早く株が大暴落して欲しい。(及び、経済予測がいかに信用できないか)

「今の株価は実体経済と乖離している! バブルだ!」
 とかいう話を最近よく見ます。

 それならそれで早く崩壊して欲しい。
 なんなら明日にも大暴落が起きて、そのまま2年くらいかけて株価が1/3くらいになって、そこからまた回復に2・3年くらいかけて欲しい。
リーマンショックがだいたいそのくらい)
 
 株価が1/3になってる間に100万円買ってれば、元に戻った時には300万円になるわけだし。
 なんなら1/10くらいまで下がってもいい。(世界恐慌がそのくらい)
 
 ……なんてことを言うと、
「自分の利益のために他人の不幸を望むのか!」
 とか言われそうだけど、そもそも株価と市民の幸福は関係してるのかと言えばさにあらず。
 
 現状、
「日本は30年ぶりの株高」
アメリカ株は史上最高値を更新」
 とか言われてるけど、世間が好景気なわけでは全然ありません。
 
 むしろ、コロナ不況で職を失う人が出ている中、ただただ株価だけが上がっているわけで。
 
 このように、市民の幸福と株価は全然無関係に変動しているわけです。
 ならば逆に、中流層貧困層の生活が好転する一方で株価は大暴落、ということだってあり得るんじゃないでしょうか。
 むしろぜひそうなって欲しいものです。
 

過去の経済予測を振り返る。

 ……ところで、「今の株価はバブルだ」と思うなら売っとけ、という話なんですけど、そういう短期予想ってもう全然当たらないんですよね……。
 私が素人だから当たらない、っていうのではなくて、プロの言ってることが全然アテにならない。
 
 例えば、2020年1月の経済記事。
 この時点で新型コロナは広がってるんですが、株価は小康状態を保っていました。
 
 このころ、経済関係の人が何て言っていたか。
 
新型コロナウイルス懸念による株価下落、買いの好機に-JPモルガン - Bloomberg
「過去に見られた疾病大流行のケースでは株価の下落は平均で約4.7%にとどまっている」(JPモルガン・チェースのストラテジストら)
 
新型肺炎が景気・企業業績・株価に与える影響:エボラ出血熱ショックの経験から考える | トウシル 楽天証券の投資情報メディア
「後から振り返れば、エボラ出血熱が、世界全体の景気に与えた影響は限定的でした」楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト)
 
「死亡率大したことないし、株価への影響は限定的みたいだね! 医療関係株買っとくといいよ!」
 みたいな楽観論が多々。
 
 しかしその直後、2月にはコロナショックの大暴落がやってくるという……。
 
 そんなコロナショック渦中の2月末の経済記事。
 
米株の下げ相場は長期化へ-ゴールドマンとシティのストラテジスト - Bloomberg
「今月20日以降の下げ相場は少なくとも7月まで底入れしない恐れがある」ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストら)
 
コラム:東京封鎖なら「L字回復」に転落か、不可欠な安全網構築 | ロイター
「途上国でのコロナ感染拡大による「第2波」が先進国を襲ってきた場合、一段の株価下落もあり得る。経験したことのない乱気流にはまり込んだ可能性が高い」(ロイター 為替フォーラム)
 
 一転して悲観論が主流に。笑える。
 
 ちなみにもっと前、2019年にも、「次に景気後退が来たらそれは長引くのでは」みたいな話がありました。
世界景気の終わり:10年ぶり利下げ 世界景気の終わり “利下げ頼り”の株価 上昇しても1年先は闇=岡田英/白鳥達哉 | 週刊エコノミスト Online
「(景気後退に)対応できる金融政策、財政政策がほぼ出尽くしてしまっているのが、米国経済の最大の脆弱性だ」(マーケット・アナリスト)
 
 ところが、日経平均は翌3月19日に底を打ち、世界の株価はおそろしく急激に回復します。
 それを信じられない人も。
 
ダウ急騰は「割安のわな」、システム上のリスク史上最悪-ステートS - Bloomberg
「たとえ今回の危機への政策対応がかつてないほど包括的かつ強力だったとしても、強気相場が一日で10%の上昇から始まることは通常ない」(ステート・ストリート・グローバル・マーケッツの欧州・中東・アフリカ担当マクロ戦略責任者)
 
 いやでも、それが「強気相場」の始まりだったんだよなあ……。
 
 この後もしばらく、
「二番底が来るぞー、前より大きな暴落が来るぞー」
 って言われ続けますが、今のところ来ていません。
 予測を外した経済評論家を死刑にする決まりがあったら、たぶんみんなとっくに全滅してます。
 
 ……この手の話では、私も割と残念な目に遭ってまして。
 2019年春頃、
「今年後半にはトランプの大型減税の効果が剥落するので、アメリカ経済は減速するだろう」
 って意見がどこでも主流で。(「減税効果 剥落 2019年」でググるとわかります)
 
 それで、2019年中、ちょっと株価が大きく下がると「すわ暴落の始まりか!?」と思って売りに回ったりしました。
 
 しかし振り返ってみれば「減税効果の剥落」はどこへやら、2019年のアメリカ株は1月から12月の間に24%も値上がりしました。
 だから、途中で売ったりせず、余計なことを考えずに積み立て続けていればよかったわけですね。
 
 マーケットタイミングをはかってはいけない。
 
 だからもうとにかく、たとえチーフストラテジストだのマクロ戦略責任者だのというご大層な肩書きがある人の発言でも、短期的な経済予測は一切信用しない方がよいのではないかと思います。
 
 ……もちろん、ひょっとしたら、もう間もなく本当にバブル崩壊がやってくるのかも知れません。
 それでも、大人しくコツコツ積み立てていくよりマシな方策はないのだと考えています。