エアマスクについてエア返信。

 インフルエンザ患者が出たので、当面、我がクラスは全員マスクを着用することにしました。
 
A児「せんせー、くるしいですー」
B児「あついですー」
K村「ええいうるさい、担任もマスクをするから文句を言うんじゃない」
 
 ……そして数日たったある日。
 
C児「せんせー、お母さんが、エアーマスクじゃだめですか、って」
K村「なんだとう!?」
 
 うあー、なんか来たー、という感じ。
 
K村「だめです。あんなものはお守りみたいなものです」
C児「おまもりじゃないですよー」
K村「マスクと一緒につける、というなら持って来てもかまいませんが、マスクの代わりに、というのは認めません」
C児「ちぇー……」
 
 で、その件について保護者から抗議が来たらきちんと返答しよう、と思っていたのですが、今のところそういう反応はないようです。
「頭の固い先生ねえ……」
 とか陰で言われているのかも知れませんけど……。
 
 まず、マスクにインフルエンザの予防効果があるのか、という問題。
 よく知られているとおり、インフルエンザウイルスはマスクの網の目よりよほど小さいのですが、ウイルスを含んだ唾液などの飛沫を防ぐ効果はあるものと考えます。
 とりわけ、潜伏期間中の児童が他の児童に感染させる可能性を下げる、という意味では、装着によりある程度蔓延を防ぐことができるはずです。
 
 一方、いわゆる「エアーマスク」についてですが、二酸化塩素がウイルスを無力化する、ということ自体は実験的に確かめられています。
 しかし、首からかけて生活する状態でどの程度の濃度が維持され、感染を防ぐ効果がどの程度あるかについては不明です。
 事実、「エアーマスク」製造元の中京医薬品も、感染予防効果がある、とは言っていません(CM等で、そう思わせるような表現は随所に見られますが、巧みに明言を避けています)。
 「除菌効果がある」という表現をしていますが、独立行政法人国民生活センターによると、

「除菌」とは、対象物からろ過又は洗浄によって微生物を除去することとされているが、対象や程度については公に定められていない。

 のだそうです。(http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20101111_1.pdf
 
 また、仮に十分な効果がある濃度に人間を長時間さらした場合、人体に無害なのかどうかは、今のところ明らかではありません。
中京医薬品の言う「世界の主要国では食品・飲料・環境分野で広く使用されています」というのは、主に食品添加物としての利用の話で、四六時中吸い込んで大丈夫、という話ではありません)
 
 ……担任としては、そういう見解なのですが。
 
 しかし。
 
C児「だって、××先生、首からかけてますよ?」
K村「……知ってます」
 
 しばらく前、学校に出入りする教材屋が首からかけてきて、みんなにお勧めしてですね……。
 それで、買って使ってる職員もいてですね……。
 
 いや……まあ、お守りとして、気休めとして使うのは、いわば思想信条の自由、信教の自由、愚行権の範囲だから、私がとやかくいうのも……と思って黙っていたのですよ。
 
 それで、校長がブログで好意的に取り上げた時も黙っていたのですよ。
 
 そして、今まさに、それを足がかりに、エアーマスクがマスクを代替しようとしてきている状況。
 自分が臆病すぎたのか……と思わずにはいられません。
 
 ……もっと、「戦う反疑似科学」でないといけなかったのかな……などと。
 難しいものです。