「比叡山炎上」プレイ感想。

コミック「スピタのコピタの!」のプレイレポートでしか知らなかった「比叡山炎上」。*1
コンベンションでプレイしました。
 
GM「近現代を舞台にしたクトゥルフものより、死ににくいのが特徴ですね」
PL1「普通に刀とか持ってるからですか?」
GM「それもありますが、もっと特殊な能力もあります。
陰陽道とか仏教の法力とか。
あるいは、異能、つまり妖怪の血をひいている、ということにすれば、河童とか鬼とかに変身できます」
私「うわ、それは強い」
GM「まあ、人間としての精神力はガリガリ削れますが……。
あ、それに、現代人だと、死体を見ただけで
『うわああああ!』
とかいう感じでSANチェック*2が必要になりますが、このゲームではわりと平気です。
死体なんか見慣れてるので。
神話の怪物を見た場合も、正気度の減少がワンランク小さくなってる感じですね」
 
そしてキャラクター作成。
 
GM「地位とか所持金はわりと大事ですよ。他のゲームでは地位ってわりと飾りですけど」
PL2「へえー」
 
私「うわ、色んな術がありますね。これは強い。ていうか、忍術とか陰陽道だけじゃなくて、剣術とか鉄砲術とかにも必殺技的なものが」
GM「鉄砲は、火薬や弾が貴重だし、連射がきかないので、あんまり強くないかも知れません。ただ、遠くから撃てるのは重要ですね」
私「ああ、アウトレンジ攻撃ができると」
GM「いや……。
『遠くてよく見えないけど何か来たー。撃てー』
『あれー? 効いてないみたいだぞー? 逃げろー』
……という感じで、変なものを見ないで済む、という……」
私「うわ、それは重要」
GM「術は強力ですが、習得コストも大きいので、あんまり器用貧乏にならないようにしてくださいね」
 
GM「ちなみに、術の習得で正気度が10点減るごとに、もれなく“初期狂気”を一種類差し上げますので、ダイスを振ってください」
私「いらねえー! でももらうしかない……(ころころ)3」
GM「“軽い幻覚”ですね。“時折、何かおかしなものを見る。どのようなものを見るか設定すること”」
私「あー……。じゃあ、周囲の人が怪物に見えることにします。」
GM「ああ、いいですね。そんな感じで」
私「『河童が! 河童があぁ!』
GM「河童かよ」
PL3「私も一つもらいまーす。(ころころ)2」
GM「“軽い恐怖症”ですね」
PL3「それは炎恐怖症しかないな」
 
……で、できあがったキャラクターたち。
 
武将:岩神重士郎(44歳)
地元の大名に仕える武将。
「一の太刀」を始めとする奥義の使い手。
 
足軽が一人持てますけど、名前何にします?」
「んー、適当に……」
「家族とか、どうします? 家督を継いでることにします?」
「そうですね。妻にも先立たれて、娘が一人……」
「(ぴーん)その娘が足軽ってことではどうですか!」
そんな流れで、一人娘、“すみ”が足軽
 
「すみのAPP決めときましょうか」*3
「……10、ですね。一般人の平均は?」
「12ですねえ……」
「……まあ、しょうがない。親父の自分が9だし」
「すると父親似ですな」
「父親似かあ……それはかわいくてしかたないだろうな」
 
忍者:居らずの伊平(35歳)
これが私の担当するキャラクター。
里を離れた忍者で、流れ者であったところを岩神に拾われ、屋敷に住まっている。
火炎、隠行など、忍術を身につけている。
 
「忍術で身を隠すのが得意だから、“居らず”なわけですよ」
「なるほどなるほど」
「で、何か仕事を頼もうとするといつもそこに居ないという……」
「や、役に立たねえー!」
 
「で、何流の忍術にします?」
「あー……伊賀? 名前からして」
「抜け忍ですか?」
「いやいや。実は、住んでいた里が、ある日河童に襲われて壊滅してですね……」
「ぶは」
「……と、本人の記憶ではそうだと。本当は、何か恐ろしい目にあって抜けて来たのかも知れませんが」
 
