注目URLより。
http://news.ameba.jp/2007/09/7081.php
なでなでしてー」幼児化する妻たち
「おんぶー」「だっこー」「ギューして」「なでなでしてー」
大手電機メーカーに勤務する小橋氏(32・仮名)が一日の勤めを終え家に帰ると、小橋氏の帰宅を待ちかねたように上記のような催促が始まる。
といっても声の主は小橋氏の幼い子どもというわけではなく、今年で結婚4年目になる妻の有香(29・仮名)である。*1
29て。
今の私と同い年ですか。
「私の方から特に何かを言ったわけではないのですが、気がついたら妻が赤ちゃんになっていました」。
そう語る小橋氏の顔は苦笑しながらもどこか嬉しそうである。
実際、夕食の際に妻を膝の上にのせ、食事をしながら妻の頭を撫でてやるのが小橋氏の何よりの楽しみだという。「私がスプーンで食事を妻の口に運んでやる。それを妻があどけない表情で口にする。その表情を見るだけで一日の疲れがふっ飛びます」。
「あーんして」……。
もう久しくやってない……。
まあ、夫婦が幸せならいいんじゃないですか?
記事の後半では、同様の状況で、奥さんが
「赤ん坊のようでもあり、猫のようでもある言葉を発する」
「毎晩わざと床で眠りこんだ妻を、桜井氏がお風呂に入れて、身体を拭いて、パジャマを着せて、ベッドへ寝かせてやっているという」
な状態になっていて、セックスレスに悩んでいる、という28歳の編集者(妻(35歳)は直属の上司)もいるので、まあ問題な時もあるんでしょうけど。
しかし、これは必ずしも今に始まったことではないでしょう。
それだけは聞かんとってくれ
という、コラムサイトがあります。
ここの、
第165回 確かめない
という記事。
掲載日は「1998/10/06」とありますから9年ほど前になります。(このサイト、筆者が雑誌連載を始めて以来長いこと更新されていないのです)
そこには、
世の中には二種類の恋人たちがいる。
普通の言葉で会話する恋人たちと、赤ちゃん言葉で会話する恋人たちである。
普通の言葉しか用いない人種には信じられないかもしれないが、赤ちゃん言葉で会話する恋人たちは結構多いんでしゅよー。
などと書かれています。
私の友人がその種類の人間であった。仮にYとしておく。
……とあるので、実際にそういう現象が見られたのは記事の執筆よりさらに前なのでしょう。
「恋人達」というのは結婚する前の男女を指すようにも思いますが、少なくとも
「男女が二人きりの時に幼児語で話す」
という現象が、何も近年の特徴ではないことがわかるのではないでしょうか。
まあ、結婚するとやめてしまう人もいるのでしょうし、子どもができるとさすがにやめると思いますが。
しかし、
・晩婚化
・結婚しても子どもを作らないライフスタイル
・子どもを作るとしても遅くなる
……といった傾向が進んだ結果、夫婦になってからもこのような現象が続く、あるいは夫婦になってからそれが始まることも増えてきた、ということではないでしょうか。
……えーっとつまり、私どもがそうなんですが。
いや、夫婦じゃないですけど、夫婦になってすぐに終わるかなあ……。
厳密には幼児語じゃない……っていうか、幼児語「だけ」じゃない。
そもそもの始まりは、ソニーの「どこでもいっしょ」というゲームでした。
1999年発売。
すでに古い。
いや、私は大抵のゲームは中古で買うので、2000年代に入っていたと思いますが。
で、まあ、これに出てくる白いネコ「井上トロ」が、語尾に「ニャー」が付くのニャ。
私は元々こういうAIとか人工無能とか大好きなので買いました。
で、卒論にも勧めました。
「かわいーじゃんこれー!」
このゲーム、テレビの中の「トロ」(または他の生き物)に色々な言葉を教えて、「トロ」がそれを使ってトンチンカンだったり意味深だったりする発言をするのを楽しむゲームです。
「愛ってドコにあるのかニャ? アメリカかニャ? プールかニャ?」
「おはなしきいてニャ」
「まいにちおたんじょう日だといいニャ」
そして気が付くと、トロの語尾がうつって、にゃーにゃー言うようになっておりました。
……二人とも。
その上に幼児語化が進んで、トロどころか「どこでもいっしょ」の追加ディスク「こねこもいっしょ」(子どもの頃のトロが出てくる)よりも幼い言葉遣いに。
赤ん坊のようでもあり、猫のようでもある言葉。
「こんばんはにゃー」*1
「にゃー」*2
「あにょにぇあにょにぇ、今日はとってもちゅかえたにょにゃー」*3
「うにゃー、おちゅかえしゃまだぷー」*4
*1 こんばんは。
*2 はい。
*3 あのね、今日はとても疲れたのです。
*4 ああ、お疲れ様。
…………………………。
「あにょにぇ」って。
文字に表すと恐ろしく発音しづらそうだ。
「こねこもいっしょ」だと、「あにょね」って言うんですが、確かに拗音が続くのって字面として美しくないですね。
幼児語というよりクトゥルフ神話ぽい。
や な かでぃしゅとぅ にるぐうれ すてるふすな くなぁ にょぐた くやるなく ふれげとる!*2
……というわけでまあ、文章として見苦しい・読みづらい上に、変換がうまくいかない(「つかれたのにゃ」を変換すると、「疲れたノンや」になっちゃうんですが、私のパソコン)ので、今後とも卒論と私の会話は普通語で表記します。
え? 恥ずかしくないのか……ですか?
………………。
正直に言うと、それが今まで伏せてた一番の理由です。はい。
いや、なんか、書いててすげえバカだと思えてきたんですが……。
まあ、常ににゃーにゃー言ってるわけではなくて、リラックスした雰囲気の時ですよ。
それに、普通に言うとけんかになりそうな話でも、幼児語だと柔らかく聞こえるんですよ。
ずっと標準語で卒論と私が話していたら、二人はもっとストレスフルな関係になっていたかも知れないです。いや、本当に。
ちなみに、卒論も私も、「わざと床で眠り込んだ」りは、しま……せん。
……。
そういえば、卒論が私の家に泊まりに来た時って、たいてい
「今日はつかれたにゃー」
って言って座椅子で寝ちゃうんだけど……。
あれはわざとじゃない……よな……。
ともあれ、思えば、あの試練の4ヶ月も、ほとんどなんの予兆もなかったですけど、
「最近卒論がにゃーにゃー言わないな」
……っていうのが、事前に感じた唯一の違和感でしたね。
「なんか、卒論、最近にゃーにゃー言わないね?」
「んー……。あたし、大人の女になるの」
「ふうん……」
(ここまで全部標準語)
……うう。(記憶が甦った)
というわけで、なんかブックマークコメントでは否定的な発言も多いですが、いいと思いますよ、幼児語。
人間関係の潤滑油です。
幼児語ばんざいにゃー。
……いきなり幼児化すると潤滑どころではない気もしますが。
とりあえず「どこでもいっしょ」お勧め。
いいですよ。ちょっと切なくて。
*1:改行は引用者により適宜修正。以下、本稿の引用はみな同様。
*2:引用ここから。http://www.geocities.com/Tokyo/Palace/8768/spell.html