別に広告案件でもないのに、最近ハマったアプリを紹介します。
「モアクト」というアプリです。
今まで、
「ポイ活なんて、手間と労力の割に得るものが少ない、しかも個人情報を切り売りする、情報弱者の趣味だよねえ」
……などと、失礼なことを思っていたのですが。
しかしそれを「社会貢献」と言い換えられた途端にコロリとやられてしまったのでした。チョロい。
でも、はてな民には相性良さそうだと思う……。
「モアクト」は、関西電力が運営するサービスです。
www.youtube.com
上の動画にもありますが、アプリ内で提示される様々な「ミッション」を達成してポイントを集めていきます。*1
「社会貢献ミッション」と言っても、
「インフルエンザ対策のために窓を開けよう」(開けた窓の写真を送信)
「フェアトレード・ラベル認証製品を扱う事業者を調べよう」(所定のキーワードが入った画面のスクリーンショットを送信)
といった感じで、写真を送るかスクショを送るかの2種類。
(スクリーンショットは、自分で検索することを要求される場合と、指定のサイトへのアクセスを求められる場合とがある)
基本的に、それで10ポイントがもらえて、1ポイント1円換算でAmazonギフトなどと交換できます(500ポイント単位)。
……スクショ一枚10円って、結構割がいいのでは?
そりゃまあ、時給いくら、とか考えるとあんまり割に合わないけど、
「持続可能なサービスなのかこれ……?」
と危ぶんでしまう程度には報酬が良い気がします。
(だとしたらあまり他人に紹介しない方がいいのか……?)
実際のところ、月1000円強くらいのお小遣いになります。
ミッションを達成した! という満足感もあるので悪くない気がします。名目上は「社会貢献」だし。
しかし、これをやっていて思うのは、
「社会に貢献しているのは誰なのか?」
ということです。
なるほど、インフルエンザ対策で窓を開けるとか、待機電力削減のためにプラグを抜くとか、フードロス削減のためにご飯を残さず食べるとかいうのは、まあ、ミッションを通してささやかに社会に貢献していると言えるかも知れません。
しかし、
「フードマイレージについて調べよう!」
「仮想水について調べよう!」
といったミッションは、私がそれを「調べた」ことで直接誰かが助かるとは思えず。
まして、
「胃カメラのつらくない検査方法を調べよう!」
となると、私以外に誰が助かるのかと。
つまりこれ、「ミッション」というのは、実際には、ユーザーを啓発するための情報提供なのです。
本当に社会貢献しているのは、アプリを通じて社会啓発している側、ポイントを配っている側で。
ユーザーは啓発「される」側なんですね。
でもこれ、情報提供としては賢い方法だと思うのです。
ユーザーは、ポイントに釣られたとはいえ、「社会貢献」という意思を持って主体的にこのアプリを利用しています。
それだけに、「ミッション」を達成すると、それが行動変容に繋がりやすいと思います。
心理学者、クルト・レヴィンの実験があります。*2

(Kurt Zadek Lewin, 1890年9月9日~1947年2月12日)
ナチスドイツからアメリカに亡命したユダヤ人の一人。
第二次大戦当時、米国内では食肉が不足していました。
これを解決するために、内臓肉(いわゆるモツ)を食用に供することが検討されました。
しかし、当時、米国の一般家庭ではモツを食べる習慣がなく、国民には強い拒否感がありました。
そんな中、レヴィンは、主婦たちを集め、内臓肉活用に関する啓発の実験を試みました。
主婦達の半数には、専門家から、食肉の現状と食生活改善の必要性、内臓肉の栄養価などについての講義が行われました。

残る半数には、情報提供の後、参加した主婦達によるグループ討議が行われ、「内臓肉をどう料理したらおいしく食べられるか」「どうすれば世間で活用が進むか」などが話し合われました。

そして、その後の追跡調査の結果、講義を受けたグループでは、実際に内臓肉を料理に使っていた主婦は3%に過ぎませんでした。
一方、グループ討議に参加した主婦たちは、実に32%が内臓肉を活用していたのです。
問題解決の方法を考える側になったことで、自分自身の行動が変容したのです。*3
これは、学校の道徳や学級活動でもよく行われる手法だと思います。
「どうすればいじめをなくせるか、みんなで考えてみよう」
考えさせること、「自分ごと」にさせることそれ自体が、問題解決に繋がる、という。
モアクトは、ユーザーに「社会貢献に参加しよう」と誘って、CO2削減やらフェアトレードやらについての情報を提供します。
それによって、ユーザー自身の行動を変容させようとしているのだと思います。
「ミッション」を達成すること自体は、おそらくほとんど社会貢献にはなりません。
しかし、ミッションに能動的に参加し、達成した、という経験が、ユーザーのその後の行動を変化させ、社会貢献に向かわせるのだと思います。
まあ、私自身、その目論見がわかっていても、
「日本では年間8000万本のビニール傘が消費されている」
と知ってしまうと、なるほどもったいないと思うし、傘の管理について考えざるを得ません。
「マックのフィレオフィッシュは『海のエコラベル』の認定を受けている(マジか)」
と知ってしまうと、ちょっとフィレオフィッシュが気になってしまいます。
それだけでも、認定企業にとっては、10円払うに見合うだけの宣伝効果があるのかも知れません。
……そう、「社会貢献」と言いつつ、どこがどう貢献なのかよくわからないものもあります。
「ユネスコ文化遺産として申請中の文化を調べよう!」
とか、社会貢献なのかどうかよくわからないし。
(特にスポンサー表記がないけど、文化庁とかが後援してるんでしょうか)
はっきり「企業提供」と書かれたミッションもあって、神戸電鉄の
「エコな移動♪ 電車を利用してみよう!」
は、まあわかる。社会貢献。
しかし、同社提供の
「有馬温泉の効能を調べよう!」
に至っては、もう純度100%の広告なのでは……?
とはいえ、一般に、スマホのネット広告は、しばしば非常に邪魔だったり、興味がないものを繰り返し見せられたり、内容がきわめて不愉快だったりします。
ところが、「モアクト」においては、ユーザーが自分の興味のある「広告」を選んで見て、お金をもらえるのだから、これはむしろネット広告の、健全な、あるべき姿かも知れない……などと思うのでした。
……ところで、10月27日から、モアクトとアイドルマスターのコラボが行われるんだそうですよ。
service.moact.jp
実はこれが2回目なのだそうですが、1回目の時はまだユーザーでなかった。

アイマスシリーズと言っても、ちゃんと知ってるのは中央2人だけなんだけど……。(桃子ちゃん先輩とかも名前は知ってる)
秋月律子さんと相葉夕美さん……妥当な人選だと思う。*4
楽しみですね。ぜひ皆さんも。ぜひ。(宣伝)