兵法者:古荒 豪介(25歳)
出自不詳の剣術家。
たぐいまれな剣術の使い手であると同時に、異能の持ち主でもある。
 
「もとは流れ者だったけれど、縁あって重士郎に秘剣を指南した……という感じで」
「みんな武将にたかる気満々ですね……」
「地位は重要ですね」
「異能は何をとりました?」
「<水虎>を」
「河童かよ! それで炎恐怖症なんですね」
 
神職:蓮空(49歳)
岩神の屋敷に住まう神官。
神官と言っても祈るばかりではなく、神剣によって妖怪を祓う力を持っている。
 
「<神剣の祓え>を取ったわけですね?」
「あと、<迦具土>を」
「剣に炎の力を与える技ですね」
「岩神の屋敷に住んではいますが、地位は岩神とほぼ同等です」
 
シナリオは、岩神が仕える領主の命を受けて、そのまた主君である藩主の様子を探ることからスタート。(戦国時代の地元が舞台)
これまで配下の言いなりに近かった藩主が、最近妙に強気で、仕えている領主たちも不安に思っているとのこと。
領主から信頼できる部下を集めるよう指示されて、当然ながら他のPC3名に声を掛ける重士郎。
 
伊平「信頼できる部下、というイメージとはほど遠い、すごいバラバラなメンバーですよね」
GM「あ、ところで蓮空さん。重士郎の娘、すみが、あなたのところにやって来ます。」
蓮空「何かな?」
GM「『実は先日、家の蔵でこのような巻物を見つけたのですが、正体がわからず、気味が悪くて……』
蓮空「どれどれ、と言って広げてみましょう。時代はいつ頃のものか、わかりますか?」
GM「おそらく300年ほど前のものですね。
しかし、記されている文字は、あなたの全く見覚えのないものです。
挿絵らしいものがあり、得体の知れない怪物が人々を連れ去っている様子を描かれています。……幸運ロールを」
蓮空「(ころころ)失敗」
GM「では、あなたは、この巻物をどうしても手放したくなくなります」
蓮空「う……。では、
『おすみ殿。このような怪しげな物、そなたが持っているのは危険。拙者にお任せなさい』
GM「すみは納得した様子で、あなたに巻物を手渡します」
蓮空「うむうむ。安心して任せるが良い」
重士郎「安心できねえー!」
 
さて翌日。
殿に同行して城下町までやって来たものの、関所で足止めされる一行。
 
岩神「え? でも、殿は藩主に呼ばれていたわけですよね?」
GM「はい。でも、関所の役人はそんなの聞いてないと言い張ります。
『最近城下に怪しき輩が出没するゆえ、何者も通すなとの仰せじゃ。帰れ帰れ!』
岩神「えー。
『木っ端役人の分際で、殿を怪しい奴扱いするとは無礼千万! 通さぬならば押し通る!』
とか言って、刀を抜いてみます」
GM「じゃあ、目に見えて動揺します。
『ま、待て待て! 我らも役目を果たしておるだけじゃ。 今からそなたらの言い分を確かめて参るゆえ、しばし! しばし待たれい!』
……という感じで、城下に使いの者を出します」
古荒「しばしってどのくらいですか?」
GM「半時、つまり1時間くらいだそうです」
蓮空「長っ!」
伊平「じゃあ、こっそり関所の反対側に回って様子を探りまーす。(ころころ)……失敗」
GM「見つかりますな。
『そこの者! 何をしておる!』
伊平「忍者なのに忍べてねえー!」
古荒「『あ、あの者はちと腹具合が悪く、用を足しに……』
と言ってごまかそう」
GM「じゃあごまかされます。
『うむ。離れてするようにな』
私「な、情けねえ……」
 
城下町に潜入すると、通りに人の気配はなく、ようやく捕まえた茶店の主人もあからさまに生気のない様子。
 
伊平「こりゃおかしい……。戻って報告しよう」
 
GM「そんなこんなでしばらくすると、城下から使いの者がやって来ます。
『お役目ご苦労であったー……。関所の者の過ち、許されたいー……。どうか、通られよー……』
蓮空「うわ、怪しい」
古荒「プレイヤー的には、何か怪しい物が関わってるのは明白ですけどね」
岩神「それを殿に言っても信じるかどうかわからないなあ」
伊平「流行り病かも知れない、って言ったらどうでしょう?」
 
