考える必要がない。
もっと、プレイヤーに方針を考えさせて欲しい……。
・金こそすべて。でいいのか。
このフェーズの資源は、スパイス(=金)です。
(まあ、幸福度も一種の資源とは言えますが)
何をするにも金が必要。
何をするにも金さえあれば充分。
なので、
「人はいるけど金属資源がないから工場が作れねえー!商業に特化して、必要な資源はよそから買うしかない……」
とか、
「人口増加のために、南の穀倉地帯をなんとか手に入れたいな……」
とか、
「食糧とバーター取引で兵器を手に入れるんじゃー!国内の食糧が足りない?我慢しろっ!」
とかいう戦略がありえない。
どの文明も、立地とか関係なく、工場を建ててスパイス間欠泉を押さえるのが収入源。
結果、「交易」という概念は、ひどく抽象的なものになってしまっています。(「“交易路”を結ぶと、友好度と金が継続的に手に入る」というだけ。
何を交易してるのかは謎。)
資源の種類が一つしかない「カタンの開拓」がおもしろいか?という。
・戦いは数だよ。そうですか。
ビークルの性能が画一的です。
設計によって性能は変化するんですが、
「ある能力を強化すると他が落ち込む=合計値は一緒」
というルールなので、「高価で強力なビークル」といったものはありません。
研究開発を行って、より高性能のビークルを開発できるようにして欲しかった……。
また、ビークルは、陸・海・空、軍事型・商業型・宗教型で1種類しか持てないので。
遠距離攻撃ができるユニットと装甲が堅いユニットと移動速度が速いユニットを使い分ける……といったこともできません。
なので、とにかく数をそろえて押し切った方が勝ち。
駒の種類が1つしかない将棋が面白いか、と……。
宇宙フェーズ
宇宙に飛び出し、異星種族と接触しながら宇宙に版図を拡大していくフェーズ。
・没個性的な宇宙船をなんとかして欲しい。
かっこいいデザインを考えることはできます。
でも、そのデザインは、能力に全く反映されません。
砲塔をごろごろ付けようが、エンジンがなかろうが、巨大だろうが流線型だろうが、データは一緒。
購入・拾得したアイテムによってのみ能力が変化します。
どうせなら、デザインによって能力が変化するとか積載量が変化するとか運用コストが変化するとかして欲しかったです。
(といっても、みんな「システム上有利な」デザインになったのでは面白くないので、流線型でも積載量を増やすことはできるけど金がたくさんかかる……というような)
・驚きのない宇宙探検……。
宇宙探検して出会うどの宇宙人も、基本的に外見が違うだけ。(性格の違いはあります)
政体なんか、どこも「帝国」だしな。(皇帝がどこにいるのかは知らんが)
どの惑星に住む生物も、「草原に群れを成して住む生物」。
「予測もしない何か」との出会いが、宇宙探検の醍醐味であろうと思うんですが……。
グロックス(と、「ムゥハハハ!」)だけじゃあまりに物足りない。
結局、金を稼いでテラフォームを続けるだけのゲームに。
「テラフォーム」=「惑星全土の草原化」です。
灼熱の惑星に住む生物とか、奇妙な風習を持つ異星人とか、会ってみたかったなあ……。
・「内政」コマンドが欲しい。
テラフォームを行い、コロニーを設置しても、国力が上がるという実感がない。
金を稼ぐには自力でスパイスの転売をしなきゃなりませんし、宇宙船もPCの一隻きり。
一方で、広くなると、トラブルが発生したときに駆けつけるのが面倒だとか。
海賊に襲われても施設が足りなくても、各惑星は自力で何とかしないでプレイヤーを頼ります。
ううむ。
星系政府総督「この惑星周辺で、海賊が横行しているんだ!
そこで、奴らをおっぱらうために、星系艦隊を編成しようと思っているんだ(もちろん中央政府のお金でね)!
いいだろう?」
→いいとも!
(100000スポアバックスを支払う。
ポチョムキン星系の駐留艦隊が強化される。
ポチョムキン星系の独立心+3。不満度−5。)
→いや、帝国艦隊を派遣して警備を行わせよう!
(70000スポアバックスを支払う。
ポチョムキン星系の独立心−1。不満度−3。
帝国艦隊に損害が出る可能性。
首都星系の防衛力が一時的に低下する。
「援軍要請」イベントの引き金になる可能性がある。)
→君たちがどうなろうと知った事じゃないね!
(ポチョムキン星系の独立心+8。不満度+10)
→よし、直接退治に行こうじゃないか!
(「海賊退治」ミッションを開始する。)
*独立心や不満度が高まると、独立宣言や税金不払いにつながる可能性がある。
……とかいう形にしたらどうだったのかなあ。
もちろん、初期には自分で行った方が効果的だけど、帝国が広くなると、他の選択肢の方が現実的になるのですよ。
・やっぱり金。
金さえあればなんでもできる。
だから、
「貴重な鉱物資源を持つ惑星」
とか、
「珍重される生物」
とか存在しないのです。
ううん、
「〜〜星で産出する資源は、〜〜の材料として不可欠である」
みたいな何かが欲しかったよう。
まあともかく。
他にも色々あった気がするので、思い出したら追加しますが。
まとめると、
「もっとリアルなゲームにして欲しかった!」
というのが切なる思いです。
近々追加パックが出るらしくて、宇宙フェーズは、ミッションを自作したり、他の惑星に降下して探検したりできるようになる*6そうで、もっと多様性を増しそうな気もします……が……。
しかし、すでに出た「クリーピー&キュートパック」を見ると、どこまで期待して良いのやら。
「クリーピー」の方はともかく、「キュート」の方は、なんか間違った藤子藤尾Aみたいなキャラを作れるパーツです。
クリーチャーの動作も追加されたんですが、それも「ロボットダンス」とか、よりいっそうリアル路線から遠ざかる内容で……。
どうも私、このゲームの購買層から外れてたのかしら……と不安になってきました。
「出るまでが一番楽しい」
とかいう不吉な予言をする人がいましたが……的中してしまったのかなあ……。