ある日のこと。
K村「じゃあ、これから集会がありますから、体育館に行く前に、みんなトイレに行っておくように」
「先生、“トイレ”とか汚いですよ!」
「違う言い方をしてくださいよ!」
K村「んん?」
そんなの今まで気にしたことなかったろ君ら。
K村「まあいいけど……。じゃあ、なんて言えばいいんですかね?」
「お手洗いって言って下さいよ!」
K村「そうきたかー!」
トイレ、お手洗い、洗面所、化粧室、便所、厠、WC等々、あの部屋を呼ぶ言葉はいっぱいあります。
なぜいっぱいあるかと言うと、直接呼ぶのは「汚い」ので、婉曲に表現しよう、という心理が働くからです。
でも、婉曲表現は、充分に広まって定着すると、あまり「婉曲」ではなくなってしまいます。
すると、新しい婉曲表現を発明するニーズが生まれ、別な名前で呼ばれるようになるのです。
生まれてこの方「トイレ」しか聞いていなかった2年生にとっては、「お手洗い」の方が婉曲に聞こえるんだなあ、という発見でした。