……というわけで、殿には領地へ帰ってもらい、名代として自分たちだけ城へ向かうキャラクターたち。
 
ところが、その途中、重士郎の娘、すみが行方不明に。
伊平「『やや、すみ殿の馬の足跡が、途中で引き返しておりますぞ?』
GM「重士郎は、すみらしき人影が、元来た方の街角を曲がって姿を消すのを見た……ような気がする」
蓮空「どうする? 何かの罠という可能性も……」
重士郎「『すみいぃぃぃ!』と叫んで元来た方へ馬を走らせる」
一同「待て親父ー!」
 
古荒「……というわけで、おすみ殿……というかむしろ重士郎殿を追って来たわけだが」
蓮空「……なんか、周りの様子がおかしくないか?」
 
地元民と話すうち、いつの間にやら、さらに300年ほど前の時代へタイムスリップしていることが判明。
 
伊平「源平合戦の時代か……」
蓮空「なぜこんなことに……。一体どうやって戻ったものか? 何の手がかりもないが……」
重士郎「すみぃぃぃ!」
古荒「重士郎殿は自分や我々の身より、とりあえず娘の方が心配らしいな」
 
あれやこれやあった末に、300年前の城下町で、怪物に両親と姉を連れ去られた、という少年に出会います。
それはどうも、例の巻物に記してあった化け物らしい。
 
GM「巻物の挿絵をよく見ると、連れ去られている人々の服装は古い物ですが、一人だけ、現代……と言っても、皆さんにとっての、ですが……の服装をした女性がいます」
古荒「すみ殿かな?」
重士郎「よし! 少年、お前の村まで案内するのだ!」
蓮空「張り切るなあ親父……」
 
GM「怪しい足跡が、少年の家から外に続いているわけですが。<追跡>技能で判定してください」
伊平「<追跡>とってないっすー」
GM「な、なんだってー!」
 
GM「蓮空さん、あなたの懐の巻物が、あなたをどこかへ引っ張っていこうとするのを感じます」
蓮空「おお。『皆の衆、こっちじゃ』」
GM「皆さん、蓮空さんが迷わず皆さんを先導し始めます。闇夜だというのに足取りは確かです」
古荒「明らかにおかしくね?」
蓮空「『安心せい。妖怪変化相手なら、わしに任せるのじゃあー』……と言ってごまかす。(ころころ)成功」
伊平「ごまかされました。『なるほど! さすがは蓮空殿!』……って、ダメだあー!」
 
神職のくせに怪しげな巻物にすっかり魅入られた蓮空。
GMは、正気に戻るための「アイデア」ロールを何度もやらせるのですが……。
 
GM「えー、では、またしばらく歩いたということで、アイデアロールを」
蓮空「(ころころ)失敗ですねー」
伊平「……これで5回目ですか?」
GM「か……神よ!」
古荒「とうとうGMが神に祈りだしたぞ」
重士郎「ダイスの神の意向には逆らえないよなー」
蓮空「『おお、聞こえる、わしを呼ぶ声が聞こえるぞー』
 
で、化け物に操られた蓮空。
 
GM「というわけで、みなさんは蓮空さんに追いつきました。蓮空は、洞窟の入り口で剣を抜いて立っています」
古荒「『蓮空殿!』……と叫んで駆け寄ろうとするわけですが。」
蓮空「『来たな化け物どもぉ! 我が神剣を喰らえぇ!』
伊平「……あちゃー……」
重士郎「ううむ、ボス戦前に最大戦力が無力化されるとは、なんという大ピンチ」
伊平「いや、無力化ならまだしも、無力以上の何かなんですが」
蓮空「いやー、ここまで好き勝手できたから、ここで殺されても悔いはないから。プレイヤー的に」
GM「なんでこんなことに……」
伊平「どうしますか重士郎殿」
重士郎「『我が配下を殺すわけにはいかん』
部位狙いで、刀を狙って攻撃します」
 
蓮空「ゆくぞ物の怪! 出でよ炎! <迦具土>!」
古荒「ぎゃああ、炎が! 炎が!」
GM「SANチェックをどうぞ」
 
古荒「<水虎>を発動します」
GM「よろしい。では、あなたの姿はみるみるうちに身の丈2メートルほどの河童に変じます」
伊平「ぎゃああ、河童が! 河童が!」
GM「……SANチェックをどうぞ」
 
蓮空「……(ころころ)ダメージ23点」
GM「古荒さん、耐久力はいくつになりました?」
古荒「マイナス15」
GM「文句なく死んでますな」
古荒「では、異能<血仙蟲>の効果で生き返ります」
GM「でも、次のラウンドは生き返るだけで終わりですからね」
古荒「それ、また切られて死ぬだけなんじゃ」
GM「あと、生き返るたびに正気度を減らしておいてください。
それで正気度が0になると、食屍鬼という怪物になりますので」
伊平「これ、だんだん敵が増えていくんじゃ……」
 
しかし、何度目かのGMの救済策で、とうとう蓮空が正気に。
 
蓮空「『おお、ここはどこじゃ? わしは一体何を?』
古荒「白々しいー!」
 
そして、洞窟の奥で、怪物の生け贄にされかけている娘たちを発見。
その中には、すみの他、少年の姉の姿も。
 
GM「周囲からは、真っ黒なヘビのような物が、百匹余りも押し寄せてきます。その頭には口はなく、赤い大きな一つ目があるばかりです」
重士郎「突破口を開くぞ。『一の太刀!』(ころころ)クリティカル!」
GM「うわ。黒いヘビが、20匹ほど吹き飛びます」
蓮空「娘が絡むと強いなあ」
伊平「よし、忍術<神速>を発動して駆け抜けます。2回行動できるんですよね」
GM「それなら、このラウンドで娘達の所までたどり着けますね」
伊平「<忍び歩き>も<追跡>も削って<神速>を取った甲斐があったー」
古荒「いや、それもどうよ」
 
伊平「じゃあ、両手にすみと少年の姉ちゃんの手を引いて、元来た道を……」
GM「その目の前には、数匹の黒いヘビが……」
伊平「じゃあ、行動一回で移動して、もう一回で攻撃を」
GM「両手はふさがってるはずですが?」
伊平「忍術<火炎>を使います。口から炎を吐く、とルールブックに書いてあるから、大丈夫のはず。(ころころ)7点!」
GM「いいでしょう。目の前に道が開けます」
古荒「ぎゃああ、炎が! 炎が!」
GM「……SANチェックを」
 
このようにして、必殺技的なあれこれを惜しみなく投入したおかげで、生け贄にされそうな娘達のうち、2人だけは救出に成功。
(蓮空だけは、敵に回った時に惜しみなく使っていたので、ここではあまり使えなかった、というのは秘密)
一同は、放心状態の娘達の手を引いて、洞窟から逃げ出すのでした。
 
しかし、伊平を援護しようと敵の輪の中に入った古荒だけは逃げ切れず。
一同の背後から、古荒の絶叫が響くのでした。
 
……伊平が<火炎>を使ったのを見て硬直してしまったのが、逃げ切れなかった主な原因ではないか、というのは秘密。
 
まあ、使わなければみんな逃げられなかったんだけども。
 
……というところで、シナリオは終了。
 
ともあれ、これだけ笑ったり騒いだりしたのは久しぶり。
あんまり久しぶりなので途中で喉がかれてしまったほどでした。
 
GM、そして同席したプレイヤーの皆さん、ありがとうございました。
いずれまた、お会いしましょう。
 
私「……ところで、藩主の様子がおかしいとかなんとか、伏線はどうなりました?」
GM「いや、本当は、この後現代に帰ってきてからの話があるはずだったんですよー。皆さんは300年前の時代にこの妖怪を封印したわけですが、藩主は、件の怪物の封印を解いてしまったんです、で、その力を使って……」
 
どうも、300年まえでやったあれこれが、現代に影響を与える、という楽しげなシナリオだったらしいんですが。
時間配分は大切ですな……。

*1:でもルールブックは持ってる。

*2:正気度判定。
判定に失敗すると(=賽の目が悪いと)「正気度」ポイントが減少していき、一時的に狂気に陥ったり永久に狂気に陥ったりする。
クトゥルフ神話関係のTRPGでは定番。

*3:APP=appearance(外見的魅力)の略。
数字が大きいほど見た目の美しいキャラクターであることになる。